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第四十六話 ぼくが考えた

飲み会回です。

「「「「「カンパーイ♪」」」」」


 運ばれて来たエールで乾杯するおっさんことアイバーとその連れ達。詳しい自己紹介は飲みながらでいいだろう、ということになり全員分のエールと幾つかの(さかな)を頼んだ。

 ガラスでなく木で作られたジョッキでゴクゴクと飲み干していく。


「プハー♪ 仕事の後の1杯は最高ですなぁ♪」


「うむ、確かにウマい♪ しかもおぬしの奢りだからな、なおさらウマい」


「ホントだね~♪ 人の財布で飲むお酒ってなんでこんなに美味しいんだろ」


「ワタシは1杯でイイニャ。後は食べるニャー♪」


「私もあまり飲めないですぅ…」


「ガウ♪」


「ガウガウ♪」


 ワイワイと飲み会が進んでいく。

 参加メンバーの内、アイバー、変態(マゾ)貴公子マーソン、女性冒険者のミゼットはお酒派。猫獣人のリアと小柄な少女ポルカ、従魔2匹は食べる派だった。


 ちなみにこの世界アーニスのエールは前生のビールとほぼ同じだ。製法とか色々あるのだろうが、そこはご都合主義である。ファンタジー万歳♪

 冷えていないのが残念だが、弱い酒をカッパカッパ飲む派だったおっさんにとって馴染み深いお酒だ。若い頃は同じペースで日本酒や焼酎等を飲んで痛飲したものだ…その時醜態を晒したため、以後は気を付けていた。


「これウマいニャ♪ しかも、無料(ただ)ニャ」


「これはいいな、酒が進む。フリットに似ているが…」


「ガウウ~♪」『おにくおいしい♪』


「変わった調理法ですけどぉ~、少し油が多いですぅ~2切れも頂けば…」


 先程交渉して、本日無料になったトンカツは好評のようだ。中にはポルカのように油っぽい物が苦手な人もいるが、周りのテーブルでも概ね好評な感触。冒険者は体が資本であるし、この村の冒険者は若い連中が多いので喜ばれやすいメニューだろう。

 

「にしても、マーソンさんの素顔には驚いた…皆は知ってたんですか?」


 アイバーが皆に向けた(てい)でミゼットに向けて質問する。お酒も入ってるし、この中では最も社交的にみえる。スレンダーなお姉さんって感じで、ゆるふわショートボブに一房の編み込みが入っているのが特徴だ。

 合コンとかにも、初対面でも話しかけ易い人っているじゃんね♪ 幹事っぽい人とか♪


「ん~? ああ、コイツね♪

 確かに面食らうよね~、なにこの変質者!?って思って仮面取ったらこれだもん!! 噂はあっという間に広がったよ~♪ この村の冒険者は皆知ってるよ♪」


 時おり周囲のテーブルからも声がかかっているところを見ると、確かに皆知り合いっぽい雰囲気だ。


「私は逆でしたぁ…ステキな人がいるって聞いて素顔を知った後にあの姿ですぅ、崖に登って突き落とされた気分でしたぁ~」


「私は変質者の時点で印象最悪だったから、素顔を知って普通のぐらいに戻ったね♪ 根は悪い奴じゃないって分かったから100点満点中35点かな♪」


「20点ですぅ」


「40点だニャ」


「「「男としては意識出来ない(ですぅ)(ニャ)♪」」」


「………なぜ私は傷つけられているんだ? まあ悪くないが♡」


 辛辣女子トークが始まったが、それも変態(マゾ)にはご褒美のようだ。

 おっさんは若い娘さんに点数をつけられるのは怖いので、矛先がこちらに向かない内に軌道修正しよう。


「3人は昔からの知り合いとかなんですか?」


「ん~、私とポルカは昔からの知り合い。リアとはサイアンで登録してからの顔見知りだけど、本格的にパーティー組んだのはコッチに来てからだね」


「そうだニャ、入れてもらったニャ」


 新しく頼んだ炙り肉に噛みつきながらリアが答える。同じものをシューにも頼んでくれてある。肉食系女子だ。


「アンタはどうなのよ!? アイバーだっけ?

