第五十一話 ポテンシャルはインフィニティ
新要素【特典スキル】説明回です。
とっくにストックが尽きてますので、徐々に更新頻度が伸びていってごめんなさいm(__)m
「この【特典スキル】《初級魔術の才》ってなんだろな?」
1度眠りについた後、夜中に目が覚めたおっさんことアイバー。日課のMP消費を《土魔法Lv3》の《土付与》で行った後、ステータス閲覧をしていた。
「《火魔法》習得の天の声のすぐ後に来たな………そう考えると《火魔法》を覚えたことで条件を満たした、とかの可能性が大きいかな?」
前生でのゲームでもこんなシステムを見たことがあった。特定のスキルを取ったり、特定の職業の熟練度を満たしたりすると出る上級スキルとかの類いだ。
「憶測ばっかでもしゃーないし、明日詳しそうな人に聞いてみよ…教会はヤヴァイから、ギルド長にでも聞くか?」
「クゥゥクゥゥ?」
「ごめん、ブラン、起こしちゃったか? ほれ、布団の中においで。あ、足側がいいのね…猫みてえ、お休み…zzz」
こうして一夜が明けていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
いつものように宿屋看板娘長女マナの笑顔を見ながら朝食を済ませたアイバー。
同じ宿に泊まっていたミゼット達や変態は今日も『伐採』依頼を受けるという事だが、アイバーは昨日言った通り別行動を行う予定だ。
依頼争奪戦が終わった頃を見計らってギルドに顔を出す。
おっさんは混んでる所に行くのは苦手なのだ。スーパーなら平日は閉店ギリギリ、休日には昼過ぎ、近所のコンビニも昼前や午後2~3時頃等の勤め人や学生が少ない時間を狙って行く。
深夜に行動する引きこもりの心情に近いものがあると思う。
「カーミラさん、こんにちは」
「どうも、アイバーさん。依頼を受けてくださるのですか?」
今日もクールビューティーしてるダークエルフ受付嬢カーミラさんだ♪
「今日はちょっと別件でして。ギルド長はいますか? お聞きしたい事がありまして」
「………どういったご用件でしょうか?」
なんだか妙に間がある返事だった気がするが、気にしないアイバー。
が、ちょいとばかり悪戯の虫が騒ぐアイバー。
「経験豊富なギルド長の体験談を伺いたい事が出来まして」
「け、経験豊富!? た、体験談!? い、いったい何を…コホン!! ギルド長は多忙ですので…」
「ならカーミラさんでも構わないですが…」
スキルについての事なので、ギルドの人なら知っていそうな気もするしな♪
不埒な事は考えてないよ~♪
「教えて下さいますか?」
「ええ!? わ、私ですか…その…あの…」
褐色の肌のダークエルフなのだが、なんだか顔が赤くなっているような気がする。どうしたというのであろうか…ニヤニヤ♪
おぼっ娘ちゃんをからかうのは楽しいが、本気で嫌われるのは嫌なのでそろそろ会話の軌道修正をしなくては。
おっさんは若い娘さんから嫌われるのが怖いのだ。
「スキルについてなんですが、カーミラさん詳しいですか? ギルド長は冒険者としての経験が豊富だとお聞きしましたので、その中で培ったスキルについての体験を持ってすれば俺の疑問に答えてくれるのではないかと♪」
何1つ嘘はついていない。まあ、最初の質問が意図的編集なのは認めるが。
「…少々お待ちください…からかいましたね」
最後にボソリと呟くカーミラ。
やべ、今度依頼受けてご機嫌取りしないと。
「やあやあアイバーくん♪ 私と話がしたいって? 君の期待に応えられるかは分からないが、ご指名とあらば仕方ないな♪」
なんだか嬉しそうなギルド長である。今日も先程までムチを振るっていたのだろうか?
「で、スキルの話だったね。余人に聞かせたくないのなら応接室…それが面倒なら解体所に行くかい? あそこは今の時間ならゴーシュしかいないだろうからね」
ゴーシュさんか、あの人の所なら大丈夫そうだ。聞いても言いふらしたりはしなさそうだな。
1度会っただけなのに謎のゴーシュへの信頼 。男は寡黙な職人肌の男には無条件の信頼を向けてしまうモノである。
「ゴーシュさんになら聞かれてもいいです」
「では解体所へ行こう。すぐに行くから先に行っていてくれ」
「はい」
ギルド奥の扉を通って行こうとするが、
「クゥゥ…」
「クゥゥクゥゥ…」『あそこちょっといやです…』
従魔達が嫌がっていた。
魔物が解体される場所…まあ確かに嫌がっても仕方が無いな、と思ったアイバー。
「カーミラさん、コイツらここで待たせていいですか?」
「シューさんとブランさんですか? 大人しくしていて下さるなら構いませんよ」
「ハイハイ♪ ワタシが面倒見てあげます♪」
受付嬢のクリエが手を上げてくれた。今までアイバーに素っ気なかったクリエ嬢だが、動物は好きなのだろうか?
