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ヒーラーテイマーの家と新たな人物との出会い

これは、自分で1から考えたオリジナル小説です。

過度な期待はしないでください。

あと、プロローグは現実世界の話ですが、これは異世界物です。

色々大変だった昨日の日を終え、暖かい日差しの中でまだ完全に覚醒してない頭でポーっとしていると女性のような悲鳴が聞こえてきた。

「きゃーーーーー!」

その悲鳴に、一瞬で脳が覚醒し、反射的に外を見ると何だか人だかりができているが魔物に襲われているとか山賊が村に襲撃にきた様子はなく。

一つの立派な馬車が村の中に止まっている。

「うわぁー、明らかに場違いの馬車があるよ。なに?王都からの使者でも来た?」

「当ったりー。セイカって、何も知らないくせして当てていくよね・・・」

クーが呆れたように言う。

「ほら、今出てきた人がハイワッド王国の第3王子 ハイワッド・クルーク様で他の王都の人たちより優しくて王子みたいに近寄り難いような雰囲気がなくて、好かれている人だよ」

「ああ、さっきのは悲鳴じゃなくて黄色い声援ってやつか寝ぼけてたから気づかなかったな」

「黄色い声援?」

「憧れや好意のあら相手に気づいて欲しくって女性が高い声を出してしまうこと。第3王子って・・・他の連中が来るのが面倒くさくてパシリに使われてるじゃん、可哀想・・・」

「あの、セイカ・・・。あの人は仮にも王子なんだからもっと慎みを・・・」

「・・・そのセリフが彼にとっては侮辱してると僕は思うけど?」

「は?え、なんで?」

「だって、彼は『仮にも王子』じゃなく、『王子』なんだからね。その無意識の言葉にああいう人は人知れず傷付いてるんだからね。『優しい笑顔』か・・・ボクには、無理してるように見えるな」

「・・・」

ボクの指摘に、クーは黙ってしまった。

前世のボクは、上司の顔色をいつも伺って生きていてその影響なのか、同期や後輩の顔色も分かるようになってきた。

でも、自分のことで精一杯で相談に乗ることができなかった。

ボクも先輩からはそう見えてたのだろう。

先輩は、ボクが出来なかったことボクにしてくれていたからあれまで続けていられたのだろうと改めて思った。

「よし、着替えてギルドの仕事しよ」

ぱぱっと着替えて、部屋を出ようとするがいまだにクーが落ち込んでいる。

「あの、クーさん・・・置いていくよ?」

「・・・」

「そんなに落ち込むこと?彼、うまく隠してるから気付かないのは当たり前だよ。それに、本人には聞こえてないんだから別に気にしなくていいでしょ」

「・・・うん」

クーの調子は、まだ戻らないが時間が経てば元に戻るでしょ。


「おはようございます、ラットリーさん。何か、いい依頼はありませんか?」

「おはようございます。今はありませんが、もしかすると外の大物さんが護衛依頼をしてくるかもしれないかと」

「でも、ここ2人しか冒険者居ないですよ。ボクとブライトだけでは、手に余るような気がしますよ。それに、騎士も何人か連れているようですし、大丈夫なのでは?」

「それなんですよねー。せっかくの名前を売るチャンスなのに、ちょっと実力不足な気がして、ここにお願いしてくれるかどうか・・・」

「まぁ、うちに依頼してきたらラッキーってことでいいのでは?」

「それに、冒険者2人が女性だから尚更、頼ってくれなさそう」

「というか、そもそも第3王子は、この村の現状を知っているんですかね?」

「あー、知らずに依頼してきたら余計に信頼が・・・依頼されない方がいい気がしてきました。あ、そうそう、今日から森の調査に第3王子様が入るから森での依頼は少しの間、禁止になります。なので、村周辺でのクエストが中心になります」

「話の内容からしてそうだと思いました。どれくらいの期間ですか?」

「順当に行けば、3日くらいですね」

「分かりました」

とりあえず、冒険者になったけど、一つの目的は達成した。

あとは、大量に残っている可愛すぎる服達どうにかしたい。

前いた世界では、こう言う服は当たり前になっていたけど、この世界ではお高いお洋服らしいから捨てるのはもったいないし、着るのもイヤだから売りたいのだけれど、クルーク王子に交渉する?いや、初対面でそれは図々し過ぎる。

まぁ、アイテムボックスの中は物の劣化が進まないようにしてるから早々、服が悪くなることはないからのんびりやっていこう。

(この状況だとボクの歓迎会どころじゃないかな?王子へのおもてなしの方が優先されるだろうし、ここに止まる理由も無くなったし、一度帰ろうかな?)

