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ワケあり脱獄者と6人の守護者(旧.主と七つの宝珠)  作者: 旧成 アノマ
炎耀国編

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第十六話『システム』

本日の更新です

「今日もいつも通り俺が席を取っておくな!」


 翼抄はそういうと、フードに並ぶ列を抜けて、席を探しに行く。料理をとっても席が埋まっていたらご飯が食べられないから、いつも先に席を取りに行ってくれるようだ。


「私たちは料理をとって翼抄の所に向かおう。翼抄の料理は私が一緒に持っていくから気にしないでね。」


 だんだんと黒羽たちの番が近づいてくる。危なげなくお盆を二つ持つ旺律の姿から、普段から料理を二つ持っていくのは彼の仕事であることがわかる。


「なんでこいつがいるのに今日もわざわざ律様が二つもお盆持たなきゃいけないんですか…こいつにやらせれば…」

「こら猫峯。」


 猫峯と旺律は、「同室」というだけの間柄ではなさそうに見える。前々から深い関係を築いているような、お互いに気安い雰囲気を感じるな、と黒羽は思った。かといって別に詮索する気もなかったけれど。


 今日の夜のメニューは、ほうれん草のお浸しときつねうどんのようだ。三角の揚げがとてもおいしそう。



 三人はお盆をもって翼抄のとった席を探す。あたりを見渡すと、黒羽の視界の端に、手をぶんぶん振った翼抄の姿が映った。


「あそこみたいですね。」

「本当だ。行こうか。」


 お盆をもって席に着く。チラチラ視線を感じるのは、食堂でも変わらないことだった。


「ご飯を食べたらそこから寝るまでは、緊急指令が出ない限り自由時間だ。」

「ただ、睡眠中に緊急指令が出ることもあるんだよね。」

「僕あれ嫌いです、律様。」

「うん、私もだよ。気持ちよく寝ているところをたたき起こされるのは誰でも気分がいいものではないさ。」

「そうだな!俺も嫌だぞ!」

「ただ私たちが戦いに呼ばれないことはめったにないから、大抵は寝たままではいられないけれどね。」

「お前も災難だったね。こんな形じゃなくて、普通に試験を受けての所属だったら、緊急指令で駆り出されることはほとんどなかっただろうにね。」

「いや、それは無理じゃないか?白翔は強いからな!仮に試験を受けて入っても上の部隊の所属にされていたと思うぞ!」

「第一部隊の彼みたいにね。」

「えぇ~…僕アイツ嫌いですぅ。何考えてるかわかんないし。」

「猫峯はたいていの人を嫌いっていうじゃないか。」

「僕は律様といられれば十分なので!…ただまぁ、アイツのおかげで、たまに僕たちが休めることもあるので、そこは感謝してますが。」

「アイツ…?」

「第一部隊の副隊長だね。今日の緊急指令で翼抄と一緒に戦ってたおかっぱの。」

「あぁ、あの強かった…」

「そう。彼は他の隊員と同じく試験を受けて入隊しているけど、試験での実力があまりにも高すぎて、すぐに第一部隊に配属された人なんだ。」

「なるほど…そうだったんですね。――……ちょっと待ってください。」

「ん?」

「それなら、彼と肩を並べて戦ってた翼抄さんって何者なんですか?」

「あぁ、そうだね、せっかくこの話になったから、視線の理由も含めて今話してしまったほうがいいかもしれないね。」

「??」

「私たち5012号室は、第二部隊のトップなんだ。」

「トップ?」

「そう。紅色隊は、320人と、その他研修生で構成される朱雀塔の均衡師部隊だ。それは知っているね?」

「はい。」

「各部隊32人構成で、全部で第十部隊まで存在する。そして、この数字がより若い方が、実績を積んだ強い均衡師が所属しているとされている。ただ、第一部隊と第二部隊は少し特殊なんだ。」

「特殊?」

「そう。第一部隊と第二部隊は実力がそこまで変わらない部隊なんだ。実戦部隊が一つだと、複数個所で何かあった時に対応できないから、第一部隊と第二部隊の強さはあまり変わらないように設計されている。」

「なるほど。」

「そして、基本的に度の部隊にも部隊長と部隊副隊長がいるんだけど、第一部隊と第二部隊はそこも少し例外的でね。第一部隊の部隊長は紅色隊隊長、第二部隊の部隊長は紅色隊副隊長を兼任しているでしょう?」

「そうですね、第二部隊隊長は灸雪さんだとご本人からうかがいました。」

「そう。ただ、お二人とも紅色隊そのものを率いている方々だから、多くの仕事があるんだ。毎度自分の部隊と共に戦いに参加することはできない。だから、第一部隊と第二部隊は、部隊長、副部隊長のほかに、部隊長補佐というのがいる。部隊長と副部隊長のちょうど中間の役職だ。そして、部隊長が不在の際は部隊長補佐が部隊長の役割目のする、ということになっている。第一部隊のおかっぱの彼、帥啓(すいけい)と翼抄は、それぞれ第一部隊、第二部隊の部隊長補佐、実質の部隊長なんだよ。そして、部隊長のいるルームメンバーは、その部隊で特に優れた能力を持つとされる三人が選出される。それが私たちなんだ。」

「実は第二部隊は、白翔が来るまで、旺律と猫峯以外の面々の能力はドングリの背比べだったのだ!だから、一人分空きがあった。そんな時にちょうど、研修生を救った男がいるという話になって、お前がスカウトされることになった、という流れだ。最終的に第二部隊配属になるかはわからなかったが、緊急指令での戦闘の後なんの連絡もないところを見ると、能力に問題がなかったのだろうな。」

「実質、私たちと帥啓のルームメイトが、隊長副隊長を除いた紅色隊のトップということになるから、自然と多くの隊員から敬われることが多いんだよ。視線の理由はそれかな。」


 黒羽は、自分がまさか最初からそんな上の所に配属されたと知って、内心かなり動揺した。


(華原さん…俺、しょっぱなからなんか紅色隊のトップ層に置かれたらしいですよ…!)


 心の中でそうつぶやきながら、冷めきったうどんの汁をすすった。


読んでいただきありがとうございます!

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