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ゾンビ再殺部隊 [Fight Against Zombies!]  作者: たまご風味
season1
14/18

ゾンビ再殺部隊

長い間更新ができず申し訳ありませんでした。

第1章を書くにあたり、裏設定やストーリーに変更や追加をしなくてはならないところが多々あり、また登場人物も新たに増えるだけあってわかりやすく書くのが大変でした。二学期は行事も忙しく、ペースが落ちてしまうのが現状ですが、このシリーズはこれからも続けていく予定です。ジム達の活躍にご期待ください!


拙い文章ではありますが、感想、レビュー等いただけると非常に励みになります。またツイッターなどで紹介していただければ幸いです。



〈今日未明、街の郊外にあるグレートフォンデイション社の私有地の実験棟で、大規模な爆発が発生しました、消防隊は既に出動しており…〉


ー2020年 10月10日 ニューリバティー鉄道車内電光掲示板



(2020年 12月25日 15:00 ニューリバティシティ市街地)


彼は歩いていた。


地面には雪が薄く積もっている。だが彼は町の幻想的な風景を気にも留めなかった。


12月25日ークリスマスである。いつもなら町は色めき立っているだろう。赤と白の服を着た小太りの優しい老人を真似たケーキの販売員や、目が眩むほど鮮やかなイルミネーションで溢れているはずである。


だが町には営業中の店は何1つなかったし、プレゼントに小躍りする子供もいなかった。


だがその事にも彼はなんとも思わなかった。あるのは食肉衝動だけである。


ふと物音がして、彼はそちらを振り返り、音を立てた犯人を見つけた。

犬がいた。痩せ細った犬。ボロボロになった首輪をつけ、警戒した様子でこちらを伺っている。

彼は犬に向かってよろよろと近づきはじめた。犬は怯えるように吠える。

それを気にする様子もなく、彼は犬に掴みかかると大きく口を開け、そしてー


「そいつはクリスマスディナーには向いてないな」

彼の後ろで男の声がした。


その男は素早く跳躍し、

彼が振り返るよりも先に彼の頭を「斬り」落としていた。

彼の目に最後に移ったのは崩れるように倒れていく己の胴体だった。



「こっちは片付いた。こいつで最後だった。」そう言うと男は「刀」をしまって犬に近づき、持っていた食糧を少し分けてやる。


「レイモンド、あまり食糧を無駄にするな。」ジムはそう言いつつも犬に手を伸ばし撫でようとする。


レイモンドと呼ばれた男は朗らかに笑った。「こいつが腹を空かせてたんで、つい」


ジムは頷き、立ち上がって言った。

「ジョンソン、バルセロナ、報告を」


ジョンソンと呼ばれた女は話し始めた。

「ここ一帯のゾンビは全て排除したわ。」


それを引き継ぐようにバルセロナー本名はアーロンという男だーが口を開く。

「ただ弾薬と食糧が残り少ない。そろそろハウスに戻ったほうがいいだろう。」


ジムは軽くため息をついて言った。

「ジェイソン、リサーチチームが頼んでた設計図は?」


「手に入れました。データの破損はありません。」

ジェイソンはがっしりとした大男だ。いかつい見た目だが空気の読める真面目な男で、かつては別の男が使っていた万能斧を相棒にしている。


「よくやったぜホッケーマスク」

レイモンドが茶々を入れ、それをたしなめるようにジョンソンが彼を小突いた。


「俺をそう呼ぶなって何度言ったらわかるんだ」

ジェイソンは唸った。


「了解ジェイソン、よくやった。これより本隊は帰還する。」

ジムはレイモンドとジェイソンの掛け合いを途中で遮り言った。


辺りを見渡す。

彼はこの3ヶ月ほどでパンデミック直後とは見違えるほどがっしりとしていた。感染者との戦いは彼を変え、より強く、よりたくましくしていた。

ただのサラリーマンにすぎなかった彼は、毎朝通勤するために使う地下鉄の中でつまらなくも平穏な日常を取り上げられた。謎の感染症が猛威を振るい、一度死んだものたちが墓石を砕きながら蘇ってくる世界。ジムは彼らを恐れ、そしてその恐怖を克服していった。


