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プロローグ

これは自分で1から考えた小説です。

過度な期待はしないでください。


人はなぜ生きているのだろう

人はなぜ死んでいくのだろう

輪廻転生をし、魂が浄化され、新しい生命を受けるため?

後世のために、世代交代を繰り返して家業の繁栄のため?

そんな事を考えながら俺、月下(つきした) 星空(そら)は、目の前の敵、提出期限明日の朝の書類を俺の名前みたいな外の色の中1人、オフィスで黙々と戦っていた。

「あのクソ上司、自分のミスのくせして俺に責任転嫁しやがって」

俺は世間では所謂、ブラック企業と言われる会社に勤めていた。

『この会社は、アットホームな会社です』と言う、決まり文句な企業紹介で人員を増やしていって、来るもの拒まず去るものは逃さずという会社である。

「はぁ〜・・・早く帰ってゲームしたい」

俺は隠れオタク・・・というか、単なるゲーム・アニメ好きだ。

俺にとってのオタクは、フィギュアとかグッズを買い始めたらって思っている。

世間一般からしたら俺もオタクと言うことになるだろうが、フィギュアとかグッズには一切興味がない。

「くそ、自分が1週間提出期限を間違って伝えてたくせに準備をしていないお前が悪いだの、お前が確認しなかったのが悪いだの、挙げ句の果てには戸締まりよろしくって言って鍵だけ渡して自分だけそそくさ帰りやがって・・・」

自分の趣味を楽しむために何年もの勤めて来たが趣味をする時間がどんどん減っていって、仕事に終われる日々が続いている。

「死ぬってどんな感じなんだろうな・・・」

俺の母親は、数年前脳梗塞で倒れたそのまま息を引き取った。

俺はいるはずのない母親に心の中で問いかけてしまっていた。

「あれ?まだ、鍵が空いてる?」

声に出したわけでもないけど、そんな事を考えてしまっていた自分に恥ずかしさを感じてしまった。

「あれ?どうしたんすか、先輩?こんな時間に」

オフィスの入り口を開けて入ってきたのは俺がこの会社で数少ない『いい仕事仲間』と思っている女性の先輩だ。

「ちょっと、そら君まだ残ってたの!」

「はい、これ今日中にしあげないといけないんで」

俺は、クソ上司への皮肉を込めながら答えた。

「これって、アイツが提出期限間違って伝えてたくせにそら君に怒鳴りつけてたやつじゃん」

「そうなんすよ、準備をしてないお前が悪いだの確認しなかったお前が悪いって言われて結局、俺のせいにされたんですよ」

「アイツまたそんなことを・・・そら君、あまり無理しちゃダメよ」

「ありがとうございます。ところで、先輩は何をしにきたんですか?」

「ああー、ちょっと忘れ物をね」

「?わざわざ、こんな暗い中取りに来なければならないものだったんすか?」

「あったこれ」

「ネックレスすか?あー、確かに貴金属なら肌身離さず持っておきたいですね」

「違う違う、よく見て」

「うーん、あこれってプラ板を利用した。プラスチックアクセサリーっすね」

「へぇー、よく知ってるね。そら君こういうのやったことあるの?」

「そうですね。小学校の頃作りました。まあ、俺の場合はブレスレットにしましたけど」

「ホントに見せて見せて!」

「あー、無理ですね。母親が亡くなった時に『大丈夫、怖がらないで、俺が最後まで見送ってあげるから』と恥ずかしながらそんな願いを込めて一緒に供養したもので」

「大丈夫!お母さんにはちゃんと伝わってるよ!私には分かるよ!だってほら!」

先輩は、ネックレスのプラスチック部分を見せてくれた。

「MY CHILD・・・?なんか、名前みたいですね・・・うん?なんか、アンバランスだなーと思いましたけど、よく見たら 『DEAR MY CHILD』って書いてあるんですね」