「そういえば、ギルドマスターからの伝言で『転移魔法は使える人が少ないから王子がそれをみたら血相変えてくるかもね』って言ってましたよ」

「行動の先読みは良くないと思います」

「わたしに言われてもどうしようも無いです」

「じゃあ、ギルドマスターに伝言お願いします。というか、王子はここに泊まるんですか?言っちゃ悪いですがここって平和だけが取り柄の村なので、何もないような気がするんですが」

「安全が1番です。そういえば、長い道のりを寄り道せずにきたんですよね。だったら、この村周辺の定期調査して来てくれませんか?」

「いいですね。やりたいです」

「承りました。まずは、これをどうぞ。村周辺の地図と魔法のメモ用紙です。メモ用紙は、まぁ期間限定のもう一つのギルドカードみたいなものです。討伐や採取の指定数がないクエストに使われるものですね。冒険者カードを登録すれば自動的に記入してくれるアイテムです」

所謂いわゆる、魔法の力ってすげーって言うアイテム。

「これ常に欲しいんですけど」

「これは錬金術の一種で、作り方は企業秘密らしくて謎につつまれているけど、錬金術で作られた道具は便利なものが多いので、仕事の一つとなっています」

「錬金術か・・・なんか、面白そうな道具を作れそうですね」

「実際に、便利だったり面白い道具は結構ありますよ。蛇のように動くロープとかほうき)じゃなく絨毯じゅうたんで空を飛んだり靴で飛んだりしてる錬金術師とかもいますしね」

「なんか、武器に全属性の追加攻撃とか全状態異常100%の付与できるアイテムとかありそうですね」

「錬金術師の知り合いがいますが、出来なくもないそうですよ・・・ただ、コストが高すぎるみたいです」

(うわぁ・・・ボクも前世でそんなゲームやってたっけなー・・・全属性の追加攻撃付きの武器とか全状態異常無効の防具とかHPバーが赤になったら自動的に回復してくれる回復アイテムとか)

「まぁ、その道具に見合った分、苦労しているだろうし、仕方ないですね」

「手間が掛かってるほど、高値になりますからね。あ、そうそう、村付近には綺麗な川があるからその川を利用している。畑があるんですけど、モンスターが食い荒らしてたら討伐をお願いします」

