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白かん! ~詰めりゃいいってもんじゃない~  作者: 透坂雨音
短編

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第91話 なりきり日和04(未利)



 衣装部屋


エアロ「はぁ、何を始めたのかと思えば。なりきり? ですか?」

未利「ちょっと離れてて、集中できないから」

エアロ「はいはい、分かってます。勝手にどっかいかないでくださいね」

未利「その軽くいなしてる感がちょっとむかつく」


 雪菜のフリに頭を悩ませているのは、姫乃だけではなかった。


未利「えっと、これとこれ。あとこれがあればいいか」


 キャラ作りに励む未利は、貸衣装が収納されている部屋にお邪魔していた。


 キャラのイメージを固める作業は、たくさんの情報を決めるほどスムーズにいく。


 だから、とっかかりを得るために、難易度の低そうな見た目のイメージから考えていたのだ。


未利「エアロみたいなっていうと、兵士の制服をチョイス。鈴音からは……お洒落なとこ? そそっかしいけど、見た目には結構拘りあるみたいだし」


 等身大の鏡とにらめっこしながらあれこれ衣装のパーツを組み合わせて、数分程。


 ビジュアルは予想通り、難なく決まった。


 城の兵士達が来ている制服に、お洒落要素として帽子をチョイス。

 そのままだと味気ないので、制服の端に星のブローチを付け足した。


未利「あとは、性格」


 鏡を前に、それっぽいポーズをとりながら内面を練り込んでいく。


未利「二人の特徴的な所を抽出していくと……真面目、元気、丁寧、素直。ふむふむ」


 それらの要素を矛盾なく正確に反映させるために、必要な物と不必要な物に分けて、素材を取捨選択。

 残った項目を連結させるために、潤滑剤として新しい要素を継ぎ足していく。


未利「人に迷惑かけない方向で練っていくとしたら。誠意?」


 誠意の形は人によってそれぞれ違うので、こうだという物はない。だから、一般的な形を参考にしていく。


 やがて出来上がった性格を、表面に現出させる。


 目をつむって、自分は自分ではない誰か、と念じる。


 そして、深呼吸して落ち着いた後。

 目を開けて。


 その性格の持ち主にふさわしい行動を意識する。

 鏡を真っすぐ見つめて、目の前に相手がいると思いながら元気にお辞儀。


未利「エアロさん、おはようございます。今日も一日頑張ります!」


 言い終わった後、肩を落として脱力。

 間違っても知り合いには見せたくない姿だった。

 純粋に恥ずかしい。


未利「本当にやんなくちゃいけないわけ?」


 何もかもなかった事にしたいと思いつつ、先の事を考えればやらねばならないとも思う。

 のだが、踏ん切りがつかないという微妙な所だ。


 しかし、天は非情だったらしい。


?「あっ、こんな所にいたんだ。早くいかないと始まっちゃうよ」


 部屋に入って来た兵士に腕を掴まれて、どこかへと連行。


?「スカウトされたてだから迷子になるのは分かるけど、何もこんな分かりにくい所に迷いこまなくてもいいのにね」

未利「へ? いや、ちが。ちょ」

エアロ「あれ、未利さん? ああもう、ちょっと目を離した隙に」


 言い訳をする機会を封じられるような速度で、どこかへと連れてかれてしまうのだった。



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