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第四十四話 ぶたれるのが好きな人もいる

宮○あきら先生リスペクトⅡ、前回よりは完成度低めな自己評価ですf(^^;

不得恥鎮無(ふえちしずむ)

 古代インドから継承されてきた、仏僧達の過酷な修行法である。


 ある若者が仏門に入るべく山奥の古寺に修行に出されたが、幼さ故の母への思慕を抑えられず修行に身が入らなかったという。それを不憫に思った古寺の高僧は若者の故郷へと使いをやり、せめてその絵姿だけでも傍に置いてやろうとその母の絵を描かせ持ち帰った。母の絵姿を見た若者は泣きながらも修行に励み、己の恥と向き合い、煩悩を鎮め、ついには覚りを開いたと言われている。


 現在では、その由来のある古寺に入門する若い僧の通過儀式として、母の写真を見つめて俗世との別れを決心する修行として公開されている。それを見た外国人観光客からは、女性の写真を見て泣くほど興奮している様に見え、特殊性癖(フェチシズム)と混同されてしまったのはなんとも残念な偶然である。


 なお、最初の若者の母の絵姿は胸部が特に強調されており、学者の間では『乳フェチ』だったのではないか?等という笑い話があるが、筆者の考えでは『尻フェチ』ではないかというのが支配的である。決して筆者が『尻フェチ』や『お尻スキー』等といった人種で無いことは重ねて述べておく必要があるだろう。


 アイバンハウアー出版刊『こんなにある和洋の同音異義語~アキバ編』より抜粋





「なに人の尻の下でブツブツ言ってるニャッ!!!」


「ブベラッ!!! 水月はよせ!?」


 みぞおちに一撃もらったおっさんことアイバーの顔の上に乗る女性。しっとりとしつつもはち切れんばかりの弾力を持つお尻の持ち主だ。なぜそれが分かるかというと、現在顔の上にそれが乗っているからである。

 簡潔に言うと顔面騎乗だ。


 わーい、体位のチョークスリーパーや~♪


 かなり錯乱しているアイバー。


「フニャッ!? 変な所に息吹きかけるニャ!!」


 いや普通に苦しいんですどいてください、と思いながら顔の上の女性をどかそうと試みる。だが動かない。


 苦しい。ああ、このまま死んだら女性の尻に敷かれて窒息死か…俺みたいな人間にはふさわしい死因かもな、悪くないじゃないか。

 腹上死ならぬ臀下死か…聞いた事…ねえや……


「ちょっと、起きるニャ。もうワタシは乗ってないニャ」


 頬をペチペチ叩かれて目が覚めたアイバー。どうやら少しの間意識を失っていたらしい。

 木漏れ日が目に眩しい…


「う、ここはだれ? 私はどこ?」


「コイツ何言ってるニャ?」


「おそらく、人生という道に迷っているのだろう…『私はどこ』、なかなか深い言葉だな…」


 フードをかぶった女性と鉄仮面の男性が覗きこんでいる。意識を失ったアイバーを心配してくれていたようだ。

 

「えっと、どうも…どういう状況でしょうか? おそらく、そちらの女性の方が落ちて来たんだろうな~、というのは覚えてるんで、その先と貴殿(あなた)方の素性をお願いしたいんですが…あ、看病ありがとうございます」


「な、なんでワタシだと思うニャ!? 別人かもしれないニャ!!」


 まあ、上から落ちてくる女性(ヒロイン)王道(テンプレ)だし…それに、


「………いや語尾、そうそういないでしょ…」


「ウニャ!?」


「ハッハッハ♪ その通りであるな、リア殿。

 それにそなたのご慧眼、大したモノだ」


 鉄仮面の男性が場を取り持つ。鉄仮面なのにどうして男性かわかるのかと言うと、


「………あの~誉めていただけるのは嬉しいのですが…その、言いにくいのですが、なぜそんな格好を?」


「ふむ、何故か初対面の者は皆そのような事を尋ねるな? この鉄仮面がいけないのだろうか?」


「いや、もっと下です」


 頭:鉄仮面、まあ少し奇妙ではあるが無くはない

    ↓

 上半身:肩パットに革の十字ベルト、あれ?

