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『あの日4』

――なんで? なんでセシルがいるの? 彼はほかの部屋で試験をうけてるはず……


「な、なんで…」


疑問形の形で吐き出された言葉。しかし、それは質問ではなく、驚いて勝手に出てしまった言葉だ。


ティナ自身ですら意識せずに出した言葉。声自体も小さく、セシルに届いていたとは思えない。にもかかわらずセシルは、律儀に言葉を返した。


「すみません……。騙すつもりはなかったのですが…」


申し訳なさそうに言うセシル。


おそらく彼の言葉に嘘はないのだろう。ティナもそれは今の彼の態度を見れば理解できた。


「でも……っ、だったら……っ!」


唇を噛み締めて、今にも出てこようとする言葉を必死に飲み込もうとするティナ。


理解はできていても、受け入れたくないことがあった。


今すぐにでも、彼を問い詰めたかった。


そして否定されたいとティナは思った。


それでも彼女は、唇を噛み締めて、その衝動をこらえた。


もう既に試験は始まっているのだ。ここで感情に身を任せたら、まず、合格はありえないだろう。


それが痛いほどわかっているからこそ、ティナはこらえたのだ。


目の前で必死に『何か』をこらえている少女をみて、セシルは思う。あぁ、これは自分のせいなのだな、と。そして、これから更に彼女を苦しめなくてはならないような言葉を言わなければならないのだな、と思うとセシルは心が痛んだ。


ティナが拒絶し、しかし、周知の事実を、セシルは口にする。


「もうわかっていると思いますが……。私が貴女を書類審査で検察官を務めました、メルクリウス、パブリック・オフィス、職業審査科所属のセシルです」



読んでくださってありがとうございます!

今回はとてつもなく短いです。

しかし、安心してください!(なにがだ)

早くて今日中、遅くても明日には、いつも位の長さの話をかけると思いますので!

では、また読んでくださいね!

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