「モンスターってスライムですよね。なんでも食べるからやっぱり、被害が大きいんですか?」

「いえ、全然。なんなら、村人でも倒せますからね。倒した後のヌルヌルが気持ち悪いとか作物や畑についたのを掃除するのが面倒とかそんな理由です」

「え〜・・・そんなくだらないことで・・・まぁある意味、平和であることの証明にはなるのか」

「この村の依頼なんてそんな雑用みたいなことばかりでしょう?結局、長旅な冒険者たちも泊まるより休憩って言った方がいいくらいの村の滞在期間だしね」

「と言うかここに宿があること知らないのでは」

「ギルドマスターがそのことを表に出したがらないのは何故なんでしょうね」

「昨日来たばかりのボクに聞かれても分かりません」

「そうでしたね。なんか、あなたと話してるとそのことを忘れてしまいますね。そんなギルドマスターからの提案なんですがね」

「嫌な予感しかしない・・・」

「あなたに部屋を無期限で貸すった行った時拒んだらしいですね。他のお客さんの迷惑になるからって」

「拒みましたが押し負けて承諾しました」

「ギルドマスター兼村長がですね。ここの地図の真っ白な部分分かります?」

ラットリーさんが指差した場所は、畑の奥に方に少し大きめの白い場所で何も書いてない部分だ。

「本当に何もない土地で、土の養分が枯渇してしまったのかサラサラの土地なんですがね。あなたにこの場所を自由に使って欲しいそうです」

「えっ?なんで?本来、土地ってこんな簡単に譲渡していいものじゃないですよね?」

「土地が余ってて管理が出来ないからこの白い一帯をセイカさんに管理して欲しいそうです。よっぽど、手放したくないんですね」

「ボクのことを名物の1人にしようとしてるじゃ無いですか」

「ギルドマスターもお父さんですからね。娘さんを手に届くところに置いておきたいんですよ」

「・・・あぁなるほど、確かにそうですね」

(確かにボクも子供のように大切にしてた子犬がいたな・・・名前は・・・あれ?なんだっけ?)

思い出せる名前は、この世界で共に過ごした生物たち

(このネックレスも先輩が供養してくれた物だけど、先輩の名前ってなんだっけ?先輩としてしか思い出せない)

「・・・い」

頭の中に聞こえてくる誰かの声に我に帰った。

「おーい、セイカさん大丈夫ですか?ボーとして」

ラットリーさんが心配そうな顔をして覗き込んでいる。

「あっすいません。考えごとしてました」

「大丈夫そうですか?」

「はい、大丈夫です。長話していましたね。このクエスト行ってきますね」

「行ってらっしゃい」


調査クエストという名の近場での暇つぶしは、それは有意義な時でした。

ラットリーさんが魔法のメモ用紙に前回のデータを記憶させて置いてくれて、自動解析してくれる。

錬金術の力ってスゲ〜・・・

水質、地質、魔物の種類、どれを取っても変わらないという結果だった。

しかし、一つだけ違ったことは魔物の生息位置が村に近づいているということ。

入口付近の魔物はまばらだったから気にならなかったけど、なんかあるのだろうか?

「クー、魔物の生息位置って変わる物なの?」

「生息位置は、何もない状況が続いていても時の流れで少しずつ変わってくるけど、大体は同じところにあるはず。でも、強い魔物の出現や進化によって現存している魔物はそれから逃げるかのように生息位置を変えることの方が多いかな?」

「そうなんだ。ちなみにこの状況は?」

ボクはクーにメモ用紙を見せる。

「ほんの少し村に近くなってるというか、森から離れていってるね」

「これが、時間による物なのか。それとも、森に何かあったのか分からないか・・・まぁ、そのための調査なんだろうけど」

大体の調査はこれで終わった。

「次は、例の土地なんだけど・・・ねぇもうなんか建ってない?」

例の場所につくと広い土地の中にポツンと新品ホヤホヤの木造の家が出来ていた。

「ノアさん、張り切りすぎでしょう。女神様の家、大きすぎだったけど、この家もなかなか大きいよ」

近づいてみると作業着を着た人が周りを見て歩いている。

「あの・・・すみません」

「ん?おぉ、この前のヒール使いじゃねえか!あん時は、ありがとうな!」

ボクとブライトさんと一緒にヒールやら応急処置をして回った時にいた人だ。

「あっどうも、こんにちは。あのこれは?」

「これ?っておめぇ・・・おめぇたちの家じゃねえか。村長が、最優先で建てろっていうから建てたんだよ。まぁ、いいリハビリにはなったぜ」

「でも、1人で住むには大きいような・・・」

「おめぇと村長とこの娘の2人のテイマーならこれくらいがちょうどいいだろう。まだまだ、仲間増えるだろう?」

ボクと村長の娘の2人?

「あの・・・ボクとブライトさんの2人と召喚獣たちで住むんですか?」

「そうだ。これは、俺たちを治療してくれたお礼だからな。まぁ、本当はおめぇと村民たちの感謝をこめての歓迎会をしたかったんだがな・・・王子さまが来ちまったし」

ただ数人のしかもほぼ軽傷の人たちを治癒してあげただけでこんなによくしてもらっていいのだろうか?

