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異世界単騎特攻  作者: 桐之霧ノ助
禁忌と魔王の第六章
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ソレ

 自分の身の丈に合わないサイズの両手剣を背負いながら、空躍して壁の上に降り立つ。


 そこから見えたのは地獄絵図だった。

 黒と赤のコントラストが辺り一面に広がっていた。時折壁に向かって突進してくる魔獣の振動が壁を伝わって俺達の立っている場所を強く揺らす。

 魔獣たちは猛り狂い、盛んに咆哮を飛ばし合う。あれだけ互いに不干渉だった彼らがお互いに連携を取り合っている様でもあった。


「こいつら、全員魔獣なのか......?」


 三日前にここに来た時よりも格段に数が増えている。足の踏み場もない程に真っ黒な影がうごめいていた。


 その時、全ての魔獣が動きを止めた。

 異様なまでに辺りが静まりかえる。

 俺は冷や汗を流しながらその光景をただ見ていることしか出来なかった。

 次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()


 背筋に冷たいものが走る。

 だが萎縮してはいけない。歯を噛み締め、恐怖を押し戻す。

 足を1歩踏み出せば、自分は真っ逆さまに落ちていくことだろう。だがそうしなければ何も始まらない。

 俺は自分の胸を叩いて意識を現実に引き戻し、背負った両手剣を引き抜いた。


「行くぞ」

「うん」


 ウィズを脇腹に抱えたまま稲妻のような速さで垂直落下する。

 魔獣の頭にロングロングソードを突き刺し、木端微塵に粉砕すると、そのまま魔獣の身体をクッションにして地面に降り立った。

 咆哮が鼓膜をつんざく。


 俺はウィズをその場に置いて駆け出した。

 魔獣の腹の下に突っ込みながら、剣を突き立てる。腹の中が開かれて魔石が顔を出した。


「そこだッ!!」


 空間断絶を使い斬撃を飛ばす。驚く程の切れ味で魔石が真っ二つに割れた。


「ウィズ! 粉砕しろ!」

「え?」

「魔石だ! 魔獣が蘇る!」


 魔石はカタカタと揺れて少しずつ切れた場所が近づいていく。このままだと生き返るのではないかと野生の勘が囁いていた。

 ウィズが粉々にしたところで鼓動が止まった。黒い液体が地面に染み込んでいく。


「これでやっと2体か......!」


 前からのブレスに対応していると、後ろから来た魔獣に噛みつかれる。噛み付いた魔獣はブレスでドロドロに溶けてしまうものの、俺の胴体も道連れにする。

 鬼化の能力で再生している隙を付いて、尾で弾き飛ばされる。剣を地中に突き刺して勢いを殺す。


 手当り次第に剣を振り抜けば魔獣が弾け飛び、何処かの部位は宙に飛ぶ。だが魔獣にも再生能力があるらしく、瞬く間に再生していた。

 魔石を壊さなければ何度でも蘇るらしい。

 生命力の強いものは斬っても蘇ることがある。動かなくなるまで叩き潰すしかない。


鬼化強化(ブースト・オン)


 俺の目が煌々と赤く燃え上がる。

 身体中の筋肉がよりしなやかに動き、液体は指を曲げるように自由自在に動き、さらに動きは加速する。


「オオオオオオォォォォォ!!!!」


 魔獣の咆哮と俺の唸り声が重なった。

 俺は宙を舞う様に魔獣の身体を飛び回り、魔獣の胴体と足を次々に切り離す。

 再生して起き上がるまでに数秒間、それさえあれば十分だった。

 剣を振れば遠心力が生まれ、重心がずれる。その剣の重さと研ぎ澄まされた感覚から生まれる超高速移動。

 流れるような足運びで、回転切りを魔獣の胴体に叩き込む。

 連続して二体目の胴体も掻っ捌く。正中線を切れば大方魔石も切れるらしい。魔石が切れれば胴体は液体になるので、魔石はむき出しになる。

 つまり、こいつらの肉が全て地面に消えた時が俺達の戦いの終わりということだ。


 連続して魔獣を切るのは、まるで踊っているようだった。

 驚くほど剣が軽く感じた。当たった感触なく真っ二つに切れるのもあったのだと思う。自分の体のコントロールがミリ単位で行える。

 足運びが軽やかに動く。これまでにないぐらい、周りの様子がよく見えている。


「172体、」


 ぼそりと呟いた。それが何の数字なのかすぐには理解できなかった。

 それが敵の総数だと気づいた。無意識に数えていたのだろうか。

 そしてその魔獣の壁の向こうに何かが見えたのを俺は見落とさなかった。


「待て!!」


 その影はこちらの言葉を聞いて振り返った。その姿は人ならざる者だった。

 ソイツににらまれた瞬間に俺の背筋に何か電撃のようなものが走ったような気がした。

 恐怖とは少し違う。

 これは......何だ?

 ドクンと胸の奥が響いたような気がした。内側から身が割かれてしまって中から何かが飛び出してきそうな気がした。

 そして俺ははっきりと分かった。


「ガイノウトォ!!」

「......」


 その人間ではない何かがこちらを向いていた。

 顔もない。どちらが前なのかもわからない。全面黒のソレは異物を体に張り付けたような見た目をしている。まるでゴツゴツとした崖の岩肌を切り取ったようだった。

 ソレはこちらに意識を向けることなく、どこかに歩いていく。


「待てッ!!」


 魔獣の山が一斉にガイノウトまでの道筋を塞いだ。

 空躍で近づこうとするも、魔獣の頭突きで叩き落とされる。


「クソッ!」


 振り払っても次から次に現れる魔獣の山がソレへの道を塞いでしまう。

 意図して塞いでいるのだろうか。

 だったら全て倒してやる。その上でお前のところまで辿りついてやる。

 紅色の瞳が強く光った。

ガイノウトが現れました。人ではない姿、まさにバケモノですね。

今日は少し遅れてしまいました。まぁ、ばれないでしょう(楽観視)

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