第二話 自覚するって結構大変じゃない?
「隼人! こんな緊急事態が起こっているのに、まさかまだ寝ぼけているんじゃないわよね!」
「お兄ちゃん、大丈夫だよね? 早くドアを開けてよ!」
「隼人兄、生きてるか? もし三秒以内に返事がなければ事件が起こったとみなすよ! 分かっていると思うけれど、こういった場合にすぐ返事がなければミステリーでは密室の中で首なしで死んでるのがお約束なんだよ! ちなみに今のセリフとは全然関係ないけれど、僕は隼人兄が約束を破るような人間じゃないと信じているからね!」
三者三様の心配した声が届く。いやそのうち一名は本当に心配しているのか事件が起こりそうでワクワクしているのか隼人にも分からないが。
とにかくすぐ返事をしなければマズいことになりそうだと、すぐにドアを開いて招き入れる。
「おいおい駿介は俺に死体になってほしいのか? お前が言う密室で一人きりになって返事が遅ければ、これはもう死体になってるに決まってるという妙な信頼はミステリーの中だけにしてくれ。あいにくここには名探偵もいないし、別に嵐の山荘や奇怪な館でもないから俺はピンピンしているぞ。……ああ、すまん冴月と千鶴には心配をかけたな」
ニュースに目が釘付けだった隼人はノックの音に気が付かなかったが、彼らの呼びかけによってようやく再起動を果たした。
隼人達テスターは意識を失ってゲーム世界へ没入するのだから安全面を考慮してと、全員が小さいとはいえ鍵のかかる個室を使わせてもらっている。
隼人としては「全員で一つの大部屋でもいいですよ」と提案したのだが、先方よりも先に女性陣からの強硬な抵抗にあってしまった。
曰く「寝ている私に何をするつもりなの? 破廉恥ね」「お兄ちゃんや駿だけならともかく、他の男の人に寝顔を見られるのはちょっと……」
という経緯で全員別室になったのだ。
だから全員が個室で最低限の身支度をしてからこの部屋に駆けつけたのだろうが、特に千鶴と冴月の二人に関しては同年代の少女と比較してかなりの早さである。
「隼人、もう当然テレビでニュースは……見ているわね。それで震源地は意外とここに近くて影響もありそうなのだけれど。これからどうするかはもう決めているの?」
入室するなりニュース画面を一瞥して隼人も情報を得ていると知ったのだろう。早速これからの行動を尋ねる冴月。
彼女は洗い晒しのジーンズにブラウスというラフでボーイッシュな姿だ。余計な飾り気がないだけに、かえって彼女のスタイルと美貌の素材の良さが引き立つ。これに加えてほとんど化粧もいらない凛とした顔立ちならば確かに身繕いはすぐ済むはずだ。
隼人や駿介にしても洒落っ気のないジーパンにTシャツ姿だし、千鶴にしても可愛らしくはあるがシンプルなワンピースだ。どうにも年頃の少年少女にしては色気が足りない面子である。
「ああ、柏崎さんと連絡をとって少しでも早く帰れないか聞いてみる」
「うん、そうだね。院の方がどうなっているか心配だよぅ」
まずはバイトでお世話になっている担当の先輩に連絡するのが先だと告げると千鶴は頷いた。
彼女としては一刻も早く帰りたくてたまらないようである。なにしろ先生達の大人はいても、兄や姉に当たる自分達年長組がいない孤児院に地震の影響がないかが心配のようだ。
隼人が携帯を取り出すと三人とも椅子に腰掛けるが、どこかそわそわした仕草は隠せない。
いつもなら孤児院には年長組である彼らの誰かしらいる。だが、今日に限っては固まってVRMMOを開発テストをするバイトに全員が集まっているというタイミングの悪さだ。
隼人にしても今向こうがどうなっているのか気になっていた。
「ん? ああ院の方からも心配したのかメールが来てるな。ええと「地震がありましたが、こちらに被害はありません。そちらは四人とも無事ですか? 隼人ちゃんが一番年長なんだから、院の心配するよりそっちの皆のことをしっかりと頼みますよ。PS・お土産買ってくるならたこ焼きのマヨネーズは抜きで。永遠の十七歳より」ってことだ。いつのまにか俺や冴月と同い年になってるが、あの人は昔から変わらずに心配性で仕事が早いな。俺達が心配するのを見越してもうこっちに連絡くれるなんて」