「いくらなんでもここまでしてもらうほどじゃない気がします・・・」

「村長から聞いたぜ!来るかも分からない他人のために村長の申し出を断ったんだって?面白えじゃねえか!」

「そうですね。実際来てしまいましたからね」

「そうだな!そんなおめぇのことだから俺らにも申し訳なさがあるんだろう?だから、1つだけお願い聞いてくれねえか?」

「もちろん!出来ることならなんでも」

「実はな、ガキ共がおめぇらに懐いちまってな。大半は、もっといろんな本を読みたいし聞きたいっていうやつが多くてな・・・そいつらの相手をして欲しい。あと、治癒魔法を教えて欲しいとか魔法があんまり得意じゃないけどみんなの傷を治してあげたいってやつもいてな・・・簡単なやつでいいから教えてあげて欲しい」

(そういえば、ずっとボクに張り付いてた子が2人くらいいたし、ブライトさんの方にも何人かいたな)

「なるほど・・・興味を持つことは自分自身の可能性を広げてくれる・・・そういうことですね、分かりました。お受けいたしましょう」

「ありがてぇー、俺はネズってんだ。主に、建造物の建築をしている所謂、大工ってやつだ。よろしくな!あと、あの中に商人もいてな、必要最低限の魔具製品や食材、調味料なんかを揃えたぜ」

「ありがとうございます」

「なにかあったらまた言ってくれよな!」

ネズさんは、気持ちのいい笑顔をして去っていった。

(あれ?あの人たち、いつからこの家作ってたの?)

つい昨日のことなのに何故か家が出来ている。

そのことには、触れない方がいいのだろうか?

「まぁ、元いた世界とは違うからな」

ボクにとっては非常識かもしれないけど、ここの人にとってはあたりまえなのかもしれないから深くは考えないようにしよう。

とりあえず、何故か知らないが100%の自分の家が出来た。

他の住人もいるからシェアハウスなんだけどね。

「さて、結構時間もたったし、ギルドに報告をしに行こう」


調査クエストを終え、ボクはギルド帰った。

「おかえりなさい。どうでした?」

「ただいま戻りました。地質や水質、モンスターの種類などはあまり変わりがないというメモ用紙さんの判断です。でも、魔物達の生息位置や出現場所が少し村に近づいてきています。ただ、何もないところにも向かっているため、正確には森から離れていってるの方が正しいかもしれません」

「・・・ああ、確かに森を中心に離れて行ってますね」

「それ僕にも見せてください」

ラットリーさんとの情報共有をしている時に横から声が聞こえた。

「すみません、今の村周辺の状況を知りたくて・・・」

声を掛けてきたのは第3王子のクルークさんだった。

「あ、どうも王子様。調査の方はいいんですか?」

「・・・そのことで、ちょっと気になることがあったので少しでも情報をと思い、聞き回っています」

「ボクも最近、ここにきたばかりなので情報はこれくらいしか知らないですよ」

ボクは、メモ用紙を見せる。

「なるほど・・・もしかすると何かあるかも・・・」

「どうしたんですか?そんな顔をして、綺麗な顔が台無しですよ」

「あっ、すみません。今日、森の中層部分まで調査したんですが何もいないんですよ」

「あっ、お、王子様!すみません挨拶出来ずに」

我に帰ったラットリーさんが王子にずっと頭を下げている。

苦笑いを浮かべながら大丈夫と言っている。

「えっと、何もいないことはいいことなのではないですか?」

ラットリーさんがボクに聞いてくる。

「この『なにもいない』っていうのがボクの思うことならあんまりよろしくないですね・・・」

「うん、その『なにもいない』であっているね。魔物だけじゃなく動物も虫もいなかった。ウルフは、集団で行動する。この前、一部を倒したらしいけど、ボスを倒してないならまだいるはずなんですよ」

「中層あたりまで行ってそのウルフ達もいなければ、生物がいない。生物達は本能的に身の危険を感じると逃げる。・・・だからクルーク王子は最深部に危険な生物がいるかもしれないって思ってるわけですね」