    ↓

 下半身:ブーメランパンツでモッコリ、不審者決定

    ↓

 足下:ブーツのみ、最早手遅れ


 以上、アイバーの視線と心の動きである。

 基本彩色に肌色が多すぎる。世紀末のヒャッハーな人達、好意的に解釈しても古代ローマの剣闘士(グラディエーター)だ。穏やかな森の中で出会っていい人種ではない気がする。


 ある日、森の中、ヒャッハーに出会ぁった♪


「動きやすくていいと思うのだが?」


「諦めるニャ、コイツはこういう奴ニャ。」


 うん、そうだな、かかわり合いになるのはよそう!!


「なんだか冷たい目だな、興奮するじゃないか♪」


 あ、たぶんコイツギルド長に鞭で打たれてた奴だ。


「で、リアさんでしたよね? 今俺どういう状況ですか? 途中までやってたお仕事はどうなったんです!?」


 変態はムシムシ。


「ウニャ…申し訳なかったニャ、ワタシが木の上の方で枝とか切ってたんニャが、固定してた(つな)が切れて落ちた所にオマエがいたニャ」


 フードを外して謝罪してくるリア。そして、その下には予想通り猫耳がピンと立っていた。猫の獣人で結構可愛い。


 フオオオオォオ!!気分はエクスタシー!!と、何かに変身してしまいたいおっさんなのだが、ダークエルフとドワーフの件で流石に自重を覚えた。


 ここは我慢だ。


「ぶつかって気を失わせてしまったし、冒険者同士ってことで付き添ってたニャ、ごめんニャ…」


「イヤイヤ、ちゃんと謝ってくれるなら問題なしですよ♪ で、変態(これ)は?」


「コイツも冒険者だからって休憩させられてるニャ、ここにいるのが今日の『伐採』依頼を受けた冒険者全員ニャ」


「コイツ呼ばわりはひどいな。私にはマーソンという名があるのだからそう呼んでくれ」


「マゾさんですね」


「うん!? すでに渾名(あだな)を知っていたのか!! 皆そう呼んで親しまれているのでよろしくな♪

 これから根抜きが始まるので、休憩中なのだ」


 変態(マゾ)が言うには、切り倒した木の根っこを引き抜く作業が始まるらしい。夕方前に木こりと、依頼を受けた冒険者全員で取りかかるそうだ。


「依頼書に『根含む』って書いてあるニャ。どれだけ切り倒しても、これに参加しないと依頼の達成にならないニャ」


 アイバーが初めての依頼ということを話すと色々教えてくれる2人。これが一番大変で、『伐採』依頼が嫌われる原因とのことだ。

 

 確かに、某ヴァイキング漫画奴隷編でも大変そうだったなあ、と思うアイバー。


「おーし!! そろそろ締めに入るぞ!!」


 親方が大声をあげると、別れて作業していた木こり達が一所(ひとところ)に集合する。親方は筋肉ダルマで他にも数人が筋肉モリモリだが残りの人は普通だ。


「ワタシ達も行くニャ」


「これが終われば依頼は終了だ。まあ、最低でも3本は抜かないとだがな」


 なるほど、根っこ1本につきようやく1本となるからか。んで3本分、リア、変態(マゾ)、俺で1本ずつか…

 冒険者からすると悪どいやり方に思えるが、最後まで働かせようとするなら理にかなっているかもしれない。

 

「倒れた奴は大丈夫か? 起きてんな、どうだ!? 引き抜きを始めるがやれそうか?」


 さっきまでパートナーだった、木こりのメックさんが声をかけてくる。


「はい、大丈夫です」

 

「まあ、オメエは引っ張るには力が足りなそうだからな、猫の嬢ちゃんやダスティンと一緒に回りの土堀と根切りをやれ」


 初めての事なので指示に従うアイバー。リアと一緒にやれと言われた為、斧を構えて始まるのを待つ彼女に近付き、何をするのか聞いてみる。

 

