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 職人と商人の町

 目が覚めるともう昼近くになってきていた。


 「えっ、もうこんな時間?」


 昨日、レンが『お兄ちゃん』と呼んでいた旅人のことを、家についてから夜遅くまでずっと想像して……と言うよりは妄想していたせいで寝るのがすこし遅れた結果、完璧に寝坊していた。いつもならもうとっくに仕事をしている時間だ。


 レンは『お兄ちゃん』としか言っていない。しかし、なぜだかそのお兄ちゃんがずっと気になっていた。


 ──会ったこともないのに、変なの

 

 自分のことなのに笑ってしまう。


 「って笑ってる場合じゃなかった。今日はやることいっぱいあるんだったけ」


 慌てて着替えを始める。


 きていた水色に白の水玉もようのパジャマを脱ぐと、赤いシャツの上に、オレンジ色の、フード付きのポケットがいっぱいあるコートを羽織り、膝より少し短いぐらいの白いスカートをはく。これが彼女の普段着兼仕事着となっている。もっとも、今は冬なので、これではすこし薄着だが。


 洗面台に行って顔をあらい、鏡の前で寝ぐせを直す。


 その時、ふと、鏡に写った自分、『ティナ』と目があった。自然と自分を見てしまう


 肩よりすこし伸びた薄い桜色の髪、いつもは団子にしてくくっているので、すこしうねうねしている。パッチリ開いた瞳は、緑がかった碧で、優しそうだがすこしオドオドしている。口や鼻はすこし控えめで、輪郭はあごがすっとしていて、控えめに言っても、とてもかわいいほうだろう。本人は自覚していないが。


 ただ、若干童顔で、今年で16歳になるが、よくもっと下に思われる。そのことを本人はあまり気にしていない。


 ──やっぱりなんかくらいかな…


 ティナが気にしているのは性格だった。


 彼女はくらい性格はしていないが、特に活発としているわけでもなかった。しかし、いつ自分をみても少しくらそうには見えるのだ。髪の毛を団子にして明るく見せようとしているのも、彼女の心境が影響したのだろう。


 ──子どもには明るく接することができるのになぁ


 ティナは子どもが好きだった。


 そのおかげか、子どもと接するときだけは普段よりずっと明るく振る舞うことができた。


 しかし、そのせいで気づいてしまった。


 自分が、子どもといるときだけ明るくなれるのは、自分より幼く劣っている子どもをみて、自分のほうが優れていることを確認している、醜い行動ではないのか、と。


 その考えを振り払うように首を振ると、家の棚においてある、ガラス瓶を1ダースほど、コートのポケットそれぞれにいれる。

 「行ってきます」

 と、誰に言うわけでもなく家をでた。



 町を歩いていると、いろんな人が挨拶をしてくれる。


 男の人、女の人、子ども、煌びやかな人、みすぼらしい人、全身を隙間なく覆っている人、なかには半裸なんて人もいる。見た目も性別も様々な人たちだが、その人たちには共通しているところがある。


 それは、みな職人か、商人であることだ。


 ここは、職人と商人が人口の大多数を占める、芸術と商業の町、『シャルアート』。総人口約1万人弱の町だ。


 国が関知している世界人口が約2億400万人といわれており、未だ開拓が進んでいない未開の地にいると思われる人口がおよそ7000万人、計2億7400万人がこの世界の今の総人口と言われているので、ここ『シャルアート』は都市とゆうには小さく町にしては大きいくらいの規模である。


 この町に住んでいる人の7割は商人か職人と職人見習い。残り3割はその妻や赤ん坊、それ以外の仕事(ここの場合は農家や漁師など)をしている人だ。


 この町では、『一生現役!』とゆう人が多いので、老人たちも7割のほうに入っている。


 しかし、この7割と3割とゆう数字も正確ではない。なぜなら、ここの人口約1万人弱と、7:3という割合は、1日単位で変わり続けているからだ。


 『シャルアート』では様々な店が存在し、総数はおよそ4000強と言われている。当然すべての店が成功していけるわけもない。

 

 自然と、シャルアートでは、弱肉強食とゆうシステムが構築されていた。


 今、『シャルアート』では月平均で、出て行く人が約1000人。それに反して、入ってくる人は、2倍に近い、約2000人弱いる。


そんな事情があり、この町では、『1年営業できたら1人前』とゆう暗黙の了解がある。


 この街で10年前から残っているところは、たった3つしかない。


 この町の生存競争で生き残るためには、大きな店などの傘下にはいることか、もしくは、ほかの店、ほかの職人にはない、ユニークな商品や技術、作品が必要不可欠だ。それを証明するように、この町には同じ職業を持つ人はほとんどにいない。


 そして、この町でもう5年働いているティナもまた、この町にたった一つ、いや、世界でたった1つかもしれない職業を持っていた。


 「とりあえず、昨日で炎魔法の在庫がほとんどつきちゃったからあたらしく調達しないと」


 彼女は、魔法を売る『魔法売り』をやっていた。




  

  

 

 

 

 

 

読んでくれてありがとうございました!

どうでしょうか?サブタイトルのとおり、ここではすこし、舞台となる町の設定を書かせていただきました。世界人口や町の人口は「この程度だろ」とゆう作者である私の独断と偏見、そして勘とゆうとても曖昧なもので考えたものです。

歴史が好きな人が読んだら激怒されますね…(^_^;)


次回には、やっと主人公の職業を掘り下げていきます!(^^)/

次回もお楽しみに!絶対読んでくださいね!

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