第十七話『身体能力』
本日二話目の更新です!
「——…では、気を取り直して、今度は白翔の身体能力を測定しようか。確認したいのは瞬発力、動体視力、筋力、持久力かな。まずは瞬発力からいってみよう。白翔、これ着てもらえる?」
黒羽が華原に渡されたのはジャージ上下とヘルメットだ。
「これは?」
「それは対衡具の服とヘルメットだ。瞬発力の確認だが、これは陸の衡具での攻撃を避けることで調べさせてもらう。もし生身のまま攻撃受けたら死んじゃうだろうから、着替えた方がいい。」
「えっ」
黒羽は、生身のまま受けると死んでしまうという言葉に身震いする。そして、慌てて服を着替えた。
「陸は20m先から白翔にめがけて攻撃をしてくれ。白翔はできるだけそれを避け続けるんだ。だんだん速度を上げるようにお願いするから、頑張るんだよ。」
華原と荘隆は少し離れたところに移動し、黒羽の目の前には陸しかいなくなる。
「では始めるよ。よーいスタート!」
陸から飛んできた攻撃は、既に前に黒羽が応戦した災獣よりも早い。何とか避けているが、最初から避けるのがやっとだ。
――ヒュンッ ヒュンッ――
フォークが顔の横を過ぎ去ると、ヘルメットをしているにもかかわらず風を切る音がかなり大きく聞こえる。これがもし当たったらと思うと気が気じゃない。それに気を取られて足がもつれそうになる。
結局、最初からぎりぎりだった黒羽はそこまで長く耐え続けられるわけもなく、速度が上がることなくおよそ30秒で幕は閉じた。
「ふむ、最初から陸の攻撃のペースは速かったがよく避けられていたな。確かに瞬発力はある方だ。だが、並外れてというわけでもなさそうだな…。次、動体視力だ。動体視力は、白翔の場合、昨日の試合が目で終えていた時点で普通ではないことは明白だが、現段階でどこまで目で追えるのかを確認したい。だから、印の中でも特に瞬発力に長けている、侵術印の私と陸で速度を上げて戦ってみよう。これも、だんだんと早くしていくから、見えなくなったら手を挙げてくれ。今回は荘隆にレフリーを頼む。」
それから、黒羽は服を着替え、二人の戦いが見える位置に移動した。荘隆は、互いが準備できているか確認をし、始まりの合図をする。最初から前回の試合よりもペースが速い。しかし、まだ目で追える。余計な情報を入れないように、耳をふさぐ。動体視力を見るテストとはいえ、戦っているわけだから衡具同士が接触する音はかなり大きい。
だんだんとペースが上がっていく。そして、黒羽が全く彼女たちの姿を追えなくなったのは、これもまた開始からわずか30秒の地点だった。
「すごいな、かなりペースを上げていた自覚はあったが、ここまで見えるとは思わなかった。だが、まだ成長の余地はありそうだ。次は筋力だな。これは腕や足といった単純な筋肉ではなく、筋肉の使い方を調べるテストだ。あの重い枷をずっとつけていたから基礎筋力はある程度あると見込んでいる。このテストは、荘隆に手伝ってもらいたい。白翔と向かい合わせに立ち、両手を組んで、お互いに相手を押し合ってほしい。これに関しては荘隆にしか白翔の力が感じられないだろうから、その辺を考えながらやってくれると嬉しい。」
「…あぁ。」
今度は華原と陸が離れたところに立ち、黒羽は華原の指示通り荘隆と向かい合わせで両手を組んだ。それから、スタートの合図とともに黒羽は懸命に相手を押す。しかし、少しもびくともせず、そのテストはわずか10秒で終わりを告げた。
「荘隆、どうだった?」
「…あぁ。あまり、他の人間と差があるようには感じられなかったな。」
「なるほど、筋肉の使い方は人並か…。では最後に持久力。これは、この訓練場の中を、できるだけ広く円を描くように走ってもらうことで調べる。」
訓練場は25メートル×35メートルの広さだ。華原の「位置につけ。」という声に、黒羽は移動しようとする。すると誰かのお腹がかなりおおきな音を立てた。
――ぐぅぅぅぅぅ――
音の出どころはどうやら黒羽だったようで、お腹を押さえて顔を真っ赤にしている。
「そういえば、そろそろお昼時だったな。一時お昼休憩をしよう。」
それから一度皆で食堂で昼食をとることにした。
昼食を終えて、元気もいっぱいになった黒羽は走る気満々である。早速位置について、軽く準備運動をした。
「では気を取り直して…よーい、スタート!」
元気よく走り出していった黒羽。出だしはかなり良かった。しかし――
「2㎞で限界か…。持久力は人よりかなり劣っているな…。やはりなんでもうまくいくわけではない…か…。ひとまずこれでテストは終わりだ。」
テスト終了の合図に、陸と荘隆は訓練場の隅で黒羽の訓練メニューを考え始めたようだ。一方黒羽は、走り疲れた結果、訓練場の真ん中で、あおむけで倒れている。息も荒く、本当にかなり疲れていることがうかがえた。
「では、白翔の身体能力についておさらいしよう。」
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