カワイイ物好きアピール女子かもしれない、などと邪推しながらも、見ていてくれるというなありがたいのでお任せするアイバー。
「押忍、失礼します!!」
解体所に入る際、いつもと違う挨拶をしてしまった。憧れの漢を前にするとつい気合いが入っちまうぜ♪
「おう」
道具の手入れをしながら簡潔な返事!! ゴーシュさんシブいぜ!
「失礼、ゴーシュ、少し場所を借りるぞ」
ギルド長もすぐに来てくれたようだ。
「おう」
まるで酒場のマスターのようなゴーシュさん!!
探偵、喫茶店のマスター、酒場のマスターと言えば方向性は違えど、シブい男の憧れの職業だぜ!!
「で、アイバーくん、相談とは? スキル関係との事だが…」
「お聞きしたいんですが【特典スキル】って何の事だかご存知ですか?」
「ほう…」
「その質問が出るということは…何か得たのだね?…《武芸の才》か《初級魔術の才》辺りかな!?」
「普通のスキルとは違うんですか?」
「………ゴーシュ」
「お前が決めろ」
ヒュー♪ カッコいい~、まだまだ未熟なギルド長に判断を委ねる古株さんシブいぜ!!
「そうだな…今は私がギルド長だ。
アイバーくん、特典スキルというのはある特定のスキルを得ることで得られる特殊なスキルの事でな…得ると同時にステータスに追加、その後のレベルアップ時の成長に多少の補正が掛かる。
先程言った《武芸の才》は武器系のスキル5つ、《初級魔術の才》は火・水・風・土魔法スキルを覚えると得られるんだがな…」
「いいことづくめじゃないですか? 普及とかしてないんですか?」
どれも難しい条件じゃない。レベルの低い内に覚えておけばそれなりになる筈だ。
潜在能力を引き出せれば強い冒険者だって増える。
「…ここからは気持ちの良い話じゃ無いんだがな…これらの情報は王国の貴族やら教会の上層部なんかのお偉いさんから、積極的に広めないようにって圧力がかかってるんだ…理由は分かるかい?」
「…まあ何となく…選民思想とか特権階級とか絡みの話でしょ!?」
貴族の師弟とか教会の特殊部隊の為の人材に教えて武力の保持とかでしょ? 特権階級のお偉いさんの考える事は大体そうでしょうよ。
「…アイバーくんは本当に察しがいいね。大体その通りさ」
なんか、やなこと知っちゃったなぁ…どんな世界でもそういうのってあるよね。人間だもの。
「あれ? てことは俺、消されちゃったりします!?」
ヤバくね? そういうのを諌めてそうなギルド長とその腹心の前で言っちゃった俺、ヤバくね?
「…だ、大丈夫だぞ!? 私たちはそんなことはしないからな!! それに冒険者ギルドはその方針には反対派だ…まあ上層部にはそのぉ…とにかく!!
この事はあまり広めないでくれ。とは言え、そうだな…君の正式なパーティーメンバーぐらいになら構わないかな? もちろん注意事項は君が伝えてくれ…なんなら私が君のメンバー兼はん…」
「そっかぁよかった~ところで…」
「それ以上の【特典スキル】条件は無しだ」
ゴーシュさんに釘を刺された。先読みのできる男、シブい。
「そ、そうだぞ。でも私のだん…」
「仕方がないですね。《武芸の才》でしたっけ?その条件を教えてもらっただけでも充分です。それに自分で探す分には問題ないでしょう?」
「ああ」
なら問題無いな。まだLv15だし、じっくり探していこう。あれ? レベルの上限ってあるのか?
「あの…そういえばレベルの上限ってどれくらいですか?」
「それも自分で調べろ。先ばかり見る新人は足元の石に躓いて死ぬぞ」
あら~、でも確かに。
「うう、ゴーシュ、結局私の言いたいことを取ってるぞ…それに諦めるものか…私を拒否しない若いファルコン…さしずめ私は彼を導く妖精だ…」
若いツバメのこの世界アーニス風の表現だろう。
結婚に憧れるギルド長はともかく、こうしてまた1つ強くなる為のヒントを得たアイバーであった。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m
今さらですが1話3~4000文字程度で収めるようにしています。




