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ワケあり脱獄者と6人の守護者(旧.主と七つの宝珠)  作者: 旧成 アノマ
炎耀国編

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第三話『朱雀塔』

本日の更新です!

「無所属、ですか?」


 紅色隊の彼は驚いたように反芻する。


「…あ!もしかして所属している組織にそう言えって言われてるとか?!」

「いえ、本当に無所属なんです。烈焔寮に身体を置かせていただいていて。」

「そんなにお強いのに無所属…あ!そうです!もう少ししたらうちの上司がここに来ると思いますので、そしたらあなたのことを推薦して…」

「いえ、この後少し用があるので。」


 黒羽は、そういって、その場を後にする。特に組織に加入したいという思いも無いし、華原たちと過ごす日常をとても気に入っている彼は、組織に推薦されるのは煩わしい以外の何物でもなかった。





―――――――――――

(隊員視点)

 私には足早に去っていく彼を追うことはできなかった。用がある恩人を引き留められるほど恩知らずではない。でも、推薦はしておこう。無所属なら、組織に所属したほうが絶対に稼げるし、待遇もいいに決まっている。


 少しすると、焦ったように、上司—紅色隊の副隊長—が走ってきた。今回の新人研修を仕切っているのは副隊長だ。今回も、引率の役割だったが、急な予定が入って少し席を外していたのだ。


「お前ら!大丈夫だったか!」

「それが…」


 私は、副隊長にさっき起こったことをすべて話した。


「そんなことが…。ひとまず状況把握だ。今隊員はどうなっている。」

「はい。死者12人、重傷者5人、軽傷者6人です。」

「そうか…。とにかく、重傷者の手当てが先だが…」

「それは隊員たちで何とか。」

「そうか。よくやったな。――…で、例の青年について詳しく聞かせろ。」

「はい。名前は聞き忘れてしまったんですが、無所属の均衡師だと伺いました。『レツエンリョウ』…?だかに住んでるって…」

「ほう。――一度塔に戻ってから隊長と相談だ。そのうえでスカウトするか決める。」

「わかりました。」


 私は、紅色隊に新しい仲間が増える予感がして、とても楽しみになった。


―――――――――――――


「ただいま帰りました。」


 黒羽が烈焔寮に戻ると、壮隆が出迎えてくれた。


「お帰り、早かったじゃないか。」

「ええ。実は…」


 黒羽は壮隆に今日あったことを話した。壮隆は怪訝そうな顔をする。


「確かに、あそこには普段そんなに強力な災獣が出ることはないな…。もしかしたら、その紅色隊の新人の誰かが、油断したところを食われて力をつけられたんじゃないか?」

「あぁ、なるほど。その考えには至りませんでした。」

「それにしても上司不在とは。新人研修という形で実践の経験をさせるということは、基礎的な衡具の使い方は教えているんだろうが、監督はしていなければならんだろう。実際白翔も一年間は我々の誰かがついていたというのに。」


 白翔が村を出てからも、半年間は必ず師匠の誰かと同行するように義務付けられていた。特に、衡具をうまく扱えるようになってからが一番危ないということで、一人で戦えるようになってからも、師匠の誰かはそれを監督してくれていたのだ。実際、それで何とかなったこともあった。


「今回は白翔がいち早く駆け付けていたからよかったものの、そうでなければどうなっていたことか。」

「えぇ。今回は駆け付けて正解でした。ただ、衡力を使いすぎてしまったので、午後の依頼の予定は明日に回すことにします。」

「うむ。自身の衡力量をしっかりと把握することは一人前の均衡師としてとても重要なことだからな。」

「はい。」


 そんなこんなで、黒羽は今日は速めに部屋に戻ることにした。



――――――――――

(朱雀塔にて)

「…ってことがあってさ。」

「なるほど。」

「で、俺はそいつを紅色隊にスカウトしようと思ってんだけど。」

「好きにしたらいいんじゃないか。」


 紅色隊副隊長—灸雪(きゅうせつ)―は、朱雀塔に戻ってさっそく紅色隊隊長—紅劉(こうりゅう)—に今日の出来事とスカウトした旨を伝える。紅劉は、少しも興味がないようで、勝手にしたらいいという態度だ。


「おい、聞いてんのか?どうやら無所属だったらしくてよ。」

「無所属…?」


 無所属という言葉に少し反応する紅劉。


「おう。なんか、『レツエンリョウ』…ってとこに住んでいるらしくてな。」


 紅劉はそれを聞いて少し黙り込むと、


「私が明日伺おう。」


 と、一言そう告げてその場を後にした。


「ちょおい!!!——…なんだよもう。」


 灸雪は隊長のその身勝手な振る舞いにため息をついた。


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