「土堀と根切りって何?」


「根っこに綱を巻いて皆で引くんだけどニャ、それの時に根っこ回りの土を退かして抜けやすくするニャ、あと深く張ってる根を切る事ニャ」


 ああ、それもヴァイキング漫画で見たな。

 あれ? でもこの状況なら…ステータス閲覧。


「んじゃ始めんぞ!! 野郎共、準備はいいか!?」


 根っこに綱引き競争で使うような太い綱をかけて引っ張ろうとする親方達。変態(マゾ)もその中に混じっており、綱の先で体に綱を巻き付けている。運動会で体のデカいor太っている奴がやるポジションだ。


「クッ、綱のチクチクが………悪くない♪」


 とか言ってた。変態(マゾ)か。


「あ、ちょっと待って下さい!!」


 制止の声をかけるアイバー。


「なんか問題か!?」

 

「ちょっと試してみたいことがありまして」


 少し苛だっている親方をヨソに木の根本に近付くアイバー。少し観察した後、離れる。


「上手く行くかな?《落穴(ビット)》《落穴》《落穴》…」


「なっ!?」


 アイバーの《土魔法Lv2》《落穴》により、根っこ周辺の土が抉られていく。たちまち土が避けられて根っこが露出、まるで宙に根を伸ばすかのような奇妙な切り株のオブジェが出来上がった。


「おお、案外上手くいった♪ なんか珍百計っぽい♪ お待たせしました。引っ張って下さい」


「…お、おう」


 茫然自失な周囲の反応だが、その状況を作ったアイバーの声に促され綱を引く木こり達+変態(マゾ)1。外側に伸びた根が《落穴》の効果範囲からはみ出て土を掴んでもいたが微々たる抵抗である。苦もなく動く切り株。


「…………………」


 アイバーは知り得ぬ事だが、木こりや冒険者達からすればあり得ない程簡単に切り株の処理が終わる。


「スゲ…」


「スゴいニャ…」


 一緒に土堀と根切りをやるはずだったダスティン少年とリアもポカーンとした表情だ。


「お、おい!! オメエ、い、今のもう1回、で、出来んのか!?」


「はい? まあ、あと数回は」


 先ほどステータス閲覧をした際にはMPは50程だった。午前中の教会や昼のトンカツ揚げの際に《火魔法》の訓練をして使いきっていたはずだが、伐採作業中に回復していたのだろう。

 切り株の大きさにもよるが《落穴》2~3回で先程と同じような状態に持っていけるはずだ。


「頼む、もう一度やってみせてくれ!!」


 親方に頼まれた為、近くの切り株に試してみるアイバー。成功し、親方達が再度引き抜きを行った。


 木こり達がザワザワし始める。


「スゲえな~」「あのボウズ魔法が使えんのか!?」「こんなに楽に抜けるなんてよ!?」「クッ、締め付けられる感触が味わえないだと…生殺しだ…」「この調子でいったら、あと何本…」「魔法スッゲー…」「スゴいニャー! ポルカに教えてやるニャ」



 おお!? これはひょっとして………魔法技術チートきちゃったか~~♪

 魔法の新しい使い方の先駆者(パイオニア)って奴ですか♪


「お、おい!! 今のをドンドンやってくれ!! あの手応えなら、人数を分けても引き抜ける!! メック、人足を2班に分けるからそっちを指揮してくれ!! ダスティン、もう1本綱を持ってこい!!」


 騒がしくなる伐採現場。


 もーう、人の都合も聞かないで。魔法だって無限に使える訳じゃないんだゾ!!と何故か乙女口調で思うアイバーだったが、


「MP足んなくなりそうだけど、こんな時の為に!!

シュー!! ブラーン!! 戻っておいで~~~!!」


「…ゥ~」


「………ガゥ~」


 森の奥から魔力草等の採集物を集めて、従魔2匹が戻ってきたのは数分後の事だった



 


 

お読みいただきありがとうございましたm(__)m


構想してた生産系土魔法チート、やっと出せました。

(ノ´∀`*)

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