ネカマちゃんとネカマちゃんラブな女の子たち
さて、私は学校に着いた。
因みに、セクハラごっこは思いの外楽しかった。今度は、斉藤さんゲームで個人情報を引き出してくるジジイと美少女ごっこをやろうと思っている。
まぁ、セクハラごっこは置いといて。
「ねぇ、あの子……」
「え、マジ? アレがヒステリック束縛女?」
あん? お次は、ヒステリックに束縛と来ましたか。ヒステリックは何? どっから来たのそれ。てか、束縛とかしてねぇ。昨日軽く噂が出てただけなのに、こんなに広まっちゃって。皆さんの野次馬精神にはホント頭下がるわ。
「ねぇ、梓。気にしなくて良いよ?」
澪がまた心配そうに聞いてくれた。上目遣いだ、可愛い。
「大丈夫、大丈夫。全部デマだし、別の人が言われてると思うことにするよ」
じゃないと、ブチ切れて跳び蹴りしちゃいそうだし。
「え……やば。……さいてーじゃん」
「ほんとそれな」
「あははっ。ボロクソ言われてんな! マジクソワロタ!」
何故か爽やかさのある高笑いが響いた。さっきまであんなに煩かったヒソヒソ声は、一瞬にして聞こえなくなる。
奴が貶しに来やがったのだ。
宵宮 律樹。
同級生で、クラスはA組。頭は良い。中学も一緒だった。
そこそこのイケメンで、クズ。2日に1回一緒に居る女の子替わってる。そして今、こいつの背後には取り巻きの女子達がいる。めちゃくちゃいる。
そんな、チャラ男は裏ではゲームオタクだ。
こいつのゲームでのハンドルネームは『キリカ』と言い、ネカマをだった。確か、アカウントの見た目はピンク色のツインテールの女の子でチャットではツンデレ装ってたと思う。何故、ネカマと判明したのかは機会があれば追記するとして。判明してからは、キリカちゃんと呼びかけたりしてこいつをからかっている。我ながら良い性格をしていると思う。
あぁ、話は変わるがこいつも昨夜、私がLimeでメッセージを送ろうと思っていたグループの一人。私と澪、キリカちゃんのグループ。
「何、人が悪口言われまくってる時に高笑いしてんだよ。この、ネかっ……あー、ごめんごめん、悪かった、私が悪かった。だからその振り上げてる水筒を降ろして」
キリカちゃんはネカマということがバレるのは相当嫌らしく、その話を出すと私を殺そうとしてくる。おまけに良い笑顔で凶器を振り上げてるもんだから、マジで怖い。
「宵宮君、学校の玄関口を殺人現場にしないで下さい」
「はいはい、ごめんね。栗花落さん」
「みおりん、そこは私の心配をして欲しかったな……」
「早く教室に行きましょう」
「無視かー……」
そうして、仲良し三人組とキリカちゃんラブな女の子たちは教室に向かった。いやもう本当、キリカちゃんラブな女の子たち居すぎ、めちゃくちゃぞろぞろ居るんですけど。何? キリカお前、軍率いてんの?
その軍隊の先頭らへんに居る私は、相当目立ってしまっていた。噂話が更に人に広まっていく分かる程、人が私達の方を見て何かを言っている。中には、指を指している人も居る。
「めっちゃ指さされるだけど、マナーとして良くないからやめた方が良いよって言いたい」
「梓。そこじゃない」
「ズレすぎたわ、お前。そこは悲しんどけ」
そう? 一般常識は守れないと、社会に出たら恥ずかしい大人になるってお母さんに言われたから気になっちゃうんだよね。それにしても皆さん、ヒソヒソとまぁ悪口を沢山言ってくださる。
「ねぇさ、私こんだけ悪口言われてたら机の上に白い花の生けてある花瓶とか、机に『クソビッチ』『死ね』とか書かれてるかな」
「いや、真逆そんなわけ……」
「おい待て、律樹。フラグ建てんな」
「あ、ごめ。じゃあ俺自分の教室行くから」
うわ、フラグ建てて逃げやがった。
建て逃げだ。罪深い。
ガララッ
教室の中で私の机の方を見ると、そこには学級委員の羽鳥が私の机を拭いていた。
「え?」
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