漫才「月へ」
笑ってもらえるとうれしいです。文化祭、学園祭、会社の余興などで使ってもらえたら、なおうれしいです。
登場人物 二人
地球本部の通信士(40歳、男) 穏やかな性格。
宇宙飛行士(30歳、男) 穏やかな性格。
「小さいころなりたかったものってなにかあった?」
「宇宙飛行士だね。月に行ってみたかったんだ」
「ちょっと体験してみるかい?」
「うん、頼むよ」
地球本部「こちら地球本部、宇宙船どうぞ」
宇宙船 「はい、こちら宇宙船です」
地球本部「もうすぐ地球の周回軌道に入るぞ。帰還準備に入ってくれ」
宇宙船 「こちら宇宙船、もう一回月に戻りたいんですけど」
地球本部「なんだ、どうした?」
宇宙船 「ちょっと酔っぱらっていろいろやらかしてきちゃいまして」
地球本部「おいおい、月に酒を持ち込んだのか?」
宇宙船 「すみません、乾杯したくって」
地球本部「それで何をしたっていうんだ?」
宇宙船 「月面でゲロはいちゃいまして」
地球本部「なに?」
宇宙船 「すみません。日の丸の横で・・・砂をかけたらすぐに帰りますから」
地球本部「無茶ゆうなよ」
宇宙船 「そこをなんとか、許可してください。次に月行った人に見つかったらと思うと」
地球本部「そのうち雨が降って流れちゃうからさ、大丈夫だ」
宇宙船 「嘘だ。月に雨なんか降るわけないでしょ。雲がひとつもないんだから」
地球本部「きっと宇宙人の仕業だと思ってくれるさ」
宇宙船 「そうでしょうか」
地球本部「ああ、彼らの中にだって酔っ払いの一人や二人はいるだろう」
宇宙船 「あ、それと、月面に相合傘を書いちゃいまして」
地球本部「見られちゃ困るのか?」
宇宙船 「片思いの女の子の名前なんですよ。酒の勢いでつい。トラベラーズハイもあったんですかね、テンションが上がっちゃって」
地球本部「そのうち、風が消してくれるよ、大丈夫」
宇宙船 「うそだ、月に空気がないこと知ってるぞ。あれは永久に残るんだ」
地球本部「昔行ったアメリカ人が書いたことにでもしておけ」
宇宙船 「アメリカに相合傘があるんですか? アメリカ人がラブのスペルを書き間違えたりするんですか? お願いします、月に戻してください」
地球本部「無理無理」
宇宙船 「じゃあ、次に月に行く便に、また僕を乗せてくれますか? 約束してくれるなら諦めます」
ブチッ、プー、プー、プー
宇宙船 「あっ、もしもし? もしもし?」
読んでくださり、ありがとうございました。