 さっきからこっちに質問してるんだから、そっちの素性も教えてよ♪ そういや、マーソンの出身とかも聞いた事無いじゃない?」


 今度は男性陣の紹介になった。


「カクカクシカジカ…」


 例の、森の奥でお祖母ちゃんと暮らしてました設定を披露するアイバー。


「…という訳なんで、あんまり村とか冒険者の常識を知らないんですよ。そういうのも聞きたくてリアさんと変態(マーソン)さんを誘ったんです」


 実際、これを目的に飲みに誘ったのだ。まあ、猫娘さんと飲みたいってのもちょっとあったが。


「ふーん、そうだったんだ…でもちょっとは下心もあったんじゃないのぉ~? リアにさぁ!?」


「黙秘します」


 女性陣がアハハと笑う。

 あ~なんか大学時代の飲み会を思い出す。社会に出ると同年代で飲みにいく機会って結構減るよな。会社関係の飲み会が多くなって年齢層も広がっていく。


「なるほど…そうだったのか。しかしおぬし、敬語はいらんぞ」


「あー、それ気になってた!! タメ口でいいよぉ♪」


「そうニャ」


 基本、敬語がアイバーの口調なのだが、やはり相手からすれば距離を取られているように感じてしまう。

 前生での寂しい人間関係を思い出したアイバーは、一念発起して口調をあらためる。


「ん~、じゃあそうさせてもらうわ。よろしく。

 でも、それ言ったら変態(マーソン)も、やや言葉硬い気がする」


「確かにそうですぅ…微妙に古臭い言い回しというか…」


「そうか? ではこれから話そうとする生まれに関係あるかもしれんな。

 私は王都の生まれでな、少し前に没落した騎士階級の家の出身なのだ。その時に仕込まれた言葉使いが影響を与えているのかもしれん…」


「…予想外にそこそこ重い過去だニャ」


「ああ、でもこの貴公子然とした容姿には合ってるな、仕事中と中身は変態(マゾ)だけど」


「そうね、納得いくわ。仕事中と中身は猥褻(わいせつ)だけど」


「残念ですぅ…」


「ヒドイ言われようだな…興奮するが♡」


 最早手遅れ、処置無しな変態(ドエム)だ。


「でもまあ、聞いてみると楽しいもんね、変わった素性って♪

 私とポルカは普通に街中で育ったもの…」


 などとお酒の入った面々はお互いの素性や趣味嗜好を少しづつさらけ出していく。酒盛りを始めて1時間程でシューとブランの従魔達がおねむになってきたので、部屋に案内して寝床用の布を出しておいてやった。

 アイバーが寝ているとベッドに上がってくるのだが、最初の寝床は布の上なのだ。


「ただいまー」


「おかえりなさいませ、ア・ナ・タ♪ キャハハハハ♪」


 部屋から戻って来たアイバーに、ミゼットがジョーク混じりに言ってきて笑っている。だいぶ出来上がっているようだ。かなりハイペースで飲んでいるようで、今も変態(マーソン)相手に杯を干していた。対する変態(マーソン)も同じくらい飲んでいるが、酒に強いのか落ち着いたものだ。


「リア、ポルカ、ちょっといいか?」


「う~ん食ったニャ、お腹パンパンニャ」


「は、はい!? なんですかぁ?」


 酔っ払い状態のミゼットは変態(マーソン)に任せ、リアとポルカにギルドの依頼について疑問に思っていた事を質問する事にしたアイバー。


「質問なんだけどさ、朝のギルドであんな争奪戦が起こるのはなんでなの!? 『街道』と『護衛』だっけ?」


「え、えっと、ちょっと待って下さいぃ………

 えっとですねぇ、納得する説明かわからないんですけどぉ…『伐採』のお仕事はお受けになられたんですよねぇ? 『畑』もそうなんですけどぉ、達成の条件があるけど、その達成の為の条件が厳しめなんですぅ…」


「? どういう事?」


「ウニャ…今日の『伐採』でも切り株まで引き抜かないと1本分にならなかったニャ? 今日はイッパイ引き抜いたけど、いつもは5本引き抜ければいい方ニャ」


「そうするとそれまでどんなに木を切り倒していても、冒険者の頭割りで5本が割り当てられる訳ですぅ。5人冒険者がいれば1本づつ、4人なら1本づつと誰か1人2本、冒険者が1人なら5本分になりますけどぉ、まずそうはならないですぅ。木こりさん側も当日参加した冒険者の数に合わせるようにして引き抜きますからぁ…」


「実際引き抜くのはスゴい労力ニャ、だから木こりの親方達がズルしてる訳でもないんニャ」


 ああ、変態(マーソン)がギルドで依頼の処理をしてた時にもそんな事言ってた気がする。


「『畑』もそういうところがあって…土を掘りおこす以外にも、大きな石なんかがあったら掘り起こして土地からどかさないといけなくてぇ。結局1日働いて報酬ギリギリの面積1個分ぐらいしか終わらない事が普通になってるんですぅ」