彼らが物心付いた時からずっと「私は永遠に十七歳」で通している年齢不詳な孤児院の先生からのメールによって、自分達の居場所が無事と分かった。
皆がほっとして深く息をつくと胸をなで下ろし一気に雰囲気が明るくなる。
しかしその中で冴月だけはやや消化不良な表情だ。
「冴月、どうかしたのか?」
「う、うん。こんなに早く的確に連絡があると安心できるけど、あの人は私が院に入って初めて会った十年前にはすでに永遠の十七歳を名乗っていたわよね。見た目は変わらないけれど一体本当の年齢は幾つなのかしら? 隼人達と違って女の子には凄く興味が……あら、こっちにもメールが」
今届いたメールを読み進めるうちに顔が強ばっていく冴月に、もしかしたら本当は院で何かあって、それをこっそりと伝えられたのではないかと隼人の脳裏に嫌な予感がよぎる。
「何だって?」
「知らなくていいことがこの世にはある」
「は? やっぱり何かマズいことでもあったのか?」
「いや、「知らなくていいことがこの世にはある」ってメールが先生から送られてきたのよ」
「そ、そうか」
――もしかしてここでの会話を聞かれていたのだろうか?
何者なんだろうなあの人は……育ての親とも言うべき年齢不詳の恩人だが、時々本気で不思議になる。
首を捻る隼人の肩にそっと手が置かれた。その手の持ち主は、おそらく孤児院で彼女から最も怒られていた駿介だ。
「無駄だよ。一般人はおろか忍者がいくら調べたって分からないことぐらいある……」
「お、おう。そうか」
肩に置かれた手が微細に震えているところからして、彼は孤児院でトップシークレットになっている彼女の情報を何度か調べようとしたのだろう。
――それで結局は挫折したに違いない。
尻尾を巻いている駿介の姿にそう隼人は推察せざる得ない。
猫より好奇心の強い駿介が諦めるなんてどんなお仕置きをされたのだろう。もしかして冴月の「あれ」はエターナルセブンティーンの彼女譲りなのか?
自分が冴月に折檻されたトラウマを思い出しかけて肌が粟立つが、こんな時に彼らを育ててくれた存在の理不尽さをいくら考えても仕方がない。
隼人は半ば無理矢理に思考を切り替えた。
とりあえず今ここにいる四人の安全については大丈夫である。
だが孤児院の方はいくら心配は不要だとは言われても、やはり年少のチビどもが多いと不測の事態がないかが気にかかってしまう。できるだけ早く様子を見に行った方がいいだろう。
「それじゃ柏崎さんに連絡して、俺たちはもう帰っていいのか確認してみるな」
「そう、お願いするわ」
「ん、隼人兄頼んだ」
隼人が携帯をかけるとすぐに相手が出た。
彼にしても得意なわけではないが、こういった対外向きの話し合いはだいたい一番年長である隼人の役目となっているのだ。
「柏崎さんですか? こっちは指示通りにログアウトしましたけど、これから先俺達がしなくちゃいけない予定は何かありますかね? もし何もなければ早めに帰って地震の被害やちびっ子に影響がないか、孤児院に戻って様子を見に行きたいんですけれど……ああログアウトしても俺達全員の体への悪影響は全く感じていません。ドラゴンを討伐した後の手紙ですか? 倒したらその時にちょうど地震が起きて読めませんでした。ええこっちも何て書いてあったのか分からず残念です。あ、はい、そうですか。それじゃ、そっちも大変そうですが頑張ってください」
通話を終えると隼人は皆に「帰宅にオーケーが出たぞ」と親指を上げる。見守っていた彼らも一様に笑顔でサムズアップを返す。
「それじゃ、皆さっさと帰ろうか。あ、ちょっと待て。このニュースまでチェックしていこう」
