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身代わりになれば幸せに
「……君のうちなんてすぐに潰せるんだよ」
陽一様はニッコリ不気味な笑みを浮かべていた。確かに私たちより豪邸だし偉い人なんだ。
………この人、、、…………
高村陽一。
お父様は、超のつくお金持ちの学校の校長と理事長も務める。陽一様はその息子。
…逆らえなかった。
逆らったら私たちはおしまいだから……。
仕方なくわたしは結婚を決めた。私のお父様は悔しくて泣いていた。
すぐに結婚式を挙げた。4月1日、エイプリルフールの日。
お姉様はこの結婚の意味を何も知らない。
私を恨んでいるみたいだった。お姉様は結婚式に来てはくれなかった。
……当たり前か。
今は嫌いな人。
以前は好きだった人。
このまま愛さなきゃいけないんだ。
無理矢理愛すというのは難しい。
このまま愛せるのであろうか。
子どもも作れるのであろうか。
わからない。
わからないよ。
ぜんぜんわからない。
抜け出したい。
だけど抜け出せない。
助けて……
式中なのに何も聞いていない自分。ボーッとしている自分がいた。
お姉様、結婚しなくて良かったです……