表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

使用人頭は見た。

カルティス坊っちゃんは相変わらずだ。

懐かしい気持ちはあるけど昔のようにかるがるしく接することはできない。


「ジェーアス、カルはどこにいるんだ?」

アンリ坊っちゃんが廊下をかけてきた。


もう少しレーイド公の次代若長の未来の腹心の自覚をもってほしいものだ。


「庭にいらっしゃいます。」

掃除用具を担ぎながら言った。

「ありがとうよ!」

アンリ坊っちゃんが片手をあげて去っていった。

オレも様子を見に行こうか?

そういえばカルティス坊っちゃんの顔色が優れなかった。


カルティス坊っちゃんは庭のベンチで瞑想をしていた。


「カル。」

アンリ坊っちゃんが声をかけるとカルティス坊っちゃんは見事な赤い目を静に開いた。

「なにかようか?」

カルティス坊っちゃんが言った。

「用かじゃねぇ、部屋にいきゃいねぇしよ。」

アンリ坊っちゃんがカルティス坊っちゃんに詰め寄った。

「夢を見た。」

カルティス坊っちゃんがそういって空を見上げた。


「……珍しいな例の夢か?」

アンリ坊っちゃんが訳知り顔で言った。

「ああ。」

カルティス坊っちゃんが言った。


そういえば子供の頃カルティス坊っちゃんが夜に泣きながら部屋にくることがあった。


『ジェお兄様、怖い夢を見たの。』

可愛い子赤狼だったな。

若長似の赤い毛並みの子赤狼がどこどうやったらあんな無口な若い赤狼になるんだ。


「んー、なんかに追われる夢だっけ?今日の蛇族の屋敷の訪問はやめるか?」

アンリ坊っちゃんが頭をかきながら言った。


オレは不審にならない程度に庭の掃除をしはじめた。


「いや大丈夫だ。」

カルティス坊っちゃんが立ち上がった。

「おい顔色悪いじゃねぇか、無理すんなよ。」

アンリ坊っちゃんが言った。

「無理してない。」

カルティス坊っちゃんがそういいながらも空を見上げた。


たぶん絶対無理してる。

昔は少しは素直だったのに。


ふと廊下の方を見ると使用人のシーラとウェンディーさんが覗いている。

女性方の担当だったはずだが?


赤狼の屋敷は有事の機動性を考えて回廊が中庭に面してあるからな。


そっと近づいていく。


「赤狼の次代若長様かっこいいわね。」

こそこそしながらウェンディーさんが隣のシーラに言った。


たしかウェンディーさんはレーイド公家が管理する里以外出身だから初めてあったのか?


「ええ、里にいるときからかっこよくて、モテモテだったの、抜け駆け禁止の約束があったのよ。」

シーラさんが言った。


シーラ、お前オレの彼女じゃなかったか?

長様にもう結婚のゆるしを得ようとおもってるんだが。


「なに油を売ってる?仕事しなさい。」

オレは二人の前に出ていった。

「ジェーアスさんすみません。」

ウェンディーさんはすぐに頭をさげて動き出そうとしてシーラに止められた。

「何よ、懐かしいカルティス様をすこしくらい見ても良いじゃないの、ミノン様の身支度は終わったわ。」

シーラが両手を腰にあて胸を張って言った。

「そうか?じゃあ厨房手伝いしてこい。」

オレは廊下を指差して言った。


断じて嫉妬でどこかにやろうとしているわけではない。


「まったくうるさいわね。」

シーラはそういって廊下の厨房の方へウェンディーさんと去ろうとした。


「シーラ?」

気がつくとカルティス坊っちゃんが後ろまで来てた。

まああそこまで騒げばな。


「カルティス様、お久しぶりでございます。」

シーラがむきをかえて言った。

ウェンディーさんは少し顔が赤い。

「気がつかずすまない。」

カルティス坊っちゃんが軽く頭を下げた。


まあ昔からアンジーの親友でレーイド公家に出入りしていたしな。

その関係でレーイド公家のこの屋敷に雇われてオレとこう言う関係なったんだし。


「いいえ、私こそ朝の貴重な時間に騒いでしまって申し訳ございません。」

シーラがおしとやかなふりして言った。

「いや仕事の手をとめさせて悪かった。」

カルティス坊っちゃんが微笑んだ。

「そんな。」

シーラが赤くなった。


ウェンディーさんがシーラの服を引っ張った。

しぐさが可愛いなシーラと大違いだ。


「カルティス様こちらは使用人のウェンディー・オークナですわ。」

シーラが心得たように言った。

ウェンティーが赤狼の女性のお時儀をした。

「よろしく頼む。」

カルティス坊っちゃんが言った。


「カルティス、アンリ君ここにいたのかい?」

旦那ケインティス様が廊下から声をかけた。


「叔父上。」

カルティス坊っちゃんが振り返った。

「よかった、実は朝から迷惑な招待状が届いたらしい。」

旦那様がそういってなにかの手紙をヒラヒラ振った。


しまったカルティス坊っちゃんにかまけて手紙をとるのを忘れた!


「旦那様申し訳ございません。」

オレは旦那様の伏した。

「気にする事ないよジェーアスはカルティスのお兄ちゃんだしね。」

旦那様が鷹揚に言って下さったが自分が許せない。

「すまん。」

カルティス坊っちゃんにまで謝られた。


オレはここに誓うもう二度と同じ失敗はしない。


「ジェーアス悪いけど朝食は簡単に食べられるものを部屋に用意してくれるかな?長の部屋にいくから。」

旦那様がそういってカルティス坊っちゃんとアンリ坊っちゃんをひきつれて屋敷の奥へ去って行った。


「すぐに準備しないと、シーラ厨房へ頼む。」

オレは掃除道具をかついで廊下にあがった。

「まったく単純なんだから、まあそこがいいんだけどね。」

シーラはそういってウェンディーさんとすぐに厨房に走ってくれた。


さてオレも失敗を取り戻さないとな。

朝食を届けたら手紙の相手の家の情報収集だ。

それが出来てこそ出来る使用人頭なんだからな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