第三十七話『いよいよ討伐へ』
本日二話目の投稿です!
翌日。黒羽はウキウキした気持ちで目が覚める。今日はいよいよ災獣討伐の日。今まで約一年半も修行を続けてきて、ようやく自分が戦うことができる番になれたことが心底うれしかった。
「おはよう。早いじゃないか。よく眠れた?」
食堂では、今日当番の華原がご飯の準備をしている。楽しみでいつもより早く起きてしまった黒羽。食堂には当然ながらまだ華原以外誰もいない。
「せっかく白翔が速く起きてきたし、今日は早めにここを出ようか。今日は私が一緒に行くけど、もちろん私は侵術印での戦い方しか教えてあげられない。だから、おそらく壮隆や葉港と一緒に災獣退治に行くこともあると思う。というか、同じ侵術印であっても戦い方はそれぞれあるから、私たち六人が代わる代わる一緒に討伐に行くと思う。色々な戦い方を見て、視野を広げるんだよ。」
「はい。」
ほかの面々より少し早めに朝食をとった二人は、さっそくそのまま烈焔寮を後にした。今日はまだ朝も早いので静かに出発する。普段は活気づいている町もまだ活動前でシーンと静まり返っている。
「依頼先は、君が烈焔寮に来るときに通った小さい炎耀国の村だ。あそこは大きい森の付近だから、しょっちゅう依頼を出していてね。あそこの森はあまり強い災獣が出ないから、練習にはもってこいの場所なんだ。」
「あぁ、確かに俺がまだ修行を始める前でも、攻撃を避けることはできましたものね。」
「あぁ。あそこにでる災獣は大体それぐらいの強さだから、初心者の練習にもってこいの場所なんだ。それに、災獣は倒しすぎたらいけないなんて決まりはないから、依頼されたもの以外にも見つけたら討伐しても問題ないんだ。依頼料は別に上がらないけどね。」
「そうなんですね。」
「あぁ。――あ、そうそう、軍嶺たちから遠征の話を聞いたんだけど、馬つかわないで目的地まで行ったんだって?」
「あ、はい、馬より走る方が速いから、と。」
「聞いていた通りだったようだね。彼らに話を聞く限り、彼らについてこれるほど速くはなかったものん、馬よりは速く移動できたそうじゃないか。」
「そうだったんですかね。馬に乗り慣れていないので俺自身では何とも…」
「あの二人がそういうならばそうなんだよ。前は絶対に馬の方が速かったから馬で行ったけれど、今回は走って向かうで問題ないね?」
「はい。問題ないです。」
「ではそうしよう。」
町はかなり静まり返っていたが、検問は当然のことながらいつも通り活動している。
「あれぇ白翔くんじゃん!この間軍嶺さんたちと遠征に行ったと思ったら、今度は華原さんとお出かけかい?忙しいねぇ。」
黒羽は確かに遠征に行ったのは先日が初めてで、災獣討伐も今回が初めてだが、億樂から出る予定は何度かあり、いつの間にか検問の人たちと顔見知りになっていた。
「今日は災獣討伐に行くんです。」
「…ってことは!!お前さんついに!!」
「はい。協会で認定証をいただいてきました。」
「やったじゃねぇか!!!これでもう検問を通るとき金を払ってもらわないで済むな!」
「はい。」
そうなのだ。今まではあまり触れてこなかったが、億樂に入る際、検問所での身分証提示が原則義務付けられている。そして、身分証をずっと持てていなかった黒羽は、今まで最初のころのように、師匠の誰かにお金を払ってもらっていた。しかし、今日からは身分証の提示ができるため、お金を払う必要がないのである。師匠に払ってもらうたびに少し肩身の狭い思いをしていた黒羽は、入都の際にもうそういう思いをする必要がなくなると思うと、自然と心が浮足立ってしまう感覚に陥る。
「それじゃ、気を付けて行って来いよ!」
「検討を祈ってるぜ!」
検問所の人たちはいつも温かくて心地がいいなと、黒羽は改めて思う。
「いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
「たまにここを通るとき声をかけてくれるんです。あとは、毎回身分証がなく入都料を払ってもらっているっていうのがすごく印象に残るらしくて…。」
「まぁ確かに君ぐらいだもんな、一年半も身分証がないのは。」
「もういいんです!今日からは身分証あるんで!恥ずかしいんであんまり言わないでください!」
億樂を出た二人は、そのまま村まで駆ける。華原は自分よりも遅い黒羽に速さを合わせており、黒羽は遠征の時のように焦ることなく目的地に向かうことができた。
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