「ご名答。明日、最深部に向かおうと思います。なので、少し兵を増やしました」

「あー、だからこんなに賑やかなんですね。なるほど」

「さて・・・セイカさん、お仕事の時間ですよ」

「分かりました。みんなには明日、頑張ってもらわないといけませんしね。けど、クルーク王子は貴族の食事とかじゃなくていいんですか?」

クルーク王子は、複雑そうな表情をしながら言う。

「・・・城の食事は、城で出るから食べますが、外に出てまで求めませんよ・・・それに僕はこう言うところで食べる食事の方が好きなんですよ」

「それはそれで、お城のシェフに失礼ではないですか?」

「あー失敬、どうも君と話してると口が軽くなってしまうな。ところで君はなんと言う名前なんですか?」

「ボクですか?ボクは、セイカです。辺境の村のギルドに所属している冒険者です」

「あのさ・・・セイカさん辺境のーとか余計なことは言わなくてもいいの否定のしにくいことだから強く言えないけど、普通に失礼よ」

「ふむ・・・君はセイカというのか。私も改めて・・・ハイワッド王国の第3王子、ハイワッド・クルークというものです。以後、お見知り置きを」

「あ、はい・・・よろしくお願いします」

「あはは、どうやら君は堅苦しいのが苦手らしいですね」

「・・・あのーそろそろ、お手伝いお願いできませんか?」

いつの間にか、お店の手伝いをしていたブライトさんからの救援要請だ。

こんな大所帯のお客の対応の出来るお店ではない為、外に溢れ出てしまっている。

気の利かせた村民たちが自分の家から椅子や机を貸していて、大宴会のようになっている。

ボクも手伝わなくては。

「制服です」と言われ渡されたのは水色が主体で袖と裾にフリフリが付いている所謂、『ウェイトレス』の服である。

いつの間にかギルド服からウェイトレス衣装に着替えているラットリーさんとブライトさん、なんならウルフさんまでウェイトレスになっている。

(・・・これじゃ、断れないじゃん・・・パステルでフリフリでミニスカートの可愛い系を集めましたみたいなのは、普通、アニメの世界だけだよ)

恥ずかしながら手伝いに入る。

見た目が大きく変わったボクのことを見て、一瞬驚いたクルーク王子は、「これはこれで・・・なかなか」とボソッと呟いていた。

大宴会の時間はあっという間にすぎ静まり返った村の中、町中のお母さん方が貸してくれた毛布を酔い潰れて寝てしまった兵士さんやお父さん方に掛け回っている。

流石に外で放置するわけにも行かないからギルド内に押し込む。

ボクとブライトさん、ウルフさんだけだと大変だろうと言ってクルーク王子も手伝ってくれた。

ラットリーさんは食事の後片付けで手が離せないようだ。

クルーク王子はもちろんのこと、何人かの親衛隊はギルドの宿に泊まってもらった。

ボク達が帰る頃にはラットリーさんも帰宅するところだった。

ブライトさんたちはあの家に住んでと言われていたらしく、新築ホヤホヤの家で衣食住を共にすることになった。

当たり前一面、暗闇に包まれている中、歩いて帰るのは怖いだろう言うことで、ウルフさんが2人を乗せてくれた。

ウルフさんも疲れているだろうにありがとう。

疲れて帰ったボクたちは死ぬように眠るのだった。


差し込む眩しい光によってボクは目を覚ます。

昨日、疲れて帰ってきたボクとブライトさんは部屋を適当に選んでそのまま寝てしまった為、部屋の内装やら大きさを確認せずに寝てしまったが、改めて見ると1人にはちょっと大きくて、必要最低限のもの以外も色々ある。

