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8話 打ち明ける話と感想

「何かの小説や漫画みたいなお話ですね」

「不思議な話だねぇ。でも、面白そう」


それが、椿の話に対する友人二人の第一声目、感想だった。


「色々なことを一度に聞かされ過ぎて、まだ全部受け止めきれていないよ…」


椿は、はぁっと溜息を吐きながら、机にバタンと上体を倒す。


姫とか、王国とかおとぎ話の世界にしか存在しないと思っていたし、あっても自分には縁がない話だと思ってた。


でも、2人に話したおかげで少しスッキリしたような気もする。


そして、突拍子もないことを話した椿をなんの疑いもなく信じてくれたこともかなり安心した。


これで、「あんた、何言ってんの」とか言われたら立ち直れなかった。


「でも、もし、夢にそんなこと起こったら、頭パンパンになって寝込んでるよ…」


夢が感想に続けて言った。


机に上体を倒したまま、顔だけくるんと動かして夢の方を見ると、夢の顔には、苦笑が浮かんでいた。


「夢さんは深く考えるのがあまり得意ではないですからね」


琴音がそう呆れたように続けると、夢はぷくりと頬を膨らませた。


「…どーせ、夢はバカですよぉーだっ」


「…自分がそう言い出したのでしょう?」


琴音も負けじと言い返す。


「まあまあ、2人とも…」


椿は机から上体を起こし、今にも喧嘩が始まりそうな2人を止める。


この2人は、仲がいいんだか悪いんだか…。


まあ、この2人が本気で喧嘩をしている所など見たことがないが。


何やかんや言って、夢は琴音を頼りにしているし、琴音は琴音で夢の世話を甲斐甲斐しく焼いている。


「それにしても、椿が姫の生まれ変わりねぇ…」


夢が話を元に戻す。

じっとこちらを見つめる夢に椿は若干たじろぐ。


相変わらず夢は気分の切り替えは早いようである。


「たしかに椿は、姫感出てるよ」


たじろぐ椿は、さくっと無視し、思う存分椿を見つめたあと、夢は、1人、納得したようにうん、うんと頷いて言った。


「…姫感…?」


椿が、夢の視線から逃れ、少しほっとしつつ、首を傾げて尋ねると、


「うん。美少女だし…それに、茶色のふわふわな髪をしているし」


「…美少女じゃないし、これ、癖毛だし」


と椿が言うが、そんなことは気にしないというか、きっと聞こえていない夢は、椿の言葉をさくっと無視する。


「だから、椿はドレスとか似合いそうだよ、うん」


自分の世界に入りこんでしまっている。

…いつかの…というか、つい先程のデジャヴ…


夢は、キラキラと瞳を輝かせている。


悪い子ではないのだ、うん。

すこし、人の話を聞いていないことが多いだけで。


「う、うーん、それは、どーかなぁ…」


あまりにもキラキラした瞳で見つめられて、椿は苦笑しつつ返した。


「それで、椿さんはどうするのです?」

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