「そう、お母さんったら最後の最後になって恥ずかしくなったんだろうね、だからこんなに分かりづらくなってるの、可愛いよね」

「でも、それつけるのはなかなか恥ずかしいですよね、『私の大切な子供』の単語しか書いてないネックレスってましてやもう大人ですからね」

「そう、だから首に掛けないで御守りとして持ち歩いてるの」

「そんな大切なものを忘れて行ったんですか?」

「我ながらお恥ずかしい話です・・・普段は、忘れることなんてないんだよ!今日は、ホントにたまたまなの!」

「ホントですか〜?実はいつも忘れてるとか?」

「・・・ねぇ、君は私を怒らそうとしてる?」

いつもの雰囲気とは一転して怖い先輩になった。

先輩は、普段は仲良い友達みたいな接し方をしてくるけど、本当に怒ってる時は上司みたいな口調になる。まぁ、上司なんだけど。

「ご、ごめんなさい・・・調子に乗りすぎました」

「よろしい、それでこそそら君だ」

普段優しい人が怒ると怖いって言うけど、まさに先輩のことを言ってるようなものだと思う。

「そういえば、そら君はご飯食べたの?」

「あー、まだっすね、忘れてました」

「あまり無理はしないようにね」

「ありがとうございます」

「それじゃ、これ以上仕事の邪魔をしないように、私はお暇しますよ〜」

「はい、お疲れ様です」

先輩は、そういうと帰って行った。

「・・・よしっ!もう一踏ん張りだ」


あれからどれくらい経ったのかは数えてないから分からないけど、俺のこの仕事にも終わりが見えてきた。

俺は、画面とにらめっこしながら黙々と仕事を続けている。

背後から近寄る影に気付けなかった。

「えいっ!」

「冷たっ!」

俺は一瞬、何が起こったのが理解できなかった。

「なんだ・・・つまんないのー・・・『ひゃっ!』とか『きゃっ!』とか、女の子みたいな声を期待してたのに・・・」

「先輩、こんな低い声のそんな声なんて気持ち悪いだけだと俺は思いますが?」

「そら君の声はそんなに野太い声ではないし、不意をつけば高い声が出るんじゃないかと思って」

「そうですか・・・で、今度はどうしたんですか?」

「・・・ご飯食べてないって言ってたから軽食を買ってきてみたんだけど、私が入ってきたの全然気付いてくれなくて、ちょっといたずらしてやろうと思ったの、ごめんなさい」

「ありがとうございます。(可愛いかよ!)」

「使った頭には甘〜いものがいいから、そら君が好きなカフェオレを買ってきました。おにぎり3個買ってきたけど全部食べる?」

「ちなみに具は何ですか?」

「シーチキン1個とすじこ2個とカフェオレ2つ」

「・・・先輩も食べるつもりで買ってきたんですね、シーチキンと筋子1個ずつ下さい」

「あ、バレた?すじこ食べたいなと思ってた」

「やっぱりそうだろうと思いました。というか、俺がこのカフェオレ好きなのよく知ってましたね」

「だって、お昼結構な頻度で飲んでたじゃない」

「そうですか?そんなに飲んでないような・・・」

「まぁ、私がこれ好きだから間違いはないと思っただけ」

「ありがとうございます。お礼と言っちゃなんですが、今度ご飯奢りますよ」

「その言葉を待ってました!ねぇねぇ!この新しくできたラーメン屋行ってみたいんだけど、女1人で行くのはなんかいやだから誰か一緒に行ってくれないかなと思ってたの!」

「そこなら俺も行ってみたかったのでそうですね、近いうちにいきましょうか。(可愛いかよ!!)」

「ところで、そら君。もうそろそろ終わりそう?」

「まだ、もう少しかかりそうです。そういう先輩は、こんな俺に油を売ってていいんですか?」

「だって、帰ったところで1人だし・・・だったら、会社の後輩の頑張りを見届ける方がいいかなって」

「・・・見届けるだけなんですね、残念」

「なになに、私に何か手伝ってほしいの?」

「・・・いや、失言しました。というか、手伝って欲しいも何も俺にしか分からない案件なので先輩に手伝ってもらった方が一から教えて行かないといけないのでそっちの方が時間かかると思います」

