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第四十七話 パッションを感じる

切り株処理班です。


冒険者3人娘、ミゼット、リア、ポルカ、並び替えすると…



『スキル《闇魔法Lv2》を取得しました』


 夜中の日課である、『夜間起床時の短期集中魔法訓練』を行っていたおっさんことアイバー。

 無駄に長い訓練名だが良い案も浮かばないのでそのままにしている。日毎に微妙に細部が変わったりしてしまうが気にしていない。『夜間起床』の部分が『不眠』や『夜のおしっこ』に変わるだけだ。


 要は『魔法は使えば使うだけ上達するから、睡眠でMPが全回復した頃に起きて、MPを使いきってからもう一回寝れば、朝には又全回復してる。夜中に全回復分のMP分の魔法の訓練が出来てお得やん♪』という事である。


 説明とは難しいものだ。偉人の誰かが、物事というものは子供でも理解できるように説明できなければ本当に理解したとは言えない、って言ってた気がするがほんとうに難しい…あれ? てことは日本の政治家はなんも理解してないのかな?


 日本の政治家の説明・答弁能力はともかく、夜でも出来る魔法、ということでLv1の《闇操作(ダークムーブ)》と《風操作(ウィンドムーブ)》を繰り返し使っていたアイバーである。

 火は火事になりそうで危ない、水は覚えたての時に寝ぼけて床をビシャビシャにした、土は室内にない、光は目がさえそう。

 というわけで闇と風だ。訓練途中で寝落ちしても安心な2つである。スマホ操作中に寝ぼけて変な広告ページにトんでしまった事のあるアイバーは、寝ぼけ対策にも気を使うのである。


「コツコツLv上げていかないとな。

 さて、もう一眠りしたら起きるか。アイツらとも約束したしな…約束のある日ってなんか憂鬱、ダメンタルな俺…zzz」


 こうして一夜が過ぎていく。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「おはよう、早いね!?」


「おはようだニャ」


「ふぁ、お休みなさいぃ…zzz」


 日が出てきたので、食堂で早めの食事を摂っていたアイバーに冒険者3人娘が挨拶してくる。従魔の2匹が夜明けから起き始めてソワソワするのでつられて早く起きるようになったアイバーである。

 ミゼットとリアはしっかり目が覚めているが、ポルカだけ寝ぼけ(まなこ)だ。低血圧なのかもしれない。


「おはよう。ポルカは寝起きよくないの?」


「そうなのよ、宵っ張りで朝に起きれないの。夜になると『集中出来る気がしますぅ~』とか言って魔法の教本を読んだり、思い付いた事を書き留めたりし始めるのよ」


 夜型人間なのか、ただのダメ女子なのか…


 食事を終えたら出るつもりなのか、皆昨夜の平服と違って冒険者っぽい格好をしている。

 ミゼットは金属製のライトアーマーに槍、頭にネイティブアメリカンがつけるような羽飾り。女戦士といった感じだ。

 リアはホットパンツやノースリーブの露出の多い服装の上に、肩や肘、膝やすね等の所々にアーマーをつけた機動力重視な印象だ。これをフードつきのマントで包むらしい。武器は腰に下げた双剣。ククリ刀ってヤツだ。斥候っぽい。

 ポルカは布製の服にマント、大きめのリュックに木の杖だ。腰にはナイフも下げているが戦闘用では無いように思える。リュック以外は黒で揃えているので魔術師っぽい。小柄な体躯に長めの銀髪が魔女の弟子といった感じだ。魔女のとんがり帽子があればなお良しだった。

 3者3様のコーディネートを楽しんだ。


変態(マーソン)は?」


「さあ? まだ寝てんじゃないかしら?」


「直に起きるニャ、ご飯にするニャ♪」


「夜中の間食は太りますぅ…zzz」


 リアが3人分の朝食をマナさんに頼み、程なくアイバーのテーブルに並んだ。リア達も同じテーブルで食事をとるようだ。

 今日は一緒に行動するので当然かもしれない。


「今日は少しゆっくり出来るニャ♪」


「そうね、朝の依頼争奪に参加しなくていいんだものね♪」


「ギリギリまでは寝てたいですぅ…」


 若干1名を除いた彼女らの言う通り、今日は昨晩飲み会を行ったメンバー5人で『伐採』の依頼を受けるつもりなので、ギルドが落ち着いてからいけばいい。


「これまで不人気だった依頼でいっぱい儲けるニャ~♪」


 アイバーの魔法による切り株の処理の早さに期待しての事である。

 その事に若干思うところがありながらも、食事が終わるのを待つアイバー。


「おや、皆早いな。私が一番最後か」


 変態(マーソン)が起きて来た。準備万端の剣闘士(グラディエーター)姿である。流石に鉄仮面は脇に抱えている。

 ブーメランパンツを見る前に食事を終わらせておいて良かった。


「マナさん、朝食を1つ頼む」


「は~い♪」


 変態(マーソン)の姿を見ても顔色1つ変えない宿屋の看板娘長女マナさん、プロ意識が高いぜ!!

