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ゾンビ再殺部隊 [Fight Against Zombies!]  作者: たまご風味
序章
5/18

生存確率0%

☆これまでの登場人物


・ジム・デッカード

サラリーマン。街でゾンビに襲われていたところをケインに助けられる。武器は護身用に持っていたハンドガンと戦闘中に拾った大ぶりのレンチ。


・ケイン・キック

消防士。ジムを助け自分の拠点とした建物に立て籠もる。武器は消防署内にあった万能斧。


☆これまでのFAZ


地獄と化した街で出会ったジムとケインは行動をともにする。2人でビルに立て篭り、食事を取った後仮眠をとるが…

〈市長、ニューリバティ一帯の封鎖を決断〉

〈政府が今日午後5時半ごろ会見を〉

ー各情報発信システム



(2020年10月10日 5時24分 ニューリバティシティ ウルトラダイナミック本社ビル屋上)


ジム・デッカードはニューリバティ鉄道の中で揺られていた。人口爆発により渋滞の多いこの街では、出勤に鉄道を使う人も多い。ジムもその一人だー

「おい!起きろ!!」


ジムは突然夢の中から現実世界へと引きずり出された。

ケインか?しばらく寝ようと話してたが、もう4時間経ったのか?


「どうしたんだケイー」

「まずはこれを聞いてくれ!」

先ほど出会ったばかりの消防士、ケイン・キックはビルのどこかで拾ってきたのであろう、寝る前まではなかった携帯式ラジオを手にしていた。


「俺のスマホは充電切れだったから、寝る前に五階のオフィスで見つけてきたんだ。」ケインが説明する。


最初、ラジオから流れていたのは雑音だった。しばらくすると、何かの記者会見であろう、ざわめきとシャッターを切る音が聞こえてきた。


《ーこれより、現在ニューリバティシティで起こっている、大規模ウィルスパンデミックについての政府記者会見を行います。まず、パンデミックの内容についてです。》


別の男の声に変わる。


《5時32分現在、ニューリバティシティでは新種の狂犬病と思われるウィルスパンデミックが発生ししています。


ウィルスの特徴として、人が感染、発症すると今までに発見されてきた狂犬病と同じく昏睡状態に入り、ほぼ100%死に至りますが、死後硬直せず、しばらくすると理性は無くなるものの脳の一部機能が復活、他の生物に対し危害を加えるようになる事が現在わかっています。


今のところ、感染が確認されているのはニューリバティシティのみであります。》


ケインが眉をひそめる。雑音の中、ラジオから記者が質問する声が聞こえる。


《本土への感染拡大はないんですか?》


先ほど説明していた男の声が答える。


《今の所確認されておりません。今後の対応について、ニューリバティ市長からお話があります。》


市長と思わしき人物が話し始める


《本土にウィルスが渡れば、さらなる感染拡大につながります。そこで、まだ生存者がいる中での苦渋の決断ではありますが、ニューリバティシティ一帯を封鎖することに決定いたしました。》


ジムは頭がくらくらした。封鎖するだって!?じゃあ俺たちはどうなるんだ!?


ニューリバティシティは大きな島である。本土との距離は近いものの、間は二本の桟橋でつながっているため、そこの二つさえ封鎖されてしまえばケインとジム、そしてまだいるかもしれない他の生存者達はこの街から脱出できない。


先ほどとは別の記者が質問する。


《封鎖線に閉じ込められた市民達はどうなるんですか!?見殺しにするんですか!?》


ウィルスについて質問していた男が答える。おそらくその男が対策本部のリーダー格なのだろう。


《我々は見殺しになど決してしません。現在、軍や警察機関、そして傭兵派遣会社などから選りすぐりの特殊部隊を編成している最中です。彼らは一人一人が戦争、戦闘のプロフェッショナルです。目的はまず生存者の捜索並びに救助、そして次に今回の発生源の特定、解明であります。第一陣はすでに突入準備に入りました。第二陣は科学者や薬学者、医者なども従軍する予定で、現在参加者を募っています。特殊部隊到着までの間、ニューリバティ市民の皆さんには冷静な行動を宜しくお願いします》


《突入方法はどのような形でしょうかー》

《それまでの間救援物資などはー》

《遺体の回収作業についてはー》


ケインがラジオの電源を消し、屋上のパイプを蹴りつけた。


「要は、俺たちは脱出不可能。この地獄と化した街で救助されるまでの間、生き延びなきゃならなくなった。そもそもその特殊部隊がいつ来るかも明確にされてないし、2日後かもしれないし、あるいは一週間後かもしれない。何かの反対運動とかなんやらで作戦自体が消えて無くなる可能性だってある。市長め、自分だけ安全なところに逃げやがって」


ジムが答えようとした時、遠くで音がした。


ビルの摩天楼の向こう、この街の末端で、他の数ある建造物にもまさるひときわ大きな桟橋が、そのつなぎ目を重々しく外し、こちら側と対岸とでゆっくりと上がっていった。


生存者達の生命線が、最後の命綱が、絶たれた音だった。


2020年10月10日午後6時、沈む夕日と、この街に残された生存者達の深い絶望とともに、パンデミック最初の夜が訪れたのだった…

このところ学校行事があり、なかなか更新できませんでした。申し訳ありません。次は期末テストがあああ…


ちなみに、登場人物の苗字は適当です。名前と人格、パンデミック発生前の職業は事前に考えていますが、苗字は書くときにその場で考えています。


ジムだけは違ったかな…

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