第二十八話 時の止まった
少し短いですm(__)m
やっぱりパロネタありますm(__)m
景色が真っ赤に染まる。
胸の周辺に熱い血潮のような物がグルグルグルグル激しく回っている、溢れそうになる血潮が出口を求めて眼球のすぐ裏にまで満ちているかのような感覚。
目の前の敵を殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…
思考が殺意に塗りつぶされる。
目の前の敵を殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…
これが真っ赤に染まる前、意識の片隅で聞いたスキル《狂化》の効果か…
目の前の敵を殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…
目の前の敵、オークジェネラルか。確かに倒さないとな…あれ?
目の前の敵を倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す…
倒してどうするんだ…目の前のオークジェネラルを倒して……………
目の前の敵を倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す倒す…
た、お、し、て…
シューを助けないとだ!!
……あれ?《狂化》ってもっとこう、頭パーになって肉体的限界をブッチするやつじゃないの?
今もBGMっぽく殺せだとか壊せだとか倒せだとか念仏のように聞こえるけど、普通に思考できてるな。目の前の景色もなんか止まって見える。
あれか? 心の奥底に閉じ込められて体の支配権がない精神生命体か!? 力が欲しいかか!?
『スキル《冷徹》により、スキル《狂化Lv4》の攻勢思考汚染が無効化されました。
システム更新の為、停止措置を行います。時間停止措置は3分後に解除される予定です。
スキル効果の当事者には特例として時間停止中の思考の承認を行います』
あ、いつもの天の声さんだ。
なんだ? 攻勢思考汚染? それの無効化? 時間停止措置? それ中の思考の承認?
落ち着いて考えよう、でも3分しかないのか…焦る!!
落ち着いて急ごう!!
俺、オークジェネラルに襲われた。
俺、負けて死にそうだった。
俺、シューが助けようとしてくれたけど動けなかった。
シュー、オークジェネラルに叩きつけられた、アイツ絶対殺す。
俺、《狂化》スキルを取得、シューが心配だ!!
俺、目の前が真っ赤になる。
俺、呪詛っぽいのを聞く。
俺、天の声さんからよく分からない説明を受ける。
俺、今ここ。
ふんふんなるほど………ポクポクポク、チーン。
大体分かったぞ。
身もフタもない言い方をすれば、チートで想定外なスキルの組み合わせが新しく発見されたから修正・アップデートしている運営だな。
その間のサービス停止期間の待機状態が今の俺か。そう言えば目の前の光景が真っ赤だけど動いてないな!?
そうだ、シュー!! 大丈夫なのか!? ステータス閲覧!!
【 名 前 】シュー
【 年 齢 】0
【 性 別 】女性
【 職 業 】従魔
【 L V 】6
【 H P 】5/99 瀕死
【 M P 】37/40 意識混濁
【 STR 】88
【 VIT 】71
【 INT 】88
【 MIN 】85
【 DEX 】121
【 AGI 】139
【 スキル 】《噛み付きLv1》《爪術Lv1》《土耐性Lv2》《風耐性Lv1》《飢餓耐性Lv3》 《孤独耐性Lv2》《気配察知Lv2》
ヤバいヤバい!! 瀕死に意識混濁!? 絶対ヤバい!! まだギリギリ生きてるけどこのままじゃ絶対ヤバい!!
あ、今4に減った!? なんだよ、瀕死中ってHP減り続けるのか!? ヤバい、クソッ!! 動けよ、体!!
…いや、時間停止中なんだっけ。時間が戻ったらすぐにシューに駆け寄って回復魔法と薬草だ!! これ決定!!
でもその前にこの状況をどうにかしないと。
盾の上から踏みつけられて押さえ込まれてるから動けない。このクソオーク、なんとかしてブッコロだ!! シューに酷い事しやがって!!
《狂化》で知識・精神以外のパラメータアップに期待するのと…幾つかの魔法で対処だな。ぶっつけだけどなんとかする、しなくちゃ!! 頭フル回転させろ!! 手持ちのモノ、手段、アイデア考えられる全てを使え!! 出来るだろ!? 媚だってなんだって売ってやる!!
