漂流者 ~三人の姫2~
「そういえば、二人は素敵な人でも出来た?」
話題を振った姫は、なんとなく覚悟していたことにさらりと答えた。
「私は、相変わらず」
ミリアーシュはすぐに恋愛へと脳が動き、姫はそんな姉に心底うんざりしていた。妹はそこそこ乗り気だが、
「私は山の国の王子との話があるかな」
最近は何かあったのか、山の国のことを話すときは達観したような口ぶりと真顔になる。
「山の国の王子って、確か気立てのいい王子だったわよね」
「ええ。でも、私も彼も成すがままになっているから、ちょっと、ね」
嫡男でありひとりしか居ない山の国の王子は、その伴侶となる人を万人から選ぶ立ち位置にはない。そしてそのお后候補のひとりが、ユミリアだった。
「お互いがお互い任せなのよ。気の良い友達だから、一緒になっても、今のままでも良いって感じなのよ。進展しないみたい」
密かに応援している姫はそう言って、紅茶を飲み干してカップを置いた。ポットを傾け、自分のカップとユミリアのカップに紅茶を注ぐ。ミリアーシュはとても意外そうな顔をクッキーに手を伸ばすユミリアへ向け、
「え、一緒になってもいいっていうなら、それは恋じゃないの?」
「どきっとしたり、きゅんとしたりっていうのは、ないかな。考えが似てるから、一緒に居て楽しいってくらい」
「それもまた微妙ねぇ」
うなりながら紅茶を飲み干した。ユミリアも何かを考えながら、クッキーを噛み折った。
その後も談笑しながら父親を待っていたが、結局顔を見せることなく夕食まで終わった。ジューンは結局後日だと伝書鳩が使わされ、ゆっくりしていくわぁとミリアーシュは笑った。




