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白かん! ~詰めりゃいいってもんじゃない~  作者: 透坂雨音
第七幕 果て知らぬ波紋

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特別編02 信連闘士



 ――


 それは科学技術の発達した世界の話。

 作られた人間と自然に生まれた人間が対立して、戦争をしている時代の話。


 争いは長く長く続いていた。

 多くの犠牲が出て、血が流れていた。

 しかし、絶える事の無かった争いの火が、揺らぐ時が来る。

 それは、新世紀2234年の始まりの頃。


 鋼鉄のロボットが駆け抜ける戦場に、変革をもたらす者達が現れた。


 ――





 雷走号 ブリッジ


 白亜の巨大戦艦が宇宙空間に浮かんでる。

 暗闇に生える白の戦艦、その艦のブリッジには、多くの人間が集まっていた。


 そして、ブリッジの前方。

 いつもなら外の環境……暗い宇宙空間を映し出しているモニターには、今は大きな地図が映し出されていた。


 集まった人間はみな、赤色を基調とした軍服を着こんでいた。

 それは、宇宙連合国の軍服であり、軍に所属する人間が着こむ制服であった。


 その事実が示す通りに、集う人間の内訳の大半は、宇宙連合国マーズの軍人だった。


 その軍服を着こんだ一人の少女が、その場にいる者達全員に聞こえるように声をあげる。


「さて、こうして手駒も物資も十分に揃った事だし、戦場にわがまま通しに行く作戦、皆で立てるわよ」


 長いピンクの髪をツインテールにしたその少女は、十代半ばの歳の少女だ。

 彼女はアイドルとして多くの人間を前にして舞台に立つ人間であった。

 しかしそれでいて、彼女等のいる巨大戦艦雷走号の艦長を務める存在でもある。


 そんな彼女の名前は、ルナ・ルージュ。

 終わらない争いに終止符を打つ事になり、後に戦女神と人々から謳われる事になる者だった。


「あはは、わがままだってー。身もふたもない理由だねー」


 そんな彼女の言葉に最初に反応を示したのは、同じ年頃の少年だった。

 短い黒の髪をした少年は、にこやかな表情を崩さぬまま発言主である少女の方を見ている。


 赤い制服を来た少年。

 彼の名前はケイク・ユーキ。


 マーズではそれなりに域に入る、腕利きの戦術機パイロットだ。

 戦術機は人型のロボットであり、人間の手では行えない作業をするために生み出された機械だった。

 しかし、現在は状況が示す通りに、戦争に使用されている。


 ケイクは気安い様子でルナへ話しかける。


「ルナは、ただでさえ傍若無人で賑やかなのにねー」

「人がせっかくまとめようとしてるのに、茶々をいれないでよ。まったく」

「あはは、ごめんねー、ついー」


 作戦を立てるときの定番と化しつつある、ルナとケイクのやりとり。

 その二人のかけあいに入って行くのは、青い髪の十代前半の歳頃の青髪の少女だ。


「ルナちゃんとケイク君がすっごく仲良しなんだよ。とっても嬉しいな」


 我が事のように二人の仲の良さを喜ぶその少女は、戦争をしているマーズと、そして地球軍のどちらの勢力にも属さない、中立国出身の歌姫だ。


 絶えず海の中を移動している機械。巨大な球体状の建物の中に納まっている水の国では、それなりに有名な少女だ。

 ……であるのだが、和平の使者として宇宙で活動していたところ、乗っていたシャトルが色々あって遭難。

 その際にルナたちに保護されて知り合ったのだった。


 名前は、ポロクロス・ランドリー。愛称ポロン。


 ポロンの言葉を受けて、心外だとルナは肩を怒らせる。


「仲良しなわけないでしょ、こんな奴。腐れ縁よ、腐れ縁。ポロンちゃんはちょっと黙っててね。今大事な話を始める所だから」

「そうそう、お口にチャックだよー。ごめんねー、ルナが短気なせいで、話が脱線しちゃってー」

「アンタのせいもあるわよ!」


 咳払いをしたルナは、あらためて空気を引き締めその場に居並んだ面々を見つめる。


 ブリッジに集まった面々は、実にユニークな顔ばかりだった。


 軍を抜ける時に巻き込んでしまった、新米戦術機パイロットであるアオイと、そして民間人の少女ベルリカ。

 アオイと同期の少女で、ツンデレ戦術機パイロットのリン。

 ベテラン戦術機パイロットである中年おっさん組のジンとジンガ。

 ブリッジの作業員の双子の少女、イリスとイリナ。


 水の国から自分達についてきた射撃が得意な戦術機パイロットのアンヌ。

 水の国の自衛軍に所属していた、モニカとティーナ、そしてブラド。

 何度も生死をかけて雷走号と戦場でやり合って来た、ひょうひょとした性格の元地球軍所属の軍人エイガ。

 エイガの補佐をしていた、同じく元地球軍の軍人の女性テスタ。戦術機械のパイロットであるリーファとロンド。


 そうそうたる顔ぶれが集まっている。


 これだけの様々な立場の人間を集めるのにどれほどの時間をかけたのかと言えば、たった一年だ。

 ルナ達はわずか一年足らずで、これらの面々を結集させていたのだった。


 彼女達の目的はただ一つ。

 二つの組織が行っている戦争を、自分達が終わらせるという事。


 その為に、彼女達は立場や身分や国や年齢を超えて、手を取り合った。


 彼女達は、後に歴史を動かす事になる作戦を、今日この場で立てる予定だった。


「余計な茶々が入ったけど、気を取り直して頭を回すわよ。敵は世界で、私達以外の全人類。それでもケンカ売ってやろうって気概があるなら、命やら尊厳やら権利やら立場やら諸々をかけて、全部の力を貸してもらうわ。後戻りはもはやできない許されない。それでも前に進みたいというのなら、進んでやろうじゃないの」


 それは、世界に新しい歴史を刻む事になる戦いの、ほんの数日前の事だった。



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