天の声さん、運営さん、なんとかチート残しておいてください!! お願いします!!
頭パーになっても、身体能力がこのままでもシューを助けられない。
シューを助けたいんです!!! お願いします!!
『……システム更新が完了しました。スキル《狂化》による精神状態異常はスキル《冷徹》により無効化されます。
管理者特記技能要項に第7件目の事例として記録しました。時間停止措置を解除します』
お願い通じた!? 肉体のリミッターについては分からない!!
でも、もう動くんだな!? ならやってみるしかない!! まずはシューを助ける!!
その後第二ラウンドだ。
…にしてもけっこう長い3分だったな。
あれかな? 5秒しか時を止められない設定なのに、明らかに5秒以上動いたりしゃべったりしているよねっていうあの漫画世界の法則が採用されているのか? 奇妙な謎だ。超名作だけどな!!
でもって、次回へのひきはこれだな。
時は動き出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「…あの、やっぱりこういうのは困ります」
青い服を着た上司に、控え目ながら文句を言うオペレーター。直属の上司の頼みとは言え、業務内容を逸脱している行為だ。
服務規程違反とかで処罰されたらどうするのか。
「ごめんね~♪
でも、まあまあの展開になってきたんでさぁ、テコ入れしたくなったんだよ♪ 内容だってメッセージと、時間停止という名の思考延長でしょ?
走馬灯みたいなモノだから状況的に不自然じゃないし、バレたとしても問題ないよ♪ 途中従魔のHPが減ったときはバレるかと思ったけどスルーされたし無問題♪
今回限りだし、大目にみてよ♪」
片手でスマンのポーズをしてくる上司。
いまいち真剣味が感じないのよね。
「マルキウス様が責任持つって言ってくれたからやったんですからね。ホント頼みますよ…」
そりゃまあ、いつもの定型文に沿った文面だったし、たまには肉声も出さなきゃとは思っていたけどぉ…急な臨時の仕事って緊張するんですよ。
いつもはテープで流してるけど、機械の故障で急に子供の帰宅時間をアナウンスしなくちゃいけなくなるみたいなやつよねぇ~
「そこはちゃんとするから♪
まあまあ気に入ってね、跳躍のギャグ漫画枠みたいな感じで残しときたいなぁって思っちゃったんだよ♪
今回の新連載でもギャグ枠が気に入ったしねぇ♪」
「私、そういうの読まないんでわかんないです。
あ、セオアルさんならちょっと分かるかもですよ。バレーの漫画の話されたことあるんで」
「へえ、そうなんだ♪
でもあれかなぁ~、あの漫画って腐ってる夫人たちに人気あるからなぁ~、様子見だね♪」
よく分からない会話。なにが腐ってるのかしら?
「でもまあ、ホントにこれ以降は介入しないよ♪ 信じてよ♪」
「善処します」
うさんくさいのは消えないのよね。
最近教えてもらったけど、便利な言葉だわ。
「あらー、部下からの信頼の無さがキツいなあ♪
……でもキリエルくんも、注意しないとダメだよ♪ 最近従魔の斡旋・契約数が増えてるんじゃないかってウワサになってるよ♪
各オペレータの割り当て基準があるんだから、あんまり増やしすぎないようにね♪」
「……気をつけます……腹黒…」
「ん~~♪ 何か言った?」
「いえ、なにも」
「君はそっちなんだね~♪ 今後の参考にするよ♪」
青い服の上司はオペレータ室から出ていった。あんなんでも上司、それに有能だ。めんどい所のある上司だけど基本無害だし。
「シフカナス様とかに当たったら最悪だしね」
不人気上司に比べれば天国よ。
自らの境遇についての幸運を噛みしめ仕事に戻る。
「……例の斡旋、もう一件ぐらいなら大丈夫よね? これやったら、しばらくガマンするから♪ モフモフは正義なの♡」
彼女の配置替えは近いかもしれない。
お読みいただきありがとうございましたm(__)m
シリアスが続けられません…(ノ´∀`*)




