第十四話『風呂』
本日一話目の更新です!
二話目は22時に投稿します!
「ただいま。」
「おかえり~!」
帰ってきて挨拶をすると、返事が返ってきた。そして、葉港を除いた四人が訓練場から出てくる。どうやら、あの後訓練をしていたらしい。現在時刻は午後6時過ぎ。訓練場にいた面々も、そろそろ夕飯時だからということで、切り上げるところだったようだ。
「おぉ!枷が外れてんじゃねぇか坊主!」
「無事外れてよかったねぇ。」
「その荷物を見る限り、服も買ってこれたみたいだね!」
「…あぁ。」
みんな温かく迎え入れてくれる。黒羽何だか昔を思い出されて、少し泣きそうになった。これは彼だけの秘密だ。
みんなでワイワイしていると、しばらくして階段を下りて来る音が聞こえる。
「みんな、ご飯できたよ。」
そう声をかけに来たのは当然葉港だ。そこからはみんな夕飯の話で盛り上がりながら階段を上がっていった。食堂は三階にあるようだ。
「最近みんな忙しかったから、一緒の食事なんて久しぶりだね。」
司漣の言葉にみんなうんうんとなずいている。
「今日のご飯は白身フライよ。お米はいつもみたいに自分の好きな量よそってね。あぁ、白翔君の分の器なんだけど、君が前々からくるって知ってたから事前にそろえてあるんだ。これね、お茶碗と箸。」
葉港はそういいながら、キッチンからそれらを渡してくれる。メインの料理は机の上に置いてあり、他の面々はすでにお釜の前でご飯待ちをしていた。黒羽を唯一待っていた華原は、黒羽に連れ添って、一緒にご飯をよそいにいった。
「いい?この木のふたを外して、逆さにして横に置くんだ。そうしたら、この水に浸かってるしゃもじをとって、お茶碗をこう持って、好きな量お米を入れて。で、よそい終わったら、しゃもじをもとの場所に戻して、木のふたを閉める。やってみな。」
黒羽は華原に言われたことを声に出しながら自分の器にご飯を盛った。そして、席に着くと、全員で一斉にいただきますをする。
華原は、黒羽が箸をうまく使えるのか、使い方がわかるのかと思い、教えよう黒羽の方を見た。しかし、その必要はなかった。黒羽は、何も言われずとも、道具の使い方がわかっているようで、箸遣いがうまいわけではないが、普通にご飯が食べられている。
「不思議な子だな、君は。当たり前のことを知らないかと思えば、所々ちゃんとわかっている部分もあって。ご飯のよそい方がわからないのに何で箸は使えるんだ…?」
華原のそのつぶやきは、夢中でご飯を食べている黒羽には聞こえていない。顔にご飯粒をつけながらとてもおいしそうにご飯を掻き込んでいる。陸の食べ方と少し似ていた。
ごはんを食べ終わると今度は風呂の時間になる。烈焔寮の風呂は大浴場のため、今日は男性陣みんなでお風呂である。その前に、華原は黒羽の部屋を案内した。
「ずっと私の部屋で寝るわけにもいかないから、君の部屋も用意されているんだ。君の部屋は私の隣。何かわからないことがあったら私に聞くんだよ。今日は風呂場までは一緒について行ってあげるから。」
華原は自分の準備を済ませた後で、黒羽の部屋で風呂の準備を手伝った。浴衣とタオル、それに今日買ってもらった下着をもって一緒に大浴場に向かう。寝る時に使用する浴衣も事前に準備されていたようで、黒羽の部屋のクローゼットに置かれていた。
「伝えていなかったけど、お風呂は一階にあるんだよ。」
階段を降り、訓練場沿いの廊下をまっすぐ進むと、その先に『男』『女』と書かれたお風呂場があった。
「私が教えてあげられるのはここまでだから、中で困ったことがあったら他の男たちに聞きな。」
『男』と書かれた暖簾をくぐると、そこは広い脱衣所になっていて、ちょうど軍嶺がお風呂に入る所だった。黒羽は彼に声をかけ、一緒に準備をしてもらう。
「まず、着替えはここの籠に――そうだ。あ、髪の毛まとめてるゴムも着替えと一緒に入れちゃいな。んで、脱いだ服は、此処の洗い場で、洗濯板を使って洗うんだぜ。当番制だから、この箱の中に今着ている物入れちゃいな。——そう!で、この小さい方のタオルをもって、一緒に風呂行くぞ!」
黒羽は軍嶺の指示に従って、一緒に浴場へ。中はそこまで広くないものの、男四人で使うには十分すぎる広さだ。中ではすでに司漣と荘隆が湯船につかっていた。
「お!白翔くんは軍嶺と一緒に来たんだね。なんか変なことされなかったぁ?」
「なんもしてねぇよ!」
にやにやしながらからかう司漣に反論する軍嶺。この二人は本当に仲が良いのだと黒羽は改めて思う。
「白翔くんもさっさと体洗って入っておいで~。お兄さんたちとお話しよ。」
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