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 対局の似たもの同士

 自己紹介の後、持ってきた瓶の分の炎魔法を仕入れたティナとウォーカーは、次の目的のために街に戻っていた。


 「それにしても、ウォーカーさんって……」


 横を歩いているウォーカーを見上げながら、ティナが言う。


 「なんですか?」


 ウォーカーもこっちを見下ろしながら、聞いてくる。


 ウォーカーは身長が高く、ティナは小さいため、話すときはいつもウォーカーが見下ろす形になってしまうのだ。


 「いや、不思議な人だなぁと思って」


 見下ろされる事になれているティナは特に気にした風もなく会話する。


 「? そうでしょうか?」


 ──自覚が無いのか…… 


 軽く脱力するティナ。


 ウォーカーと出会ってから、驚いたり、脱力したりと行ったことばかりのような気がする、と、ティナはまた脱力した。


 「だって、白髪だし、男とは思えないほどの美形だし、治癒魔法を使えるし、師匠の若返りを見抜いちゃうし、私の魔道具も見ただけで色々納得してたし……」


 気を取り直して、言葉を紡ぐティナ。


 言葉にしてみると、ウォーカーがどんだけ不思議な人なの改めて認識することができた。


 「僕は女ですよ?」


 爆弾発言。


 「はぁ!?」


 「冗談です」


 いろいろありすぎてそろそろ疲れてきたティナはもう我慢の限界だった。


 プッチンと何かが切れる音がした。


 ガン!


 「いたいです!何で蹴るんですか!?」


 「うるさい! 本当みたいな冗談を言うからよ! 一瞬信じちゃったじゃない!」


 すると、ウォーカーは笑ってこう言い放った。


 「本当みたいなって何を言っているんですか?僕はどこからどう見ても男じゃないですか」


 そんなことあるわけないとでも言うようなウォーカーの口調。


 もう一度ウォーカーの足を蹴っておく。


 自覚なし美形男にはしかるべき報いを与えておかなければ。




             *



 「ところで、まだいくつか疑問が残ってるんだけど?」


 ティナは、ウォーカーに言った。


 「疑問ですか?」


 「うん」


 引き続き、街を歩きながらしゃべる2人。


 「まず、治癒魔術師だからって、見ただけで人の年齢とか、魔法を解析できるものなの?」


 これは、私と会ったときと師匠と会ったときに感じた疑問だ。


 「年齢などが分かるのは別に治癒魔術師だからって訳でもありませんよ。


 ただ、治癒魔法を使うに当たって、人や動物の構造などには詳しくないといけないので、肌や筋肉、身長などから大体の年齢は見ただけでわかるだけです」


 「魔法の解析は?」


 「これは僕の特技見たいなものです。


 それに、僕に限らず、上位にいる魔術師は見ただけで魔法を解析できたりするんです。上位の魔術師と言うのは、色々な魔法を見て来ていますからね。


 ……もっとも、さすがにローリアさんにはかないませんが」


上位とゆうのがいまいち良く分からないティナだったが、それに、ウォーカーやローリアが含まれていることはわかった。


 「やっぱり、師匠ってすごいんだ……」


 師匠の凄さを改めて実感するティナ。


 「…………」


 なぜかそこで、険しい顔をするウォーカー。


 「えっと、どうかしたの?」


 ウォーカーの顔をのぞき込むと、何か考え込んでいるように見えた。


 「いえ。これは、僕の口から言うべきことではありません」


 「えっと、なにが?」


 「何でもありませんよ。それより街に来てからずっと歩いていますけど、どこに向かっているのですか?」


 無理やり話をそらされたように感じるティナ。


 「え? あぁ。どこにも向かってないわよ?」


 あえて言及はせず、さも当然といった調子で返すティナ。


 「えぇ!? じゃあ、なんのために街に?」


 目的地もなくずっと歩き続けていたのがショックだったようだ。


 自分は目的もなく旅をしているくせに、とティナは思う。


 しかし、ちょっと仕返しができてティナは満足だ。


 「魔法を売りにだけど?」


 ニヤリと笑いながらティナは言う。


 「なんだ目的地があるんじゃないですか。どこで売るんですか?」


 すこしほっとしたようなウォーカー。


 「街」


 だから、私は簡単に言った。


 「街のどこですか?」


 「だから、街」


 「だから、街のどこ……」


 そこで、ウォーカーは気づいたようだ。 


 「もしかして……」


 そう。その『もしかして』だ。


 「私の商売は決まった拠点はないの。


 いつも朝から夕方まで街を練り歩いて、お得意さんの家やすれ違った人たちに魔法を売る。


 それが《魔法瓶売り》の商売方法よ!」


 自信満々に言い放つティナ。


 「そんなんで商売が成り立つんですか?」


 がっくりとしたウォーカーの口調。


 旅人のくせにあるのが嫌いなのだろうか。


 そんな状態のウォーカーをみたティナはしてやったりと言った調子で、


 「それが成り立つのよ~♪


 私はこの街じゃ結構古参だし、やってる商売も特殊だからね~♪


 ……まぁ、もちろん最初から歩き商売をしていたわけじゃないけど」


 そこまで言ってから、ふと顔を曇らせるティナ。


 しかし、それは一瞬で元に戻った。


 ウォーカーはあえて気づかなかった振りをした。


 「まぁ、何はともあれ今から夕方までは歩き続けるから、覚悟しときなさい!」


 ビッ!とウォーカーを指さしながら宣言するティナ。


 「仕方ありませんね…。仕事をみたいと言ったのは僕ですし。街をみるのにもちょうどいいですし」


 何か諦めたように言うウォーカー。


 「でしょー!」


 それをみたティナは楽しそうに言った。


 温度差の激しい2人は、街を闊歩し始めるのだった。








 

読んでくださってありがとうございます!

最近執筆ペースが落ちているのを感じています……。

もっと早く更新できたらとは思っているんですが、いや思っているんですよ、ほんとに。

この話はちょっと、伏線のようなものを張っておきました。

この伏線、完結するまでに解決することができるのかどうか……。


感想受け付けています!

どんなものでもかまいませんのでおまちしております!

ではまた次回!

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