「じゃあ、私はそら君の応援してあげる」

「いや、恥ずかしいからいいです。それに、ご飯買ってきてくれたり、甘いの買ってきてくれたり、陰ながら応援してくれてますので、もう十分ですよ」

「えー、じゃあ私は何をすればいいの?」

「『何をすればいいの?』って、何もしなくていいですし、そもそも、今先輩はプライベートなんだから別に俺を待ってなくてもいいですよ」

「・・・そら君はか弱き乙女をこの暗い中に投げるつもりなの?」

「・・・さっき、1人でご飯買ってきてくれたじゃないですか」

「あーもう!私はそら君とお話しがしたいの!だから、終わるまでいるの!いい加減気づきなさいよ!!」

「・・・なんか、すみません。俺こう言うの疎いもので」

「こう言うのは、気づかないふりをして付き合ってあげるのが紳士ってやつ?だよ!」

「はぁ・・・?そういうもんですかね?」

「少なからず私は、そう思ってる!」

「さて、お待たせ致しました。終わりましたので帰りましょうか?」

「後始末はOK?窓の鍵もOK?会社の入り口の施錠もOK?」

「OKですよ・・・どこの自衛隊ですか?先輩」

俺と先輩はそれぞれ会社からそう遠く離れてない所に住んでいて徒歩で通っている。

先輩を家まで送り届け、俺は帰路についた。


それから、俺はいつもの生活を続けていた。

上司に怒鳴られ、同期と上司の愚痴をぶつけ合ったり、先輩と駄弁ったり、ご飯を一緒に食べに行ったり、家に帰ってゲームに没頭したり、寝落ちしてたり。

「あっそう言えば、MMORPGの新作が出てるから古い友人と一緒にやろうって、約束してたな・・・まぁ、とりあえずある程度進めてからパーティ組むべきだよな」

俺は、そのゲームをインストールしながら、友人とSNSを通じて、始めた事、序盤での攻略法とかを軽く聞いて慣れてきたら自分なりに進める。

インストールが終わり壮大な音楽が流れ始めたため、俺はテレビと向き合うのだった。

「なるほど。これは、自キャラ作成してから始まるタイプのゲームか・・・こう言うゲームって俺、キャラクリに時間かかるから手っ取り早くそのゲームのキャラを操作する方が楽。キャラクリできるゲームも好きだけど休みの日とかにやりたいな・・・しかもこう言うのって装備とかアクセサリーって女キャラはすごく手が込んでるけど、男キャラのは適当というか残りの力を使い果たしましたー。みたいな感じになってるから、なんか嫌なんだよなー」

まぁいつものことながら俺は、友人の好みのキャラにしてやるという少しばかりのご褒美をやっている。

ただ、こう言うキャラにすると中身も女の子なんじゃないかと勘違いされ、ゲーム内でのナンパしてくる所謂出会い厨のターゲットにされる。

誤解されないようにチャットの口調を中身のままにしても「俺っ子だー」とか「男の娘だー」とか言ってくる。

オンライン、恐るべし。

「・・・俺もこんな感じでHP回復とかMP回復とか出来れば、もっと人生楽しいんだろうなー」

こんな碌でもないことを呟きながらゲームを進める。

友人とは「最低でも中回復魔法を覚えてからパーティを組もう」という謎ルールがあるためそれまではソロプレイだ。

「おぉ・・・早速出会い厨のお出ましだ」

こう言うのは無視してブラックリストへシューーートが最善手である。

「くっ、さすが回復&サポート役、攻撃が弱すぎる」

基本的に序盤は、魔法使いと回復役は似たような技を覚える、異世界転生ものでいう下級魔法だ。

でも、攻撃魔法特化と回復魔法特化ではダメージ量に少し差が出てしまう。

「こういうゲームの魔法使いってMP回復系の魔法って終盤に出てくるんだろう。HP回復みたいに序盤からどんどん回復量が増えていくような仕様にならないのかな?MP切れたら使い物にならないから1人だとキツイのよねー」

