9 ギルド編②~Cランククエスト~
ギルドに登録してから数日後にクエストの案内が来た。
ギルドには5つのランク毎にクエストが設定されており、SS、S、A、B、Cと分かれている。
俺達は勿論Cランクであった。
受付の人が言っていたように、受注する際の人数は決まっており最低3人を必要としていた。そうして、チーム構成にも受注要件に追記されていた。
俺は”プレイヤー”、朝日は”サポート”になる。そのため残る一人は”コントロール”が必要にな人材であった。
「結局の所、この分類はそれぞれの”思能”に関係している。例えば、九条、あなたの”思能”は単独で相手と戦闘になった時でも対応ができる能力だから、プレイヤーに振り分けられる。私のは単独での戦闘は不可で、空間をコントロールするような能力じゃないから”サポート”になるの」
そう、朝日は説明してくれた。
「それでどうする?あと一人”コントロール”ってのは知り合いにいるの?」
「いないわ」
「じゃあ、探すか?一応オンライン上で探せるみたいだけど。フィルターで欲しい”思能”を検索できるぜ。そもそも”コントロール”ってどういうどういう系なんだ?」
「動物操縦とかはコントロール系ね。例えば、サムバアとかもそうかも」
「じゃあサムバアを仲間に入れる?」
「冗談でしょ?」
俺は仕方なく、掲示板のようなところで探してみたが正直、どんな奴がいいのかさっぱりだった。
ページをスクロールしていると見覚えのある名前を見つけた。
「おい。緋村亨って覚えている?ほら、手から炎出してたやつ。あいつは……プレイヤーなんだな。ランクも書いてある」
「いくつ?」
「Sランクだわ…」
結構な強さだ。かなりの人数の登録者がこの”思能者”ギルドに存在しているが、Sランクは上位5%に位置している。
緋村亨書かれた名前をタップすると詳細が見れた。クエストの受注履歴も見れた。
そこには気になる名前のクエストを発見した。
<脳吸い討伐クエスト>
クエストランクを確認するとSランクであった。
「”脳吸い”ってそんな危険なクエストなのかよ……」と俺は心の中でつぶやいた
「あいつ結構強いんだな……」
「私達も危うくまる焦げにされそうになったからね。でも九条もやりあえてたんだから、私達も結構やれるのかもよ?とりあえず、受注するクエスト先に探してみる?」
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朝日の言葉に俺は少し励まされて、先にクエストを探す事にした。
Cランククエストは多岐に渡り、多種多様な仕事で埋め尽くされていた。
草むしり、猫探し、死体探し、爆破事故の証拠探し……などなど数多くある。
俺はスクロール、スクロールでどんどん探していくと一つのクエスト名が目に入った。
<”思能者狩り”の討伐>
俺はこれだと思った。
「なあ、朝日。”思能者狩り”の討伐とかどう?」
「結構な戦闘になりそうね。報酬とかどう?」
「かなり高い。多分Cランクの中でも高額だね。ただ、その”思能者狩り”を探すのが大変そうだ。なんか、毒を使うらしいが特に写真とかも載ってない。書いてあるのは”思能”の内容だけ」
「じゃあ、それにしましょう。私、”思能者”見つけは得意なのよ」
俺達は<”思能者狩り”の討伐>のクエストを受注することにした。
メンバーは結局のところ自動招集タイプにして受注した。
数日後にギルドからクエスト受注承認の報告が送られてきて、そこには当日のクエスト開始場所と招集メンバーとの待ち合わせ場所が書かれていた。
クエスト開始場所はアップルタウンの出た少し街外れの隣町、ベーグルという場所であった。
またメンバーとの集合場所はアップルタウン中心部の噴水広場で集合するように書かれ、合流後ベーグルという街に向かいクエストを遂行するよう指示されていた。
俺と朝日はクエストが数週間程かかるとみて、街で少し買い出しと必要な物を調達してからクエストに向かった。
あまり緊張はせずに、特に眠れない日々も続かなかった。
サムバアが出発前に俺達に声をかけた。
「危なくなったら、逃げるんだよ。いいかい、”思能者”同士の戦いに油断は禁物だよ。いつだって戦況はひっくり変えるからね」
「分かっている。じゃあ、行ってきます」
そう言い残して俺達は、初めてのクエストに向かったのだった。