第六話『準備』
本日の更新です!
翌日早朝。烈焔寮の扉がノックされる。その日、華原と黒羽は、紅劉が再び早朝に足を運ぶことを見越して、かなり朝早い時間帯に準備をしていた。
扉を開けると、案の定そこにいたのは紅劉で、二人は彼を食堂に通す。
「それで、話はまとまりましたか。」
紅劉の質問に、黒羽が速やかに答える。
「紅色隊への入隊の件ですが、お受けさせていただこうと思います。」
紅劉は、黒羽の答えを聞いた後、ちらりと華原を見て、すぐに黒羽に視線を戻した。
「ありがとうございます。色々と準備がおありかと思いますので、明日の夕方に、こちらにお迎えに参ります。今日はこれで失礼します。」
紅劉はそのまま烈焔寮に長居することなく、足早にその場を去っていった。
「準備って、何をすればいいんでしょう。」
「紅色隊なら、正直着替えと普段着を数枚持っていけば事足りるよ。大体は全部準備してもらえるはずだからね。」
「そうなんですね…——え、華原さんなんで紅色隊で準備されるもの知ってるんですか。」
「あぁ、私はもともと紅色隊に所属していたからね。」
「あぁなるほど……え!?そうなんですか!?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「聞いてないです!!ってことは、協会に行ったときに紅劉さんと話してたのって…」
「あぁ、昔馴染みだったからだよ。まさか紅色隊の隊長があんなところにいるとは思っていなかったけどね。というか、覚えていたんだね、その時のこと。」
「はい。人目を惹く方でしたから。」
そんな話をした後、黒羽は無所属の均衡師として最後の仕事をしに行った。いつものように、協会からの指名依頼だ。依頼をこなして、依頼主にサインをもらった後、協会に届け出ると共に、これで依頼が最後である旨を伝える。
「…なるほど、そうなんですね。白翔さんは仕事がとても速く、依頼主からも評判が良かったのでとても惜しいです…。」
この話をしたとき、黒羽は紅色隊に所属することは伏せた。ただ、無所属として活動することは今後ないのだと伝えただけだ。
「また俺が無所属になった時には依頼を受けさせていただきますね。」
「ありがとうございます。本日の報酬もこちらでお預かりする形でよろしかったですか?」
「問題ありません。ありがとうございます。」
依頼の報酬は、使い道が無かったり、受け取り切れなかったりする場合、協会側で預かってもらうことが多い。黒羽も例外なく、普段お金を使うことがないので、協会で預かってもらっている。均衡師認定証を持っていれば、お金を所持していなくてもそれを提示して買い物をすると請求が協会へいき、預かってもらっているお金から差し引いてくれるため、均衡師はそのシステムをつかっている人がほとんどだ。組織でも、給料は協会に預けられている。いわゆる、均衡師専用の銀行のようなシステムだ。
ちなみに、黒羽は華原に言われて、多少の現金は持ち歩くようにはしているが。
帰り道、もう烈焔寮を離れてしまうので、師匠たちにお礼を兼ねて、黒羽は何か買っていこうと考える。
「何がいいかな…。」
今まで誰かにお土産など買って帰ったこともない黒羽。何を買えばいいのかいまいち思い浮かばない。
「くっそ、さっき協会の受付で聞いてくればよかったな。ほかに聞ける相手…——あ!そうだ!」
黒羽は何か思い立ったように、飲食街の方へ足を進める。
――――――――――――――――
「すいません、今いいですか。」
そのまま彼が向かった先は、検問所だった。検問所の施設の入り口をノックして尋ねる。するとすぐに中から顔見知りの男性が出てきてくれる。名前は知らない。
「白翔くんじゃないか、どうしたんだい。」
「いま少しいいですか?」
「ちょっと確認してくるから待っててね。」
彼はそういうと一度扉を閉めて確認に行く。それから数分経って、黒羽は「どうぞ。」と中へ招き入れられた。
読んでいただきありがとうございます!
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
高評価やブックマークをしていただけると励みになります!




