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ワケあり脱獄者と7人の守護者(旧.主と七つの宝珠)  作者: 旧成 アノマ
第一章『学びと成長』

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二十三話『再検討』

本日一話目の投稿です!

今日も三話投稿予定です!

「派閥?」

「そうよ。均衡師というのは、災獣の対処をする職業だってことは知ってるわよね?」

「あぁ。」

「その、災獣に対する姿勢で、考えが分かれているの。考え方はおよそ四つに分類されるわ。それを、私たちは派閥、と呼んでいるの。」

「四種類。」

「そう、四種類。積極的に災獣に攻撃を仕掛けようと動く『烈牙(れつが)派』、人を守ることを最優先とし、災獣との戦いは災獣が襲ってきた時のみにするべきだと考える『護穹(ごきゅう)派』、災獣について知ることで人を守るという考えに基づき、災獣を捕獲、調教を目的とする『封獣(ふうじゅう)派』、そして必要に応じて攻めと守りを調整する『調律(ちょうりつ)派』の四つよ。今はまだ修行の身だから、細かく記憶しておく必要はないわ。でも、今後どこかの組織に所属して均衡師として働く場合、この知識は絶対に持っていて損はない。」

「へぇ。」


 黒羽が彼女の説明で理解できることは何一つとしてなかった。そもそも、災獣すら最近知った人間が、そんな細かいことを覚えられるはずがないのだが。


「まぁ、いいわ。最初に知っておいてほしいことはそれぐらいだから。じゃ、本来の目的である敬語のお勉強をしましょうか。」


 それからは、完全に敬語の使い方の授業に切り替わった。返事の仕方、声のかけ方、まずは「です、ます」を使えるようにするところから教育を受ける。


「まずは、どんな言葉にも必ず『です』と『ます』をつけることを意識しようね。多少使い方が間違っていても、それだけで敬語を使おうとしている意思は伝わるわ。」

「わかった…です。」

「そう。あ、そうだ、これだけは使えるようにしておいた方がいいわね。」

「?」

「何かを指示されて、それに同意を示すとき。あなたはよく、『あぁ。』とか『わかった。』って使うわよね?『あぁ』ではなく『はい』、『わかった』ではなく『わかりました』。これは頻繁に使う言葉だろうから、今覚えてしまいましょう。」

「あ…はい。」


 そこから黒羽は、「はい。」や「わかりました。」と答える質問を何度もされ、それに教えたとおりにこたえられるようになるまで反復練習をさせられた。そして、そんなことをしているうちに予定の時間になっていた。


「よし。今日の勉強はここまでかな。何か聞いておきたいことは?」

「ない…です。」

「ならこれで終わりにしましょう。」

「ありがとう、です。」



 初回の座学の講義はこれにて幕を閉じた。この後は訓練場に移動して、昨日の衡力放出の訓練である。黒羽は、今日の中でこの時間を一番楽しみにしていた。そもそも『衡力』というものの存在を知ったのも最近で、それを自分も使える可能性があるといわれてしまったのだ。まるで新しいおもちゃを見つけた子供のように興味津々なのである。


 訓練場につくと、既に華原は待機していた。


「来たか。初めての座学はどうだったかな?」

「敬語を教わった、です。」

「おぉ。前よりも様になったじゃないか。」

「ありがとう、です。」

「あぁ。さて、今日は昨日の続き、衡力放出の訓練だ。やり方は昨日教えたとおりだ。やってみろ。」

「はい。」


 黒羽は、昨日と同じようにその場に座り、教わったことを思い出しながら目をつぶる。袋の感覚を意識し、袋全体を圧迫するように、ゆっくりと押し出していく。

(やっぱきっつい)

 そう思いながら、集中して、ゆっくりと。すると、

――ポワッ――

 と、身体の外側に少し水色の霧が。そして、それが出てすぐに放出をやめてしまった黒羽。どうやらそれだけでもだいぶ疲れてしまったようで、肩で息をしている。

「白翔!すごいじゃないか!今少しできていたよ!今の感じだ。そして、おそらく、袋に穴をあけないように、という意識が強すぎて、変に力が入ってしまっているからかなり疲れるのだろう。その点に関しては十分意識できているから、もう少しリラックスしてやってみろ。」

「はい。」


 黒羽はもういちど座りなおして目をつぶる。ゆっくり押し出すことを意識しすぎず、リラックスして同じように袋を圧迫していく。すると


――シュー――


 という音とともに、黒羽の体を覆うようにきれいに水色の霧が発生した。そのあとすぐに放出を解いた黒羽は再び肩で息をしているが、やり遂げたと顔にかいてあった。


「…やはり君はすごいな白翔。教えてから二日で衡力放出に成功するとは…前代未聞どころの話じゃない。さて、それができたら、あとは衡力をこの訓練場の天井まで届くように日々訓練するのみだな!」


 華原は考えるのをやめた。これは実際、才能の一言で片づけられる出来事ではない。しかし、考えたところで、彼の印の特殊性がわかるわけでも、この異常性を説明できるわけでもなかった。

 彼女は一人の師匠として、どうやってより彼を成長させるかを考えることにした。




――――――――――――――



 それから一年。今日は、黒羽がこの一年でどの程度能力が上がったか確認する日である。


読んでいただきありがとうございました!

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