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第十四話 悪魔の誘いの常套句

 ジャッジの屋敷のとある一室


ダンス「はあ、結局あの動物の山どうするつもりなの?」


ユーラ「ああ、全部凍らせてこの家の空きスペースにぶち込んどいたわ。」


デーモン「おいおい、勝手に人の家に冷凍室作って大丈夫なのか?」


ユーラ「まあ、この家超広いし少しくらい……」


 数秒の沈黙……


ダンス・ユーラ「「なんでてめえが居んじゃい!!!」」


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 ここは第十帝国騎士団基地。


「団長、あの二人組からとれた証言です。」


 先日の恐山とパトロールをしていた女性が、資料を持って団長室に入ってきた。女性は恐山に聴取の一部始終を話す。


悪魔(デーモン)?確か、情報屋でしたよね?」


「ええ、彼がリストには関わっていたと。ですが、それより問題なのが……。」


「ルーレンシア、あの森を挟んだ隣国ですか……。」


「ええ、今回の犯行は酷い仕打ちが散見されたものの、民家を狙った強盗事件に留まりました。幸か不幸か、今回偶然彼らを発見したことにより、帝国軍の中枢を狙った暗殺計画は失敗に終わったようです。」


「なるほど、しかしなぜルーレンシアが……。」


「分かりません。しかし、呪術師を国が使役することも、他国を狙ったことも立派な国際犯罪です。」


「……。分かりました。騎士会に報告しておきます。しかし、おおごとにならなければいいですが。」


「ええ、場合によっては……。」


「嫌ですね。『惑星』に同行するのは我々になるでしょう。」


------------------------


 事件から一晩明けた日の午前中、ここはジャッジの屋敷の一室。机と大きなテーブルが備えられ、数人で雑談するには丁度いい空間が広がっている。


 ダンスとユーラは、ジャッジが事情聴取から戻ってくるまでの留守番を頼まれていたのだが、その部屋では留守番中とは思えない修羅場が広がっていた。


デーモン「まあまあ、落ち着けよガキども。」


ユーラ「落ち着けるか!変態!いつから居たの!?」


ダンス「てかなんで私ら気付かなかったの!?」


デーモン「まてまて……。俺はお前らに興味があるんだ。どうだ?俺たちで徒党を組まねえか?」


ユーラ「つくづく寒気がする変態ね!興味ってあんた……。」


 ユーラがデーモンの目を見ると、デーモンの鋭い目の先は二人の胸を向いていた。


「小と無しか……。そういや鳥女がそれなりにあった気が」


「「てめえまじでふざけんなよ?」」


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同時刻 屋敷の前にて

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「調査のご協力ありがとうございました。」


「いえ、もとはと言えば私が……。」


「そんなことありません。あなたも二人に操られた被害者。団長も今回の件、あなたに責任を追及するつもりは無いようなので。」


「ありがとうございます。私は家さえ無事ならば……」


ドッカーン!


「うちのいええ!!!!」


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案の定

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「なんなのあんたら?ろくに留守番もできないわけ?」


「「「まことに申し訳ございません。」」」


 三人はユーラの魔法によって爆発した部屋から移し替え、隣の部屋で正座し説教を食らっていた。この屋敷は大樹と一体となり、ジャッジが一人で住むには部屋が有り余るほどに存在する。故に、一つくらい消し飛んでもー


「次部屋壊したら五体満足でこの森出れると思うなよ?」


大丈夫とはいかなかったようだ。ダンスはしょんぼりしながらジャッジに気になることを問いかけた。


「ていうか、ジャッジそんなキャラだっけ?」


 それに合わせる形でユーラも口を開ける。


「そうよ、あんた初対面のときは敬語でめそめそしてて。」


 ジャッジはため息を吐きながら質問に答えた。


「別に……あれはあの二人組に怯えてただけで、ほんとは私もっと明るい性格だよ。」


「ああ、エロい。」


「セクシーだけどエロくはない。だいたいあんた誰ですか?」


「俺か?俺はこいつらの仲間だ。名前はデーモン、よろしく。」


「私は一度たりとも認めてないけどね!」


 ユーラは立ち上がりデーモンに反抗する。しかし、デーモンも意見を曲げない。


「安心しろユーラ、少なくとも俺とお前の考えてることは一緒だ。」


「一緒?なわけないでしょ?」


 デーモンは立ち上がり、対抗するユーラに顔を近づける。


「同じはずだ、帝国の改革。そうだろ?」


「かい……かく?」


「ああ、この世界は、中央帝国のせいであらゆる小国が危険に晒されている。俺はそんな現状を変えたい。そのためにまず、『惑星』の体制を破壊する。」


 ユーラはデーモンの突拍子もない論調に目をひそめる。


「惑星?」


「なんだ?お前セイレナの生き残りのくせに『惑星』も知らねえのか?」


「違うわよ、なんで『惑星』なんかを。」


 疑問符が頭から消えないユーラの顔を、デーモンは目を見開き覗き込む。


「いいか?反逆の街セイレナを炎の渦に包み込んだのはたった一人の男。そして、そいつこそが火星(マーズ)!『惑星』の一人だ!」


「え……。」


 ユーラは時間が止まったかのような感覚に襲われた。デーモンの一言が脳内で何度も繰り返される。そして、それと同時に疑いの念が無尽蔵に湧いてくるのであった。ユーラは眉間にしわを寄せデーモンの胸ぐらを掴む。


「それは本当なの!?」


「俺は元世界一の情報屋だ。掴むネタは間違えねえ。」


 そんな二人のやり取りを前に、ダンスはジャッジに疑問を投げる。


「『惑星』ってなんなの?」


「ううん、うちもよく分かんない。」


 そんな二人にユーラは呟いた。


「帝国軍が持つ最高戦力にして、七人で構成された特殊部隊よ。」


「たった七人?それなのに最高戦力なの?」


 疑問を増すダンスに、デーモンは解説を加える。


「その七人がありえねえ程強いんだ。その戦力は一人で一国の軍隊を圧倒する。惑星の存在が帝国に他の国が逆らえない大きな理由だ。だからああやって呪術のような卑怯な手段を企てる国も現れ、それを帝国は反乱分子として徹底的に叩きのめすんだよ。」


 ユーラは深刻な表情を浮かべながらデーモンの胸ぐらを離す。


「やっと分かった。私が敵を討つ相手が……。」


「ちょっとユーラ!こいつの話真に受けちゃ!」


 デーモンはダンスの口に手を当て、そのセリフを遮る。




「ユーラ、もう一度聞く。俺と徒党を組め!」


------------------------


「団長!磨羯(カプリコン)団長!」


 恐山のもとに、一人の帝国騎士がやってくる。


「だから、その名前であんまり呼ばないで下さいよ。」


「皇帝からお達しが届きました!」


「?」


「早ければ三日後には『惑星』をルーレンシアに派遣する。それに同行せよとのことです!」


 それを聞いた恐山の表情に、暗い影が差す。


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