「いや、これ普通に豪邸では!?」

「うん、普通に豪華なお家よね・・・」

クーも驚いていたのかボクの独り言に同意する。

「あ、おはよう。クー」

「おはよう。本当にあなたの切り替えの速さなんなの?怖いよ・・・」

いつものことだと言うのにまだ慣れてないご様子のクーである。

「ん?すんすん・・・なんかいい匂いするね」

「あっホントだ。いい匂いがする」

家着にぱぱっと着替え、匂いの元を辿っていくと辿り着いたのはこの大きい家の台所だった。

「あ、おはようございます。セイカさん。すみません、台所勝手に使っちゃいました」

「別に構わんだろう。我共々、この家の住人なのだから」

「そうですね。ボクたちはこの家の住人ですから、好きなように使ってください。まぁ、自分の部屋以外ですけど」

「そうそう!セイカさん!あの部屋どうなってるんですか!?最底辺の冒険者が住むような家じゃないですよここ!」

「ボクに言われてもな。ここは、ボクたちが協力して怪我人直した時とボクの歓迎会も兼ねて治療のお世話になった人たちがお礼として建ててくれたものと村に定住してくれる冒険者としてボクを手放したくないノアさんの意向が重なって実現してしまったことだし、ボクも正式にこっちに住むことにするつもり」

「そういえば、セイカさんの家ってどんな感じなんですか?」

「ただ広いだけの大きな家、食料もないし、周りにも何もないから住みにくい」

「そうか?大きさ的にはここと変わらないような気がするが?近くに何もないことは結構致命的ではあるが・・・」

「物が良くても不便だと住めないからね」

「それは確かに・・・ところで、セイカ殿よ。あの服たちはまだあの家にあるのか!」

「待ちきれない分と持ち歩けないものがあるね」

「待ちきれないはわかるけど持ち歩けないものって?」

「下着です。それにボクには絶対合わない大きさのが大量に」

「それは確かに、持ち歩けないな・・・」

はいどうぞ。とブライトさんがボクと自分、ウルフさんのご飯を用意してくれた。

「ありがとうございます。なんか、ごく自然に用意してくれたけど、別に気にしなくていいんですよ。食事の用意するの大変でしょうし」

「せっかく一緒に住んでるんですから一緒に食べましょうよ。私、セイカさんの料理も食べてみたいです」

「時間がある時に作りますね」

「楽しみにしてます」

(多人数で食事を摂るなんていつぶりだろう?いつも1人でいた方、昔は両親とペットたちで楽しんでたっけなー)

そんな事を考えながら昔の世界とは違うということを改めて感じながら食事をする。


食事を終え、この広い区画に何かを置きたいと思っていたので、3人で相談することにした。

「はいはーい!私は、病院とまでは言わないけど、怪我や病気の治療のための建物が欲しいです」

「でも、あの村に薬剤師と治癒師いるんですよね。その建物じゃダメなんですか?向こうのを大きくしてここに誰でも使える休憩所とかにした方がいい気がする。ボク達は冒険者だから常にここにいるわけではないし」

「確かに。村の薬剤師と治癒師の仕事も取りかねない」

「ボクたちはテイマーだからヒール特化の生物とかいれば話は別ですが」

「ただ生物によっては、怖がられるのがね」

「そうだな・・・」

過去に何かあったのかは分からないけど、深追いはしない方がいいようだ。

「ボクは純粋に錬金術に興味あるから錬金術用の建物が欲しいかな?素材さえあれば何でも出来るらしいし便利かなと」

「それ私も興味ある!やってみたい!」

「我は純粋に汚れや汗や流す場所が欲しいがどうだろうか?」

「そういえば、ここそう言う場所ないね・・・」

「ギルドにはあったね。そこまで、行くのも少し手間か」

ということで、水浴び場、休憩所、錬金術の家を作ることとなった。

「あ、あと、村の子供たちがボク達に懐いてしまったらしく、お世話も頼まれてるんだよね・・・そこで、人気があった本の読める場所も作るつもり」

「ふむふむ、なかなか興味深い話をしていますね。私にも聞かせてもらえませんか?」

「あっ、ノアさんこんにちは。4つほど建物を増やしたいんですがいいですか?」

驚く2人を尻目にボクはノアさんに確認をしてもらう。

「ここは、貴女の土地ですよ。わざわざ確認を取らなくてもご自由にお使いくださればいいのです。強いて言うならこれらを全部、誰でも自由に利用できるようにしてもらえれば、村に来る人々も増えそうですね」