俺は、誰もいない部屋の中で1人呟いていた。

試練という名の回復役のレベル上げを進めていき、ついに中回復魔法を覚えた。

「よし、こんなもんか?さてアイツはまだ起きてるかな?」

ここまで来ると戦闘の立ち回りや敵の動きなどが分かってくる。まぁ、出会い厨は変わらずくるけど。

友人は、クエストが終わって少し休憩をしていたようで、すぐに個人チャットで返信が帰ってきた。

空『どうも・・・私、星空せいかよろしく』

友人のキャラがこっちを向き2テンポくらい遅れて返信がかえってきた。

友人『・・・ジト目ロリ、サイコ-・・・_(:3 」∠)_パタリ』

空『・・・おい、お前は中身知っているだろ?なんだよ、その反応』

友人『すまん・・・ボイスチャットじゃないから俺の脳内声優が勝手にアテレコをしてしまって俺の望む、ジト目ロリヒーラーが完成してしまった・・・』

空『ふむ・・・今回も気に入ってくれたようで何より』

友人『お前、そのキャラクリなら姫プレイができるぞ』

空『はぁ?やだよ、なんで血に飢えた獣みたいな男の相手しなきゃいけないんだよ。出会い厨めちゃ来たけど、全部無視のブラックリスト行きだよ』

友人『まぁ・・・そのキャラ性癖の塊みたいなもんだから』

空『お前・・・これはお前のモチベーション維持のために作ったキャラだぞ、そんな言い方だと自分の性癖を否定しているもんだぞ』

友人『俺には褒め言葉だから』

空『うん、いつも通りだな』

友人『というかあれだな、多分急ピッチで進めてくれたかだと思うんだけど、ヒーラーに汎用装備はキツいから今から特化にしていくか、後、これからやる時は大体俺とパーティ組むだろうからスキルツリーも特化にしたほうがいいぞ』

空『そうだな、俺は基本的にお前とパーティ組むだろうしお願いするわ』

友人『・・・お前そのキャラに口調を似せてるわけじゃないよな?中身は、なんも変哲ないただの男なのに声が聞こえないせいで、俺の脳内声優が・・・』

空『何を言うこれは素だぞ』

友人『お前に変な感情を抱くから、ボイスチャットにしようぜ・・・そっちの方が連携も取れるしな』

空『俺にはそんな趣味はないとだけ言っておくぞ。確かに、そっちの方がいいな』

友人「よし、準備完了。そっちは?」

空「こっちもOK。お前のキャラでその声ってなんか違和感」

友人「・・・おい、こっちからしたら見た目ロリなのに声は立派な男の声なんだぞ。しかも、男のヒーラー・・・夢壊れるわ」

空「確かに、ヒーラー=女ってイメージ強いよな・・・」

友人「でも、リアルのヒーラーなんて中身は男だよ。アレは、普通のゲームとかアニメだけだよ」

そんな、オンラインゲームあるあるを言い合いながらゲームをやっていた。


友人のおすすめにしながらスキルツリー、武器防具を揃え終わった頃、もうすでに日付が変わっていた。

空「ふぅ、とりあえずひと段落ついたか?日付も変わってるし、そろそろ落ちないと明日?もう今日か・・・支障が出るな」

友人「社会人は大変だなー。俺は、依頼が来た時くらいしか仕事しないし、ずっと家にいるから」

空「そういうの憧れるなー」

友人「依頼が来たら大変だぞー。会社に所属しているわけじやないから、何かあったときダイレクトに自分にくるからなー」

空「あーそうか。それはそれでやだな」

友人「だろ?あ、ちなみに必須であるようなスキルツリーや武器防具の効果付与はそんな感じ。あとは、自分の好きなように

やってくれ」

空「了解。いつも、サンキュー」

友人「そのかわり、俺が飽きるまでこのゲームに付き合って貰うぞ」

空「もちろん。そろそろ落ちるよ。じゃまた」

友人「ほーい」


それからは、上司に怒鳴られたり先輩と愚痴をいいあったり友人とゲームをしたりの繰り返しの変わり映えのない生活をしていた。

楽しいと思うこともあるが改めて考えると普通すぎてつまらない。だから、俺は普段絶対に通らないような道で帰ることにしよう。

変わり映えの日常に対しての少しばかりの抵抗をして見よう。

「ここら辺の地域は比較的治安がいいから誰もいないだろうけどね」

大通りの横にある小さな道、所謂、路地裏を通って帰ることにした。

少し進むと何も無い・・・と思いたかったけど遭ってしまった、いや、会ってしまったと言った方がいいかもしれない。

家と家の間に立ちすくむフードを目深く被った人の姿が。

(確かに変化を望んだけどこれは予想外・・・これは、この世に存在してはいけないモノなのか、それとも何かのやばい宗教なのか・・・まぁ、触らぬ神に祟りなし、無視しよう)

