そして私たちは
試験当日。
まだ熱は39度ある。
絶対に無理、諦めるしかない…よね……
行けたとしても皆に移してしまうし問題解ける気がしない。お姉様は昨日の出来事から私の部屋に来ていない。
少しだけ寂しい…
私は声を殺して泣いた。怖かった。
お姉様たちが別れるんじゃないかっていう恐怖。お姉様に一生嫌われたままなんじゃないかっていう恐怖。
2つの恐怖が涙になった。
39度もある身体を起こして、お姉様に会いに行こうと思った。
だけど、、、移っちゃうからダメだ。
私は再びベッドに横になった。
あ……
もう試験始まってる……
時計を見ると、試験開始の10時が過ぎていた。
悔しい、悔しい、悔しい、悔しいっ…!
折角あんなにたくさん勉強してきたのに!
絶対に今度見返してみせる。
泣いていると
トントンと、ドアを叩く音がした。
「はい……」
入ってきたのは先生だった。
あれから、どうしたんだろう…。
「せ、先生っお姉様とはどうなったんですか!」
「…………別れてきた。」
「な、なんで⁉」
「………。あんたも鈍いなぁ…あんたの事が好きだからだよ」
と言って私を抱きしめてきた。
う、うそ。
こんなの、うそだよ。うそ。
「先生、これドッキリでしょ?私を驚かせようとしてるんでしょ」
「………嘘じゃない。俺の目を見ろ」
確かに、いつもの先生の顔じゃない。
…先生、本気なの?
「最初は凛の方が好きで付き合って家庭教師も受け付けた。だけど先生をしているうちに律、お前のことが好きになっていったんだ……」
私は耳をも疑った。
ほっぺを引っ張ってみる。
…痛い。
夢じゃないんだ。
だけど凄い罪悪感がある。
お姉様の彼氏だった人だもん。かっこいいのは知ってるけど、もし付き合うようになるなら…お姉様のように相応しい女性にならなくてはいけないんだ。
「……。陽一様、私と付き合ってください。ずっと前から好きでした」
「あーあ。俺から言おうと思ったのに……」
陽一様は私を強く抱きしめてくれた。
風邪なんかすぐに治りそうな勢いだった。
「……大好きです、陽一様…」
「俺もだ、律………」