 変態(マーソン)も長女の名前を知っているので、何度か利用した事があるのだろう。


 そうして食事を終えて、少しゆっくりしてからギルドに向かう。


「おはようございます。カーミラさん♪」


「おはようございます。今日も昨日と同じ依頼を受けてくださるんですね。ありがとうございます」


「鍛治師のおっちゃんに刀を打ってもらってるので、まあそれまでの繋ぎにと」


「助かりますよ。では、お気をつけて」


 5人で同じ依頼を受けて伐採現場に向かう。


「さあ、今日も1日頑張りますか!!」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「おう、今日も来てくれたか♪」


 筋肉ダルマの木こりの親方が笑顔で迎えてくれた。

 昨日はもっとしかめっ面で迎えてくれたじゃないですかぁ~。


「きっと来てくれるだろうと思ってよお~、今日はオメエに頼みてえ事があんだよ♪」


 問答無用に切り株処理要員にされたアイバーであった。切り株処理班の木こりさん達に両手を掴まれ連行されていく哀れな子羊。

 シューとブランには昨日と同じ指示を与えて、大人しく引き摺られていった。気分はドナドナだ。

 無言の慟哭そして、


「スゴいですぅ♪ こんな方法があったなんてぇ♪」


「…《落穴(ビット)》《落穴》《落穴》、はい、終わったよ」


 囚人(アイバー)は穴を掘る。別に自分の墓穴ではない。


「おーう、んじゃいくべ、せーの!!」


 切り株に綱をかけ、5人程の木こり達が綱を引く。なんなく抜けた切り株はそのまま引きずられて集積場所に運ばれていった。

 木こり達に聞いたところ、ただの伐採場なら切り株を残したままでもいいらしいが、ここは後に村の土地として使うので切り株の処理もやらないといけないそうだ。


「いやー、まったく助かったぜ♪ いつもは何日かにいっぺん、切り株だけ引き抜く日を作ってんだけどよオメエのお陰で一気に片付くなコリャ♪」


 切り株は(みき)と違って木材への加工が難しいので(まき)にするのが通例らしい。乾燥させてから細かくするのだが、土に埋まったままでは乾かないので、引き抜いて風通しのいいところにしばらく放置するそうだ。


「そうなんだよ!! 1日に50本切り倒しても切り株を引き抜くのは5本ぐれえだからよ!! 残っちまって大変なんだ!! それが一気に片付くぜ♪」


「へいよ~、《落穴》《落穴》《落穴》、はいどうぞ~」


「「「「「オウ!!」」」」」


 切り株担当の木こり達から称賛されるが、屋外での仕事と筋肉モリモリの暑苦しい男にかこまれたこの状況、日雇いの土方のようで何となく気がのらない。

 まあ、実際にやったことは無いアイバーなのであくまで想像だ。


 一応見目麗しい女性も脇にいるのだが…


「はうぅ~♪ 低Lv魔法でも使い方も次第でこのように生活に役立つとはぁ、魔法と言えば戦闘用途という概念に一石を投じる瞬間ですぅ!!」


 脇で見ているポルカは興奮しているが、君、仕事放棄だよね? 他の3人は普通に伐採作業してるよ?


 実は最初に、


『ポルカは魔術師なんだろ? 同じ《土魔法》使えないか?』


『すいません、私ぃ、《火魔法Lv3》と《風魔法Lv2》、《回復魔法Lv2》の3種類しか使えないですぅ…』


 とのことだった。師事していた老魔術師の得意魔法で、それを重点的に習っていたらしい。


『…じゃあ、今日は《土操作(アースムーブ)》で《土魔法》習得を目指そうよ。MP使いきったら伐採作業しよう』


『え!? 他系統って覚えられるんですか? お師匠様からは、『しばらく練習してみて覚えられない魔法スキルは才能がないから覚える必要は無い』って言われたんですけどぉ…』


 おぼろ気ながら【スキル適正】の判別方法論があるのか? 神様から習得にもブーストがかかる、って言われた覚えがあるからそれを経験則で導きだしたのかも。


『ん~俺の持論だけど、使い続けてればいつかは覚えられるはず…俺が今使ってる《落穴》はLv2だし、Lv1の《土操作》でも切り株の除去には役立つから覚えてみようよ?』


 長い回想になってしまったが、ポルカにも納得してもらって《土操作》未習得verを使ってもらっているはずなのだが、


「ポルカ、MP使いきったの?」


「え!? い、いやまだ残ってますよ!? 《土操作》、《土操作》…」


 怪しい…


 未習得verの魔法、《○操作》は効果は一瞬でMPはLv2魔法並みに使う。今のアイバーのMPでも、続けて使えば5分もしない内にMP切れをおこすはずだ。

 まあ、習得済の魔法でも連続使用はやり方次第だが…それはともかく、ポルカに指示を出してからすでに30分近くたっている。いくら魔術師とはいえ、そこまで膨大なMPを持っているものだろうか?


「ポルカ、お前すでにMP切れてるのに、楽したいからここに残ってるとかじゃないよな? もし、そうだったら…」


 …どうしよう? 脅しをかけるにも関係性が浅いから切れる札がなかった。でも他の3人は汗水垂らして働いてる訳だしな…と思っていると、


「うぅ、ごめんなさいぃ…アイバーの魔法の応用と言うものが珍しくて見ていたかったんですぅ!!

 あと、ちょっぴり…体を動かすのは苦手でぇ…出来心だったんですぅ!!」


 勝手にゲロってくれたポルカ。隠し事が出来ないようだ。


 しかし、夜更かしといい魔法に対しての嵌まりっぷりといいオタク要素のある娘だな。

 趣味人にありがちな、その分野では立派だけど生活能力が低い的な萌え要素を感じると思ったアイバーでした。まる。

 



お読みいただきありがとうございましたm(__)m


※裏設定ですぅ

 魔法スキルに関しては作中の予想通り、使い続ければいつかは習得できますが、習得には【スキル適正】の他にINT値が影響しています。主人公がポコポコ覚えているのも実は…という事ですので、アーニスの現地の人だともう少し手間取ります。

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