fireman(炎使い)
☆これまでの登場人物
・ジム・デッカード
本作の主人公。サラリーマン。街でゾンビに襲われていたところをケインに助けられる。武器は護身用に持っていたハンドガンと戦闘中に拾った大ぶりのレンチ。
・ケイン・キック
本作もう1人の主人公。消防士。ジムを助け設備の整ったビルに立て籠もる。状況判断が的確で、頭の切れる男。武器は万能斧。
・戦闘慣れした男/ラインハルト
ニューリバティ上空で開始された第一次降下作戦実行部隊の生き残り。パンデミックから2日後にパラシュートでニューリバティシティに降下してきた。
ゾンビを恐れず、卓越した戦闘技術と状況把握能力でで対峙したゾンビの大群ですらいともたやすく薙ぎ払う。武器はボウガンとナイフ、タクティカルトマホーク(手斧)。
・ギャレット
経験豊富な元傭兵。自宅でゾンビ達に包囲され、身動きが取れなかったところをその場に降下してきたラインハルトによって救われる。引退してはいるものの装備を一目見ただけでラインハルトの正体を当てるなど、優れた洞察力がうかがえる。
☆これまでのFAZ
2020年10月10日、ゾンビパンデミックにより地獄と化した街、ニューリバティを政府は封鎖する。街と本土とをつなぐ桟橋が上がり、生存者達はこの街に閉じ込められたのだった。
ケインとジムは身を置いているビルが長期決戦に不向きであると判断し、ついに脱出を開始する。
一方それから2日後のニューリバティシティの住宅地では、戦闘慣れした男がギャレットと名乗る元傭兵と出会う。男はラインハルトと名乗り、二人でタッグを組んでこの街の生存者達を探し集合することを決意したのだった。
(2010年10月10日 20:00 ニューリバティシティ ウルトラダイナミック本社ビル)
街にはうめき声が溢れ、死者達の大行進が続く中、突如としてそれは起こった。
息をしていない女が、同じように息をしていない男のすぐ後ろでよろけていた。
次の瞬間、男の燃え上がる体が女の曇りきってもはや知性の感じられない眼に反射した。
男は痛みを感じなかった。が、次の瞬間には黒焦げになり、再び立ち上がることはなかった。
嗅覚か、あるいは殺気か、死体になってそう時間が経っていない女は、発火事件の犯人の方へと振り返った。
摩天楼のビルの下、2人の男が立っていた。
女のうめき声に呼応するかのように、他のゾンビ達が2人に向かってよろめきながら近づき始めた。
戦いが、始まろうとしていた。
「ジム!今だあれを使え!」
ケインは声を張り上げた。ジムはすかさず先ほど作った即席火炎瓶を取り出した。
このお手製火炎瓶は、瓶に縛られた布の間から短く折ったマッチ棒が飛び出ている。
これをベルトに貼り付けたマッチ箱の着火用紙で瓶ごと擦り、火をつける。
彼は少し距離のあるゾンビの群れに投げつけ、そのうちの一体の頭に火のついた酒瓶がぶち当たり、周りの五体ほど一斉に燃え上がる。
それを確認したケインは手前のゾンビ達を筋力と大ぶりの万能斧を頼りに薙ぎ払っていく。
ー火炎瓶は全部で六つ、さっきドアの前のやつらを蹴散らすために俺が一本、今道を作るためにジムがもう一本使った。
残りは四本、一人二本ずつだ。
決して充分な数とは言えないが、ケインには作戦があった。
すなわち、
直線で考えた時、真正面に位置するやつだけを倒して道を作る。
最終目的地は警察署だが、まずは少し遠回りにはなるが街のでかいトレーニングジムに行く。そこで中のゾンビどもを一掃、バリケードを設置した後プロテインバーやエナジードリンクなどの食料を補給しし、ゾンビの少ない屋根から屋根へと移って極力戦闘を避けながら警察署を目指す。
休日は結構な頻度で通っていたジムだ。トレーニングジム周辺の建物の高さがこの作戦が成功させる確率を格段と上げてくれた。
「前方に新たな群れ!援護は任せろ!」
ジムが叫ぶ。
銃声が聞こえ、ケインに1番近いゾンビが2度目の人生を終える。倒れたそいつに斧を突き刺して固定し、自分が持っている火炎瓶を群れに向けて投げつける。
ー火を消すのが仕事だった俺が、火をつける側に回るとはな。
群れのほとんどが消し炭になった後、残りを再び斧で蹴散らし走り始める。
ケインはジムに比べて体力がある。だからケインが先頭を切り、ジムが援護する。
これの繰り返しだ。
さらに走っていると、トレーニングジムが手前に見えてきた。
固まっていたのはビルの辺りだけで、それほど出くわさなかったな。
二人でトレーニングジムの駐車場に入り、フェンスを閉める。すでに入り込んでいたゾンビ数体を倒して、まずはお互いの安全を喜ぶ。
まずは一戦に勝利した。
少し休憩を取った後、二人はトレーニングジムの中へと入っていったのだった。
テスト前はこれで最後になります!
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