「ノアさんは、どんな物がお望みですか?」

「最初にたくさんやるよりは少し時間を置いてからまた考えるのも1つの策ですよ。のちに必要になった時に足りないなんてなったら目も当てられませんから」

「それもそうですね。とりあえずばこの4つでいいですね」

心の中で、ノアさんがちゃんと長らしい意見を出した、珍しいと思ったのは内緒。

「セイカさん・・・なんか、失礼なこと思いませんでしたか?」

「いや、ちゃんと長だなあ。って思っただけですよ」

「本当ですか?私は、嘘が嫌いなんですよ」

「本当ですって」

「ふむ、ならいいでしょう」

この世界の人は、他人の心を軽々しく読んでくるんだった気をつけよう。

「錬金術にも興味があるようですが、必要なもの手配しましょうか?確か、ラットリーの知り合いに錬金術師がいると聞いたような気がします」

「言ってましたね。ボクの方からお願いしようとしてましたがノアさんから言っていただけると嬉しいです」

「私が伝言しなくても大丈夫そうですね」

こんにちはーと玄関先の方からラットリーさんの声が聞こえてきた。

「みんなセイカさんのこと、気になってるようですね」

玄関のドアを開けるとギルドの制服を着たままのラットリーさんがいた。

「こんにちは。ノアさんもですけど、お仕事はいいんですか?」

「お仕事も何もあなた達2人が来ないとできませんからね。この時間だと、食事する人もきませんし、2人の住む家も気になったので休暇がてらきました。ついでに新居祝いをどうぞ」

「これはこれはどうもありがとうございます。どうぞ、休憩していってください」

「お邪魔します」

ラットリーさんはいつも通りきっちりとした態度をしていたが、ボクたちの新居に興味津々です。

「やぁ、ラットリー。貴女も新居見学ですか?」

「ギルドマスターこそこんなとこで油売ってて大丈夫なんですか?」

「村の発展の話し合いをしているので、仕事ですよ。ラットリーは何かあります?」

「ここにギルドを引っ越したいです。そして、私もここで住み込みで働きたいです」

真面目な人だと思ったら欲にまみれていた。

「それは私も思いますが、そう言うことではなくてですね」

「冗談ですよ、ギルドマスター」

「・・・村のギルドとか診療所もそろそろ新しくした方がいいですかね?・・・」

ノアさんは冗談に聞こえなかったらしいがそれは最優先でやった方がいいと思うボクがいた。

「あら?セイカさんは、錬金術の家って、セイカさんは錬金術に興味があるのですか?興味あるのでしたら、知り合いの錬金術師に声を掛けておきましょうか?」

「実は、その事をお願いしようと思っていました。ただ、すぐにはできないと思いますので、改めて声をおかけします」

「分かりました。知り合いの錬金術師にそう伝えておきます」

ボクたちの家の未来予想図を考えながら話し合いをしていると

「た、助けてください!!!王子が・・・クルーク王子が大変なことに・・・」

怪我を負っている兵士の一言にボクたちの空気は一瞬にして緊張感漂う空気となった。

おはこんばんにちは。作者の清喬(旧セユ)です。

王道異世界ファンタジーはやっぱり見てても、書いてても楽しいものですね。

楽しいんですけど、たまにSNSの広告に対して、「また、なろう系か・・・」とか「もう飽きた」とかって書いている人いますが、ここ以上にいいサイトないでしょうし、その一言で書いている人が書けなくなる可能性がありますし、その人に合わないだけで他の人は面白かったりするのにその一言で読者が減ったりするので、わざわざ口にしたいで欲しいですね。

心の中にしまって、自分と合わないならそっ閉じしてくれた方が作者としてはありがたいですね。

まぁ、僕は完全趣味で書いてますので、何言われようが書き続けますけどね。

ちなみに僕は読者としてもなろう系は大好きですよ。

ここに書いたところで何かが変わるわけではないですが、そう言う人が減ってくれればありがたいですね。

さて、次に投稿されるのは多分、尻拭いの方だと思いますがこっちもまだ続いているので気長にお待ちください。不定期投稿ではありますが、趣味として書くのは楽しいので皆さんも楽しく見てもらえれば幸いです。

それでは、また次回お会いしましょう。

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