「報酬は最低限!! ヒック、仕事は1日中になるので人気が無いって訳よ!! ったく!! 冗談じゃないわよねぇ!! ウィイイ~」


 酔っぱらいのミゼットが話に割り込んできた。やはり仕事の愚痴は同じ立場の者で言い合うのが楽しいのかもしれない。


 前生での飲み会も大半は仕事関係の愚痴大会になったもんな…


「なるほどねぇ…でもノルマがあるから受けない訳にはいかない。という訳か…」


「そうなのよぉ~!! サイアンギルドのフニャ○ン野郎共、若いからって押~し付けやがって~ぇ!!」


「全くですうぅ…」


 と、ここで変態(マーソン)も参加してくる。


「で、『街道』と『護衛』というのは近くにある狩人の村落への街道を切り開いているのだが、5時間働けば銀貨1枚を保証されているのだ。

 勿論ある程度の働きは必要だが、2度ほどやってみた感じではそれほどキツくはなかったな…」


「しかもニャー、『護衛』中は見つけた魔物を討伐して素材とかを取れたりするニャ、だから奪い合いになるニャ」


「なるほどねぇ~」


 歩合制と時給制の問題点って感じだな。


「だから今日アイバーがやったのはスゴい事なんだニャ!! 魔法でパパーッて片付けてしまったんだニャ!!」


「そうですそうですぅ!! いったいどんな魔法を使ったんですか? リアに聞いてもスゴいスゴいとしか言ってくれないんで詳細がちっとも分からないんですぅ…まさか伝説に聞く『地殺龍幻朧烈砕陣(アースドラグーンパニッシュディメンション)』ですか?」


「…どこの20周年で大コケしたRPGの秘奥義だ!?(あくまでおっさん個人の感想です)」


「秘奥義? 魔導の奥義ですか!? お願いします教えて下さいぃ!!」


 ポルカは魔術師らしく、魔法について異常に食いついてくる。

 後でミゼットから、師事していた老魔術師が修練途中で亡くなってしまい指針を失ってしまったと聞かされた。


 取り合えず明日の『伐採』依頼をここにいる5人全員で受ける事にして、1時間程飲み食いをした後解散とした。払いはアイバーなのでそこら辺は強行も出来る。

 女性3人組も3人でダブルの部屋を取って清湖亭に泊まる事にしたそうだ。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【本日終了時のステータス】



【 名 前 】アイバー

【 年 齢 】15

【 性 別 】男性

【 職 業 】調教師 ※異世界転生者 コック見習い

【 L V 】15

【 H P 】368/368

【 M P 】7/245

【 STR 】222(+1)

【 VIT 】146

【 INT 】322(+3)

【 MIN 】108

【 DEX 】140

【 AGI 】254

【 スキル 】《経験値獲得2倍》《鑑定》《体術Lv2》《刀術Lv3》《斧術Lv1》new《投擲Lv3》《回復魔法Lv3》《水魔法Lv1》《風魔法Lv1》《土魔法Lv3》《光魔法Lv1》new《闇魔法Lv1》《MP自動回復Lv3》《統率Lv1》 《狂化Lv4》《孤独耐性Lv6》《冷徹》《算術Lv5》《努力の才》 《採取Lv1》《過食Lv2》《吸収Lv2》《無詠唱》

※STRは伐採作業中に上昇

 INTは神官から得た知識にて上昇




【 名 前 】シュー

【 年 齢 】0

【 性 別 】女性

【 職 業 】従魔

【 L V 】11

【 H P 】114/114

【 M P 】45/45

【 STR 】98

【 VIT 】91

【 INT 】93

【 MIN 】101

【 DEX 】131

【 AGI 】155(+1)

【 スキル 】《噛み付きLv1》《爪術Lv1》《土耐性Lv2》《風耐性Lv1》《飢餓耐性Lv3》 《孤独耐性Lv2》《気配察知Lv2》

※AGIは採集中の走り回り中に上昇




【 名 前 】ブラン

【 年 齢 】0

【 性 別 】女性

【 職 業 】従魔

【 L V 】2

【 H P 】79/79

【 M P 】51/51

【 STR 】72

【 VIT 】58

【 INT 】112

【 MIN 】65(+1)

【 DEX 】96

【 AGI 】110

【 スキル 】《鑑定》《噛み付きLv1》《咆哮Lv1》《土耐性Lv2》《風耐性Lv1》 《孤独耐性Lv1》《毒耐性Lv1》《採取Lv3》

※MINは採取を主人に誉められた時に上昇




お読みいただきありがとうございましたm(__)m


飲み会の雰囲気出てますかねぇ?

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