第九話『最後の日』
本日二話目の投稿です!
「ただいま帰りました~。」
「おかえり。」
烈焔寮に帰宅すると、入り口で華原が待っていて、挨拶を返してくれた。
「その手の荷物は?」
「あぁ、ちょっと買い物をしてきたんです。皆さんは?」
「みんな今日はもう戻ってきてるよ。君がここを去る前の最後の夜だからね、食堂でいろいろ準備してくれている。」
「そうだったんですか?!」
黒羽は知らなかったが、黒羽が紅色隊にスカウトをされたとき、華原はその話を烈焔寮のみんなにしていた。彼女が紅色隊に入隊することを勧めたいと思っていることも。その時から、いろいろと準備していたのだ。
「荷物を置いて食堂に行こう。みんな待ってる。」
「はい。」
黒羽はプレゼントといつもの巾着以外をすべて部屋においてから食堂に向かった。
食堂に入ると、パンパンパン!!とクラッカーが鳴る。
「白翔(シロちゃん、白翔くん)、紅色隊入団おめでとう!」
「みなさん…」
黒羽は全く予想もしていなかった迎えに困惑していた。
「実は僕たち、白翔くんにプレゼントを買ってあるんだ。」
「おうよ!かわいいかわいい弟子が独り立ちするったんだから祝わねぇとな!」
司漣と軍嶺の言葉にほかの面々がうなづいている。
「ではまずは私からね。私からは君にこの本を渡しておくわ。私が知っている中で、全能印について最も詳しく書かれている物よ。何かわからないことがあればその四を頼りなさい。」
「次は私から!私は…これ!瞬発力を上げる効果が付与された指輪!早く動けるとそれだけ得だからね!」
「俺からはこのスカーフをやろう。昔俺が使っていたものだ。すごく大事なものだから、俺だと思って持っていけ。」
「次は俺だ!俺からはこのナイフ!お前身を守れる武器を一個も持ってねぇからな!護身用に一つ持っているといい。」
「僕からはハンカチを。君の戦い方は何かと汚れることが多そうだからね。大きくないから肌身離さず持ち歩きなさい。」
怒涛の勢いでプレゼントが渡されていく。そして、最後は…
「これは私から、チェーンカフスだ。耳につけて二回触ると、自分の衡力値が即座に確認できる優れものだ。どうしても衡力をかなり使わなければならないときはそれを使って逐一確認しなさい。」
黒羽は彼らの温かい言葉とプレゼントに思わず泣いてしまった。ここで授業をしてきた時間は、人選の中で見ればそんなに長くはない。それでも、確実に黒羽の人生を大きく変えることとなった、とても大きな時間だ。
「ありがとう…ございます…っ!すべて…大切に…使わせていただきますっ…!」
「じゃご飯にしよう!」
テーブルの上にはこれでもかというほどに豪華な料理が並んでいる。食べることが大好きな黒羽のために、みんなで丹精込めて作った料理だ。
久々に全員で食卓を囲んで料理を食べる。きっと今日のことは一生忘れないだろう、黒羽はそう思いながら味噌汁をすすった。
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