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 白髪黒衣の旅人2

 

 「それで、私になんか用ですか?」


 「はい?」


 先ほど慌てていたせいで、本題を忘れてしまっている男。


 「だから、ナターシャおばさんに私のことを聞いて待っていたんでしょう?」


 「ええ、そうなんです。……あれ? 僕を泊めてくれた人の名前を知ってるんですか?」


 「だいたい察しがついただけです。それで、私になにか用があるんですか?」


 本来の自分は、初対面の人と話すときなどは特に、敬語はもちろん、ガチガチに緊張して話してしまうほどの人見知りなのだが、なぜだかこの人に対しては、敬語はそのままだが、緊張したりして舌を噛むなんて事はなかった。


 そのことに、自分で驚くと同時に喜んでもいた。


 もちろんそんなことは表情に出さないが。


 「はい、ティナさんがやっている『魔法売り』と言う仕事を見てみたいと思いまして」


 「私の仕事は名前のまんまですよ?ただ『魔法』を『売って』いるだけです。それより、あなたも自己紹介してくれませんか?」


 男が名乗っていないのに気づいたティナは、すこしきつめに訪ねた。


 男が怪しい事をしている、犯罪者のような人ではないかと疑ったのだ。


 「これは失礼しました。僕はウォーカーと言う者です」


 それでも、ウォーカーは気を悪くしたような感じはなく、ニコニコしながら自己紹介をしてきた。


 そもそも、人を見る目は人1倍のナターシャおばさんが泊めているのだ。犯罪者なんかであるはずがない。


 そのことに気づき、取り越し苦労だったとあきれてしまうティナ。


 「ウォーカーさん、あなたは何をしにこの町へきたんですか?」

 

 「僕は旅をしているんです。特に目的も宛もない旅で、気の向くままにこの世界を旅しています。

  

 そこで、先日お世話になったある村の農家の人に、この町によってみたらどうだ? と言われ、ここの町に来た次第です。

 

 心配しなくても怪しい者ではありませんよ」


 どうやら私の考えがわかっていたらしい。


 それでも、気を悪くすることなく、こちらに気を使うような態度に、ティナはすこし罪悪感を覚えた。


 ──よし、もうこの人を疑ったりするような真似はやめよう


 ティナはすこし反省した。


 「ごめんなさい、さっきから尋問まがいの質問をして」


 「いえいえ、見知らぬ人に話しかけられたら警戒するのが当然です。あなたが謝ることはありませんよ。謝るのはこちらのほうです。急に話しかけたりして」


 また、気を使わせてしまった。


 ティナは慌てて言う。

 

 「いえいえ! 悪いのは私です! ナターシャおばさんが泊めた人が悪い人の訳ないのに、勝手に疑ってあれこれ聞いたりしてしまって、ほんとにごめんなさい!」


 「いえいえ、そんな………」


 と、その後、お互い謝り続けて、30分ほどたったころ、


 「「ハァ、ハァ……」」


 2人して息を切らしていた。

   

 ティナが言う。


 「もう、やめますか」


 「そうですね」


 顔を見合わせ、2人で苦笑いする。


 「さてと、それでは私は仕事に戻りますけど……。退屈とは思いますけど、一緒にこられますか??」


 「えぇ、もちろん!」


 即答されてしまう。


 しかし、ティナもこの旅人に、興味が出てきたので、ティナ自身も、もう少し旅人も一緒にいられると思うとうれしい気持ちだった。

 

 

 


 「それで今はどこに向かっているのでしょうか?」


 2人で歩き始めてすこしたった頃、ウォーカーが訪ねた。


 「私の師匠のとこです。師匠は私に魔法を教えてくれた人で、静かなところが好きだから、町の外の小屋で住んでるんです」


 それを聞いて、すこし考え込むウォーカー。


 「どうかしましたか?」


 訪ねてみると、


 「えーと、その、敬語はやめてくれませんか?」


 「は、はい?」


 てっきり、師匠の事について考えていると思っていたティナは完璧に不意をつかれた。


 「えっと、なんでですか?」


 「何でと言われましても、僕はお客ではありませんし、それほど歳も離れていないです。なにより、僕が慣れません」


 笑いながらウォーカーは言ってきた。


 「すいません、私の敬語は癖なんです。誰に対してもなぜか敬語になってしまって……」


 「さっきははずれてたじゃないですか」


 「そのことを思い出させないでください!」


 思い出したせいで、再び顔から火を噴きそうになるティナ。


 「それより、何で歳が離れてないとわかるんですか? 私はよく本当の歳より、幼く見られることが多いのに、てゆうか、ウォーカーさんは何歳なんですか?」


 強引に放しをすり替える。


 そのことを聞くと、ウォーカーは


 「僕は17です。年齢がわかったのは勘ということにしておきましょう」


 と、いたずらっぽく笑った。


 「とまぁ、そーゆうわけなので、敬語は使わなくて結構です」


 敬語を使うなと言われても、正直困る。相手はなにせ初対面で、しかも男の人なのだ。それに敬語を使わずにうまくしゃべれる自信もない。


 しかし、 


 「あなたは敬語をやめないのですか?」


 相手には敬語をやめてくれ、と言いながら、自分は変えないのか。そのことがティナはすこし気になった。


 「僕は遠慮しておきます」


 「なんでですか?」


 「なんか敬語以外の言葉が苦手で」


 苦笑混じりに答えるウォーカー。


 敬語以外しゃべれないなんてどんな人間だ、と思ったが、よくよく考えてみれば自分も似たようなものだと思い直す。


 「ティナさんは師匠のところになにしにいくんですか?」


 「今説明しても二度手間になるかも知れないの…」 


 『です』といいかけて、慌てて言葉を飲み込むティナ。


なれるにはもう少しかかりそうだ。とティナは思った。

 



 そして、


 「あれがそうですか?」


 10分ほど歩いたところで、前方に見えてきたものを指差してウォーカーが訪ねてきた。


 「えぇ、あれが……私の師匠の家よ」





 

 


  

読んでくれてありがとうございます!

遅れてしまって申し訳ありませんでした!

次回はもっと早く書き上げますので!


では、また、次回お会いできることを祈っています!

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