第25話 キッシュ異世界版
シュナイデル城にお客さんとして滞在するようになって数日、訓練室で修行していた姫乃達は休憩の合間に話をしていた。
それぞれの手には、兵士の誰かがシュナイデの町で買って来たらしいお惣菜パンの様な物がある。
タルト生地の上にパン生地がドームのようにくっ付いていて、中身に具が入っている。
おすそ分けされたものだ。
姫乃「焼き魚が入ってるね」
啓区「海の近くだからねー、きっと新鮮なんじゃないかなー」
なあ「ふぇ、未利ちゃまどうしたの? 何だかパンさんを細かくしてってるように見えるの」
未利「魚の骨が気になる」
姫乃「喉に刺さっちゃったらって思うと、ちょっと嫌だもんね」
未利「刺さった事あるからなおさら嫌だ。何でパンなんかに入れるわけ」
啓区「そんなに細かくしてったら、パンの原型なくなっちゃうよー」
なあ「こなごなになっちゃってるの、かわいそうだってなあ思うの」
未利「刺さるよりまし!」
姫乃「トラウマなんだね……」
もごもぐ。ちぎちぎ。
姫乃「このパンって確か、くれた人が言ってったけど。他にもお肉とか野菜とかが入ってる種類もあるみたいだよ」
未利「何それ、こいつホントにパン?」
啓区「パンに包まれてるからにはパンなんでしょー」
なあ「ふぇ、パンさんはパンさんだって思うの」
姫乃「確か、お惣菜パンとして、キャッシュって名前がついてるみたいな事言ってたかな」
未利「何その銀行に使うカードみたいな名前。と言うか、キッシュの異世界版か」
啓区「あー、あれかー。未利、食べた事あるんだー」
未利「まあ、一応。何か変な変貌遂げてるけど、もとはもっとまともなんだよ……。誰だこれ最初作った奴」
なあ「ふぇ? 未利ちゃましょんぼりしてるの」
姫乃「(キャッシュのパン、じゃなくてキッシュに何かこだわりでもあるのかな……)」