地震から時間が経ったおげでようやく各地からの情報が届き始めたのだろう、テレビからはこの地震による被害の状況が次々と伝えられて明らかになっていく。
なぜか震源地が日本――どころか世界各地に点在していて、そこから揺れが一斉に発生したという得体の知れない地震だが、世界的な異常よりもまずは隼人達自身の身近な場所の方が気にかかる。
しかしながら、彼らの懸念は当たってしまった。
隼人達の孤児院は無事だったとはいえ、画面では彼らがよく知る場所の道路が寸断されたり、火災が起こったりとかなり酷い状況になっている。
「うわぁ、ここ確か冴さんと一緒に行ったお店だよ」
「ええ、思ったより酷いわね」
「うーん、ゲームじゃなく実際に町がこうなるとシャレになってないなぁ」
「くっこんなにも被害が……」
次々と露わになる被害に思わず掌に力が入り、隼人はまだ手にしていたジュース缶を握りつぶしてしまった。当然ながら中身は勢いよく吹き出す。
その先には机を挟んで対面に座っていた駿介の姿が。
「うわ、危ない! 隼人兄、いきなりこっちにジュースを浴びせないでよ!」
腰掛けていた体勢から反動を付けることなくバネだけで飛び退いて飛沫の回避に成功する駿介。
「あ、すまん」
隼人は反射的に謝った。
――え? 今のは何か変じゃね?
だがすぐに一連の事態が異常だと気が付いた。
隼人の握っているのは今でも生産されてるのが不思議な骨董品に近いスチール缶である。しかもその頑丈な缶はまだ開封していない状態だったのだ。
隼人も大柄な体格にふさわしく力はある方だと自負しているが、これを握っただけでプルタブが弾け飛び中身が吹き出すような化け物じみた握力は有していない。
しかもそれだけでなく、中身が吹き出した時の駿介の避け方もおかしい。
来ると分かって準備をしていれば、さっきのアクション映画じみたかわし方ができるスタントマンやアスリートもいるはずだ。
だが駿介は一メートルもない位置から突然ジュースが降りかかるのを視認した後に、深く腰掛けていた椅子から身を起こしてステップを踏み、一滴すら浴びることなく完璧に避けたのだ。
ゲーム内で彼がプレイしている忍者のキャラクター並みの反応速度である。
隼人は思わず自分が握り潰したスチール缶と掌を見つめた。
ペリペリと引き剥がす音を立てながら掌を開くと、缶の方はまるで型が取れそうなほどくっきりと掌の形がプレスされている。だが彼の手に傷はおろか赤くなってさえいない。
「無意識だったせいで全力以上の力が出たのか……だが、それにしては駿介の反応も凄まじかったよな……」
ううむと潰れた缶を机に置いて、腕組み始めた隼人の思考は「ちょっとお兄ちゃんテレビを見て」と肩をつつかれて中断した。
千鶴に促されて視線を向けると、地震の被害者が増えたのだろうという彼の想像とは全く異なった事態が画面に映っていた。
壊れた家屋に所々立ち上る炎と黒煙。
それだけならまだ予想以上に地震の被害が大きかったのか、だけで済んだだろう。
だがそこには一般のニュース番組には登場しないはず――だが隼人たちVRMMOプレイヤーには馴染み深い、毛むくじゃらで醜い猿と豚をごちゃ混ぜにした醜い怪物が映されていたのだ。
「なんでゴブリンが群を作って帝都のモールを襲撃しているんだ?」
「いえ、ゴブリンだけじゃないわ。オークの姿もあったわ」
あんぐりと口を開いた隼人に対し、冴月は「やれやれ」と首を振り、千鶴は目を潤ませ、駿介は肩をすくめる。
「なんで? よりもこれからどうする? かが重要ね。低レベルとはいえゴブリンやオークはモンスターよ。警官の拳銃では対処しきれないんでしょうね。日本の警察は発砲も制限されているから弾数も少ないし、撃ち尽くしたら警棒なんかではとてもモンスターとは戦えないと思うわ」
「た、大変だよぅ。それじゃお巡りさんが怪我しちゃうじゃない!」
「うーん、千鶴姉が言うみたいに怪我ですめばいいけどねぇ。それにゴブリンやオークだけでも大騒ぎだけど、さっき画面の上を横切ったのはたぶんワイバーンの影だったよ」
