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 同行者

 ナターシャとティナが話しをしている頃。


 ウォーカーは1人、街を歩いていた。


 周りにはよく肌が焼けた逞しい男たちばかりだ。もう少し早く来ていれば朝市で魚を買いにきた客もいただろう。


 ここはシャルアートの東側、新鮮な魚介類と、海の向こうからきた商人たちが集う場所だ。


 そのうちの、漁師が集まる方にウォーカーはいた。


 「オススメの魚を4匹ほどいただけますか?」


 そう言って、財布を出し、一瞬だけ固まるウォーカー。しかし、すぐに動き出しお金を払う。


 「毎度あり! 兄ちゃんまたよってってくれよ!」


 「ぜひまた買わせていただきます。あと、 黒い髪をポニーテールにした、浅黒い肌をした女の子をみませんでしたか? 」


 「女の子? 連れなのかい?」


 「えぇ、まぁ……」


 「いや、みてねぇな。こんな所に女の子が来たら目立つだろうが」


 「そうですか。ありがとうございます」

 

 ウォーカーは買い物をしていた。


 威勢のいい魚屋のオヤジから買ったのは、威勢のいい新鮮な魚だ。


 昼時には戻った方がいいと思うが、まだ少し気まずさが残っているウォーカーは、なにか手みやげを買ってから家に戻ることにしたのだ。

  

 幸いなことに、ナターシャの家は南側でも東側に近い所に位置していたので、迷うことなく東側にこれた。


 ──さて、手みやげは買った。これでなんとかティナさんに謝って許してもらえるだろうか。


 別にウォーカーが一方的に悪いわけではなく、寝てしまったティナにも責任はあるのだが、ウォーカーはそんなことは気にしていなかった。


      ・・・・・・・・・・・・・・・・

 ──さて、あの人は一体どこに行ったのだろう?


 そう思いながら、ウォーカーは、人捜しを始めた。


 もちろんウォーカーは初めてこの街にきたので、当然、街にティナやナターシャ以外の知り合いはいない。


 ウォーカーが探しているのは、旅の同行者だ。いや、ウォーカーにとっては、同行者と言うよりも『勝手についてきた』といった方が正しいのかもしれない。


 探しているのはリアという少女だった。


 彼女は、ウォーカーがこの街に来る前に立ち寄ったら村で、毒虫に噛まれ寝込んでいるところをウォーカーに助けられ、そのお礼に、その少女の両親の馬車に乗せてもらい、この街にウォーカーはきた。


 そこで、リアとの縁も切れるはずだったのだが、リアは馬車に隠れて、自分を追ってきている。


 しかし、この街に入ってすぐに、街にいた柄の悪い連中に絡まれてしまい、馬車ごとはぐれてしまったのだ。


 ウォーカーは、彼女が馬車に隠れていたことは気づいていたが、適当にはぐらかして連れて行くつもりはなかった。


 彼女はこの街に来たこともあるし、知り合いもいるだろうから余り心配もしていなかった。


 むしろ、このまま付いてくるのを諦めて村に帰ってくれないかな~と、ウォーカーにしてはめずらしく人を突き放すようなことを考えていた。


 旅には危険が伴うものだし、できればウォーカーはこのままずっと独り旅をしていくつもりだったのだ。


 だが、先ほど財布を出したときに、リアの父親から伝言が入っているのを見つけた。


 『娘は任せた!』と。


 それをみてウォーカーは色々思うところもあったのだが、任せられた物は仕方ないと割り切り、こうして旅の同行者になる予定の人を捜し始めたのだった。

 



 《1時間後》




 ──さすがに買いすぎたかもしれませんね


店によっては、買い物をして、情報を求めるといった事を繰り返していた結果。


 ウォーカーの両手は荷物でいっぱいになっていた。


 しかし、ウォーカーは全く重そうにしていない。


 周りの人は見な、クスクスと笑いながら歩いていく。おおかた、浮かれすぎた観光客とでも思われているのだろう。


 ──これはいったん戻った方がいいですね。目立つのは避けたいですし


 もし口に出していたら、周りの人全員に「その服装と顔で十二分に目立っている!」 とつっこまれそうな事を考えるウォーカー。


 そして、ナターシャの家に戻ろうと振り向いた瞬間、


 「あっ……」


 固まった。


 ウォーカーではない。


 「なにしてるんですか?」


 ウォーカーは尋ねる。振り向いた先にいた、両手を上げたまま固まっている、 『黒い髪をポニーテールにした、浅黒い肌をした女の子』に。


 「えっと~……、お久しぶりー! の挨拶?」


 ぎこちない笑顔で行き場のなくなった両手をブラブラさせながらリアは言った。


 「嘘言わないでください。おおかたいきなり目を隠して『だ~れだ?』ってするつもりだったんでしょう?」


 「さすがウォーカー! 鋭い洞察力!」


 ふざけたように大げさに誉めるリア。


 「それで、今までどこに?」


 さらっと賞賛の言葉は流しつつ質問するウォーカー。


 「もちろん、ウォーカーを捜していたにきまってるじゃん! …ただつい久しぶりにこの町の知り合いにあって話したりはしたけどね〜」


 「なるほど。知り合いのところに泊まってのんびりしていたわけですね」


 「そのとおり!」


 リアはめげない。


 ウォーカーはため息をつく。


 「リアさん、あの人たちはどうしたんですか?」


 とりあえず気になっていたことを聞く。


 「リアで、いいって言ってるのにー!」


 「ハイハイ。で、どうしたんですか?」


 「………」


 「………分かりましたよ、リア。これでいいんですか?」


 呆れたように言うウォーカー。


 ──まったく、この子と話しているとペースが狂います


 そんなウォーカーの心情を知ってか知らずか、リアはVサインを出してきた。


 「ぶっ飛ばしといた!」


 「もっと他に言い方がないのですか?」


 「駆逐しといた?」


 「もっとだめです!」


 この子と2人で旅していけるだろうか、とウォーカーは心配になった。

 

 

 

 












読んでくださってありがとうございます!

この話ではウォーカーの同行者を登場させました!

みなさんは、ティナとリアどちらがお好きでしょうか?

作者的には……どちらでしょうね…。迷います。


次回は特にキマっておりません!

本編を進めるか、ウォーカー、リア、ティナ3人でのコメディにするか……。まぁ、楽しみに待っていただければ幸いです!


ではまた次回会えることを祈って!

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