第二話『触手型災獣』
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「実は…」
紅色隊の隊員の男は、事細かに状況を説明してくれた。自分たちは最近衡具が使えるようになった新隊員であること。この森は、新人が衡具の扱いを覚えるのにちょうどいい森であること。新人研修の一環で、ここには新人しかいないこと。
「だから、一応応戦していますが、我々はもう全滅を待つしか…。」
あたりにはすでに倒れたまま動かない隊員もいる。おそらくすでにこと切れてしまっているのだろう。説明する隊員の表情は暗く、絶望しきっている。
「ひとつ聞いてもいいですか?」
「…なんでしょう?」
「現在皆さんは新人研修中ということですが、アレを俺が倒したことで、俺が責められることはありませんか?」
「?!…はい。アレは明らかに新人研修項目外のはずです。」
「わかりました。」
会話を終えると、黒羽は一度巾着を握りしめて、自身の母に祈る。
(母さん、俺に力を。)
覚悟を決めて衡具を出現させる。この大きさの災獣を対処するのは初めてだ。大きい触手型。前に軍嶺たちが倒した奴より一回り小さいが、力はあれよりも強大だ。
黒羽は姿勢を低くし、災獣に近づく。災獣はまだ黒羽の存在に気づいてはいない。今のうちに、と即座に背後に回って拳を当てる。
――カッキィィィィィン…——
「かっっっっったぁぁぁぁぁ!!!!」
災獣は想像以上に固く、少しも歯が立たない。こういう時、どこが弱点か把握しなければいけない。
「触手型なら触手の付け根か…。」
最近対処してきた災獣は弱点を気にせずとも倒せたが、目の前のヤツはどうやら難しそうだ。災獣は、背中への攻撃が結構痛かったようで、奇声を上げて標的を黒羽に移す。
「今のうちに、逃げられる人は逃げてください!どこまで被害が出るかわかりません!!!」
黒羽は今のうちだと紅色隊に声をかける。触手の威力はかなり強力で、既にかなりの木が倒されている。黒羽は、紅色隊が大方逃げられるまでその場で時間を稼ぐ、触手は周りに影響が出ないようにすべて衡具で切り裂く。そして、彼らの気配が遠くなってから、黒羽は災獣に近づき始める。
触手も固く、かなりの衡力量が吸われていくが仕方がない。早く決着をつけないともたないと思ったので、早々に距離を詰め、触手の根元を拳で粉砕する。
「一発じゃ足りないか!!」
黒羽はほかの触手に乗り移ってその触手の根元を粉砕する。
それを四階繰り返したところで、ようやく災獣を討伐することができた。
(くそ、結構衡力量とられたな。午後の討伐は延期かな。)
黒羽が戦いを終えて一息つくと、
「あの!!」
と声を掛けられる。見ると、さっき状況を確認した紅色隊の人だった。
「本当にありがとうございました!おかげで全滅しないで済みました!」
彼の後ろの方には、他に生き残った紅色隊の面々が黒羽に頭を下げている。
「あの、つかぬ事を伺いますが、どこの組織に所属している方ですか?」
「俺はどこの組織にも所属していません。無所属ですよ。」
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