ゴブリンなどのような低級で地上を行動するモンスターだけではなく、ワイバーンのような空を行く中級モンスターまでいるとかなり厄介である。
おそらく警察が参考にするはずの、動物園からライオンや虎といった猛獣が逃げた場合の地上を移動する相手のマニュアルが全く通用しなくなるからだ。
「あ、そういえば院の方は大丈夫かしら? 地震では問題なかったようだけれど、こんなモンスターが出現したのならさすがに危険なんじゃ……」
嫌な想像が頭をよぎったのか、慌てて今度は自分で院へ電話する冴月。
「ああ、何度もすいません。はい、こっちは全員無事です。それより、院は本当に大丈夫なんですか? 地震の被害だけでなく、テレビではモンスターがそっちにも発生してるとか……はあ!? え、本当に? あ、いえ、もちろん信用していない訳ないじゃないですか。はい、それでは」
どうやら会話からして向こうは無事のようだが、安心したというよりなにかどっと疲れた様子で額の汗を拭い携帯を切る冴月。
「どうした」
「うん、その、院の周りにはちゃんと結界を張ったからモンスターは侵入できないって」
「……モンスター避けの結界を張れるとか、だから何者だよ、あの人」
テレビからの情報と同等なぐらいに親代わりの院長の見知らぬ面に戦慄する一同。
「ま、まああの人何があっても私たちを育てて可愛がってくれた人だよ! たとえその、永遠の十七歳で容姿がずっと変化しなくても、結界とかを張れてモンスターを寄せ付けない力があっても……」
フォローしようとする千鶴の言葉尻がだんだん弱くなっていくのはしかたない。どう考えても今の情報を並べ立てられた人間が普通であるはずがないからだ。
そんな次第にしゅんとしていく千鶴の頭を隼人は乱暴に撫でる。
こうすれば彼女はいつも「もう、髪は女の子命なんだよ! 今ので髪の毛三本は抜けちゃった、つまり三人は殺したのと同じぐらい罪深いんだからね!」と怒り出すのが分かっているからだ。
「もう、お兄ちゃん! それやめてっていつも言ってるでしょ!」
「ああ髪をくしゃくしゃにしたのは悪かったな。でも結界を張れるような凄い人が院を守ってくれてると思えばかえって心強いだろ」
頬を膨らませかけていたが、隼人の言葉に驚いたように目を見張ると「うん、そうだね」と白い歯を見せる。
――千鶴が単純で助かった。
元気を取り戻した千鶴とは反対に活動的な二人は眉をひそめてテレビを注視している。
「しかし、こうして現実世界にモンスターが出現しているというのに何も出来ないのは歯がゆいわね。ゲーム内ではゴブリン程度なら呪文一発で簡単に退治していただけになおさら苛立ちが募ってしまうわ」
「仕方ないよ冴月姉。僕たちはゲームのキャラじゃないんだし。そりゃ今の僕が忍者だったらゴブリンぐらい装備がなくても、素手でこうやって「暗手斬」の一発でやっつけるのに」
オーバーアクションで喋っていた駿介の腕がゲーム内の忍者を模したように上から下へ振られると、空気を切り裂く音がして隼人が潰したスチール缶を置いておいた机が真っ二つになり崩れ落ちる。
忍者がゲーム内で最初に習得する攻撃スキル「暗手斬」は手刀からカマイタチを飛ばして敵にダメージを与える技である。
そのゲーム内の技である暗手斬によって机が両断されたようだった。
しかも切断されたのは机だけでない。
ご丁寧に隼人がさっき潰して机の上に置いていたスチール缶までもが鋭い刃物でばっさりやられたような切り口で分割されているのだ。ここまでくれば机が老朽化していたとか偶然とか手品とかでは片づけるのは無理だな。
「ほ、本当に「暗手斬」が出た……」
じっと自分の手を見つめる駿介。
それから千鶴・冴月にそして最後に隼人へと視線を移す彼の顔には抑えきれない喜びの色がある。
――まさか駿介の奴、現実世界でも忍術を使えるようになったのか?
