第三十三話『帰宅』
本日一話目の投稿です!
また、キャラクター紹介投稿しました!
「あぁ、そのことね。」
司漣はなんでもないように言う。
「白翔君は、袋が基本上半身にある物っていうのは知ってるよね?」
「はい。」
「こいつ、袋が両腕に一つずつある変わったタイプなんだよ。」
「ちょっと、僕のセリフとらないでよぉ。僕が説明しようと思ってたのにさ。」
「両腕に…一つずつ?」
「そう。衡力って、袋がある所から放出するでしょ?そうすると、武器を作るとすると、わざわざ衡力を外に放出しないといけないでしょ?もちろん、袋がちょうど体の真ん中にある人ならそれしかやりようないんだろうけど、僕の場合、それよりも爪の部分からのみ衡力を放出して圧縮したほうが効率良いかなと思って。」
黒羽は想像してみた。ただ、彼が教わった衡力の放出方法では、どこか決まった場所からのみの放出なんでできるはずもない。
「そんなこと…可能なんですか?」
「いや、できる方がおかしいんだ。あんまりこいつの言ってることはあてにすんな。」
「えぇひどいな。」
「そもそも、衡力の入った袋の細かいところまで認知して調整できるとか変態かよ。」
「もし白翔君が、袋の網目まで詳細に認知できるなら、できるようになるかもねぇ~。」
あっけらかんと司漣は言う。黒羽には残念なことに、そこまで詳細に袋を読み取る力はなかった。そもそも、それができたとしても、袋の位置が体の真ん中だから使い道はあまりないが。
「それと、」
「まだ聞きたいことがあんのか?」
「俺、今まであんなに強力な災獣見たことないんですけど、どれぐらい強いのまでいるんですか?」
「あぁ、確かに今回の災獣は、遠距離攻撃型の中ではトップクラスに速かったな。だが、今回の奴の場合、俺らが森の存続を意識しなきゃでけぇ攻撃一発でお陀仏よ。」
「できれば自然破壊はしたくないし、今回の戦い方になったんだけどね。あいつ触手は速いけど、胴体自体はあまり動かなかったでしょう?サイズも大きいから攻撃も当てやすかったしね。」
「もっと強い奴だと、例えば近距離攻撃型で浮遊するタイプ、しかもサイズちいさいのに攻撃全然通らないやつもいたりする。そのくせ小さいから見つけるのに苦労するんだ。」
「なるほど…」
黒羽はまだ災獣と対峙したことは数えるほどしかなく、烈焔寮に来てからは一切見ていなかったため、まだ災獣に対するイメージが乏しい。今回遠征に参加したことで、災獣のイメージが少し膨れた気がした。華原が黒羽を遠征に参加させようと思ったのは、より災獣を身近に感じてもらいたい、災獣がどういうモノか知ってもらいたいという考えもあったのかもしれない。
「じゃ、帰ろうか。」
現在時刻は15時。災獣を見つけて倒すまでそれなりに時間がかかったようだ。
烈焔寮についたのは17時を回ったころだった。
「じゃ、帰ろうか。」
現在時刻は15時。災獣を見つけて倒すまでそれなりに時間がかかったようだ。
烈焔寮についたのは17時を回ったころだった。
「「「ただいま~!」」」
三人そろって挨拶をすると、訓練場から陸と荘隆が「おかえり」と返してくれる。
「シロちゃん、どうだった?遠征。」
「なんか…いろいろすごかったです。」
「そっかそっか!」
「お前も衡具を使えるようになったらそのうち災獣退治をすることになるんだ。遠征は行くに越したことない。」
「はい。」
それから、二人に華原の居場所を聞く。黒羽の保護者は華原だ。遠征から帰ってきたらちゃんと報告をしないといけない。
「ハナちゃんなら葉っぱちゃんと図書室にいると思うよ!」
「調べたいことがあるって言っていたな。」
話を聞いて、黒羽はその場の四人と別れて華原のもとに。
図書館では、葉港と華原が様々な書籍を漁っていた。
「ただいま帰りました。」
そう声をかけると、二人は振り返って「おかえり」と声をかけてくれた。
「遠征はどうだった?」
黒羽は今日あったことを素直に話した。
「そうか。」
「お二人は今何について調べてるんですか?」
そう聞いても葉港は微動だにせず調べ物を続けていて、華原は黒羽の質問にため息をついた。
「さっき君の話にも出てきた災獣について、過去の文献を漁っているんだ。」
「災獣について?」
「そうだ。災獣というのは、本来対処してから三日は同じ場所に出現しないといわれている。しかし、ここ最近、対処した翌日には災獣が新たに発生していることが増えてきているんだ。今までは三日に一回ほどだった軍嶺と司漣の遠征が、今では毎日になっていることに気づいていたか?」
「まぁ、いない日が多いなとは思っていました。」
「軍嶺と司漣への指名依頼が増えるってことは、最近強力な災獣が多く出現しているということになる。無所属の均衡師はほかにもちらほらいるからね。それに、塔にも多くの強い均衡師がいるってのにそっちも手が回っていないみたいなんだ。もしかしたら、陸たちも派遣しないといけなくなるかもしれない。」
陸と荘隆は、基本的に烈焔寮にいて、黒羽の相手をしてくれていることが多い。今の黒羽がここまで体術で戦えるようになったのは、ひとえに彼らのおかげだ。
「そうなった場合、君の相手は、私と葉港で受け持とう、という話にもなっている。」
「そうなんですね…。」
「まぁ、今日はひとまず休め。明日からもまた訓練だからな。あ、毎日のノルマ分、今日終わってなかったらこの後やっておけよ。」
最後に一言釘を刺される。そういえば今日はまだノルマを何もしていなかったと気づいた彼は、訓練場へ足を運ぶ。先ほど訓練場の前で別れた四人はまだ立ち話をしていて、訓練に付き合ってくれた。
遠征終わりでいつもよりも疲れていたにもかかわらず、いつもよりも相手にする人数が多くて、黒羽はその日、いつもよりも何倍もぐっすり眠れた。
そして三か月後、ついにその日がやってくる。
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