3ヶ月に及ぶサバイバル生活の中で、多くを失い、さらに多くを失いかけた。

それでも彼はくじけなかった。彼が膝をつくことはなかった。再び平穏を取り返すその日まで、彼はささやかだが幸せだった日々を奪ったウィルスを、感染者を、自らの手で駆逐し続ける。


それを可能にするべく作られた組織がRKTFーRe Kill Task Force(=再殺部隊)だった。

メンバーを能力に合わせて2つのファイアチームに分け、ゾンビを殲滅することのみを目的とする組織。


ジムは自分が指揮するチームに「アレス」の名をつけた。軍神アレス。暴力的で、冷酷だったアレスは民にすら嫌われた。

だがその荒々しさを、ジムは気に入ったのだった。


「キャプテン!新手だ!」レイモンドが叫ぶ。手には双眼鏡が。


新手だと?このエリアのゾンビは全て排除したはずなのに。ジムはすぐに指示を出す。

「アレス2、報告!」

「2時の方向から新手の敵!大群だ!」

アレス2ーレイモンドが報告する。


大勢を相手にするにはこちらの部が悪過ぎる。ジムは少し考えると、再び指示を出す。


「距離はどれぐらいだ」


「奴らがこちらを確認するまでもってあと5分ぐらいだろう」


「了解。ファイアチーム、帰還を中止。サバイバーズハウスまでまで奴らをひき連れてくわけにはいかない。あのビルまで走れ!」


後ろから迫るはゾンビの大群。こちらのメンバーは10人もいない。


ああ、ケイン、


ジムは走りながら心の中で呟いた。


こんな時お前ならどうするんだ。



・ジム・デッカード

本作の主人公。元サラリーマンだったが、パンデミック発生から数日のうちに数多くの死地をくぐり抜けてきたため、ゾンビを恐れない。トレーニングを積むことで、わずか3ヶ月の間に身体つきもがっしりとし、筋肉がついた。体術を心得ており、また聴覚も鋭い。

サバイバーズハウスが立ち上げた対ゾンビ部隊RKTF(Re Kll Task Force)の少人数編成の分隊ファイアチーム・アレスのリーダーを務める。


♢RKTF

正式名称はRe Kill Task Force(=再殺部隊)である。

ゾンビの殲滅のみを目的として作られた組織で、5〜10名のファイアチームを編成し任務にあたる。

現在、RKTFには2つのファイアチームがあり、そのうちの1つはジムが指揮をとっている。


死傷率、感染率が高く、それ故メンバーの移動も激しいため、2チームの他に30名ほどのメンバーが待機しており、メンバーの交換やファイアチームでは手に負えない大規模戦のためにいつでも戦闘に参加できるよう訓練されているため、実戦経験を除けばレギュラーメンバーとの差はあまりない。


♢ファイアチーム・アレス

RKTF内で編成された小隊の1つ。

ジムをリーダーに個性的なメンバーが多く所属している。

ジムに対しラフな態度のものが多いが指揮系統は確立されており、チームとしての結束力も強い。


全員で帰還することを目標としているジムの方針により、RKTFの中では死傷率が低い方。


☆アレスメンバー

ファイアチーム・アレスのメンバー。彼らは作戦展開中、各名前の右に書かれているコードナンバーでやり取りすることもある。なお、アレス1(アレス・キャプテン)はジム・デッカードである。ただしここでは主要メンバーのみ紹介し、彼らの他にもアレスに配属されている兵士はいる。


・レイモンドーアレス2

ファイアチーム・アレスのサブリーダーを務める男。元はスタントマンだった。タクティカルソードを愛用。


・バルセロナーアレス3

ファイアチーム・アレスのサブリーダーを務める。異国人の気のいい男。レイモンドにあだ名をつけられ、以後アレス内ではこの呼ばれ方である。本名はアーロン。

武器はショットガン。


・ジョンソンーアレス4

ファイアチーム・アレスでは数少ない女性メンバー。

無口なタイプで、アサルトライフルを常に持ち歩いている。


・ジェイソン(ホッケーマスク)ーアレス5

ジェイソンという本名を知ってレイモンドが命名した。かつて別の男が使っていた火災用の万能斧が相棒。ファイアチーム・アレスに所属。


・マイクーアレス6

ファイアチーム・アレスの衛生兵

丁寧な口調で話す。

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