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~序~
始まりは独白。
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「結局、世界なんてキレイゴト」
君が言った台詞が頭の中に残っている。
君は僕の言葉なんて聞かずに消えてしまった。
僕は君の事を引き止められなかった。それが僕にとってものすごい後悔。
だって僕は知っている。
「そんなことない」と言えるだけのことを。
たとえば道に迷っていたときに声をかけてくれたお姉さんとか。
たとえば買い物袋を盛大に破ったときに助けてくれたおばあちゃんとか。
たとえばヴィーグルで木に突っ込んだときに心配してくれた坊や達とか。
たとえば重い荷物を運んでいたときに手伝ってくれたおじさんとか。
この優しさはキレイゴト?
この優しさはツクリモノ?
きっと違うよ。
ねぇ、 。
もう一度こっちを向いて。
もう一度この手を取って。
そうしたら、今度は2人で見に行こう。2人で探しに行こう。
君が見つけられなかったキレイなもの。君が欲しがってた「本当の優しさ」。
探しに行こう。
僕らの世界で――――。