緊張して唾を飲み込む隼人に「お兄ちゃん!」と千鶴が声をかける。
「足に怪我しているじゃない!」
――え? そっちの方? ほら駿介だってがっかりしたように肩を遅しているじゃないか。リアル忍術を目の当たりにしたことより、俺が怪我しているが重要ですか。
妹の天然ぶりに気が抜ける隼人。
だが、彼が怪我をしているのは本当だ。指摘されてようやく隼人は自分が傷を負っているのに気が付いた。
机を間に置いて駿介と対面にいたせいで机を斬ったカマイタチに巻き込まれてしまったようだ。
とはいえ傷自体は大したことはない。
膝と太股の中間を薄く鋭い刃物がかすったような浅いもので、千鶴に指摘されるまでは痛みも感じなかったぐらいだ。出血もほとんどなく、隼人にとって一番痛いのは怪我よりむしろお気に入りのジーンズが破れてしまった方である。
「うーん、痛いの痛いの怪我させた駿の方へ飛んで行けー。治癒なんちゃって」
かすり傷だと分かり安心したのか、珍しく千鶴が孤児院で年少組の転んだ子を相手にしている時ような冗談を飛ばす。
しかしそれが冗談ですまなくなってしまった。
彼女のかざしていた掌から、「治癒」というゲーム内でも最も低級の回復呪文に合わせて淡く白い光が放たれたのだ。
その暖かみを帯びた光は隼人の足にある傷口を包むと、一秒もかからずに消えさった。
それでもまだ、彼女の手が光っただけなら気のせいで言い張れたかもしれない。
「あれ、怪我が治ってるぞ」
「え? 嘘でしょ? いくら隼人でも三秒で回復するはずないじゃない」
「うわ、マジで僕の方へ怪我や痛みが移らないよね!?」
「これってお兄ちゃんの力なの? それとも私のおかげ?」
僅かにあった足の痛みが失せている。
隼人が自分の目で疑い指で触って確かめても、もうそこには傷跡どころかかさぶたすら残っていなかったのだ。
しかし怪我していたのが夢ではなかった証拠にジーンズの破損と、ダメージ加工のようになった破れ目についた微かな血の染みはそのままだ。
ここまで証拠が揃っては隼人も現実逃避はできなくなった。
――ここはゲームではなく現実世界のはずだ。でも、もしかしたら――
「重装騎士スタイル。フル装備」
隼人は冒険に行く際に登録している装備をゲーム内でするのと同じように呼び出した。
軽い金属音がすると、体が少しだけ重くなり視界が狭まる。
しかしそれはゲーム世界ではお馴染みの感覚だ。
部屋にいる全員が息をのむ音をバックに、隼人は鏡をのぞき込む。
そこにはついさっきまでファンタジーゲームの世界でレッドドラゴンと対峙していた重騎士が兜越しに彼を見返していた。