帰り道 2
「もともとこの国は、《五行連盟》が出来るまでは1つの自立国家でした。
しかし、《五行連盟》が成立し、世界中の国がそれに加盟する流れが出来たことで、シャルアートもそれに加わるために、どこか大きな国につく必要がでてきたんです」
「それは矛盾しています。なぜ、大国に入らなければならないのですか?
《五行連盟》は確かに主となる五大国で運営されていますが、《五行連盟》には、それら以外の様々な国も加盟しているはずです」
そう。《五行連盟》には、《メルクリウス》を含む五大国以外にも加盟している国はたくさんある。
しかし、
「でも、自立国家のまま加盟するにしてもこの街、《シャルアート》は小さすぎました。
もともと、商業によって他国との繋がりで成り立っていた国だったので、国を守る軍も存在しなかったんです。小さい国のままで加盟しても、国際会議の場で発言力は小さくなるだけですから、どうしてもどこか大きな国の傘下に入る必要があったんです」
国際会議での発言力が弱いとゆうことは、会議の議決に服従するしかないということだ。
それだと、他国から色々なやっかいごとを押しつけられたりするかもしれない。
「なるほど。事情はわかりました」
ウォーカーは、そう言ったあと、前を見て歩きながら言った。
「なら、ティナさんはどうしてそんなにいやそうですか?」
ウォーカーは、なにげなく、しかし的確にティナの心を見透かしてくる。
「なんでもお見通しですね、ウォーカーさんは」
ティナは笑っていたが、声はとても乾いていた。
「嘘を見抜くのは昔から得意なんです」
ウォーカーはあまりうれしくなさそうに答える。
「やっかいな特技を持っているんですね」
皮肉っぽく言うティナ。
重苦しい空気ははれなかった。
ウォーカーは気づいていた。
近づいていた2人の距離が離れたことを。その証拠に、ティナは無意識のうちなのか、また敬語に戻っていた。
「《五行連盟》が成立したのはわずか五年前。そして、《シャルアート》が変わってしまったのは《メルクリウス》の傘下に入ったのは三年前からです……」
そこで、ティナは言葉を切った。
「どうかされましたか?」
ウォーカーは心配になった。
自分がいやなことを思い出させたのではと思ったのだ。
「まだ、聞きたいですか?」
ティナは逆に質問してきた。
ウォーカーは真剣に答える。
「はい、これでも僕は旅人なので。立ち寄った国や街のこと出来る限りよく知っていきたいと思っています」
ウォーカーの正直な気持ちだった。
立ち寄った国のことは深く知っておく。それが、ウォーカーの旅をする上での信条だった。
「わかりました。ならそれはとりあえずナターシャさんの家でご飯を食べたあとにしましょう。長い話になるので」
そういって、ティナは一軒の家の前にたった。
いつの間にか、ウォーカーを泊めてくれているナターシャの家についていたようだ。
次回に続く
読んだくださってありがとうございます!
今回の話は少し短めになっております。
と言うのも、次回は少しこの世界とこの街、そしてティナについて掘り下げていく話にする予定なので、中途半端に切りたくないので今回はここで短くさせてもらいました。
また、更新が遅く申し訳なく思っております。
これからも不定期な更新が続くと思いますが気長にお待ちしていただけると幸いです。
では、また次回あえることを祈っています!