「そこのお兄さん」

「なんですか?」

前を通り過ぎようとしたけど、声をかけられて反射的に反応してしまった。

「え、えっとなんですか?」

俺が全身から警戒の意を示していることに気が付いたのか。

彼女は「はっ」としながら素顔を表に出した。

「ごめんなさい。こんな、怪しい格好してる人にいきなり声を掛けられたら警戒もしますよね」

「まぁ、そうですね。俺は、一目散に逃げ出したい気持ちでしたよ」

「驚かしてしまいましたね」

「はい、ものすごく」

「・・・はぁ、日本人って謙虚って聞いてたから『そんなことないですよ』とか『大丈夫ですよ』とか言うものだと思っていたのだけど、あなたはストレートに言ってくるのね」

「ははっ、何か勘違いしてるようですが表向きは謙虚にしてるだけで本来こんなもんですよ」

「でもまぁ、そっちの方がいいか・・・じゃあ本題に入りますね。独自に調べているのですが、あなたは死ぬというのはどう言うことだと思いますか?」

「いきなりすごい質問してきますね。それ、答えてくれる人ほぼいないでしょう・・・」

「そうですね、あなたで2人目です」

「逆に俺以外に答えてくれる人いたんだ。死ぬことによって穢れた魂が神の元へ行き、浄化されまた新たなる器と魂によって生まれ変わるものだと思います」

「それはそう言われてるからじゃなくホントにそう思ってるの?」

「俺はそういうの信じてますよ。幽霊とか神の存在、平行世界の存在、この地球以外にも『奇跡の星』があって同じように人型の生き物が生存してると」

「なるほど、よく分からない質問に答えてくれてありがとうございます。お礼にこの粗品をプレゼントします」

「?なんですかこれ?QUOカード2枚?いや、違う『キャラクタークリエイト券とスキルゲット券』?あのこれ?まぁ、粗品としては嬉しいですが、なんのゲームで使えるんですか?」

顔を上げるとそこには誰も居なかった。俺が座っていたイスも使っていた机もそして、美しい女性も。

「あれ?誰もいないし何もない・・・なんだったんだろう?夢?でも、このよく分からないカード貰ってるし、まぁ、使えるゲームを探すかー」

路地裏を通り過ぎたら、見知った道に出た。軽い近道だったようだ。

「おおー、怪しい女性以外は何もなかったし、ここの道を通るのもいいかも・・・にしても、あの人は何だったんだろうこんなカード渡されても・・・」

(にしてもなんか眩しいな、そんな強い明かりなんてないのに)

カードが光り、ホログラム的な文字が浮かんできている。

「おわっなんだこれ!何々、『女神の・・導きし・・聖礼』?あれ?なんかまだ光が・・・」

赤信号にも関わらずスピードを落とさない車がすぐ目前に迫ってきた。瞬間、ものすごい衝撃をくらい全身から信じられない激痛が走った。一瞬、見えた運転手は力無くだらけていて何かの持病の発作で意識を失ってしまったのだろう

「・・・っ!(あれ?声が出ない・・・体も動かない・・・意識・・・が・・・と・・ぶ)」


「痛ってーーーー!!!声も出せない・・・ってあれ出せる?」

「おはようございます。星空そらさん、まず先に謝らせてください。申し訳ございませんでした。」

聞き覚えのある声の方見ると怪しい女性がいた。しかし、頭の上に光の輪と背中には立派な白い羽、目の色は綺麗なエメラルドグリーンと全く違う姿でいた。いかんせん、真っ白い服で身体のラインがはっきりと分かるし、胸元は大きく開いてるような服、ワンピースの服なんだけど太ももの上の方までスリットが入っていて左太ももが丸見えで、ああいう薄い布地だとパンツの形が浮き出ることが多いがそれが見えない。

(まさか・・・ノーパン?)

「・・・女神様の正装ってそんな何ですか?」

「・・・・・・あのねぇ・・・ここは神域貴方の思ってる事、全部、私に伝わってくるの、下着は肩紐が付いてないやつと浮き上がるのが嫌だから目立たないようにしてるの!」

「なら遠慮するしたよう無いですね。そんなエッチな格好して俺を誘惑してるんですか?お詫びとしてご奉仕してくれるんですか?」

「そ、そんなわけっ・・・!いや、でも私がしたことはそれくらいしないと許されないことなのかな?」

「・・・それで、謝りたいこととは?」

「あ、ごめんなさい。えっと、人間というのは生まれながらに大体運命が決められているの、生活、人間性、環境によってね。一生の中で、選択肢は数多くあるのは分かったでしょ」

「はい、なんとなく」

「で、平行世界は選択肢の数だけあると言われているの。路地裏の時の答え合わせね」

「あっ、やっぱりか」

「そして、ここからが本題なんだけど、人は運命が決まってるって言ったよね」

「はい、言いましたね」

「実は貴方はどこの平行世界でも路地裏で私とあった時より遅かれ早かれ半日のうちに死んでしまっているの・・・だけど、この世界の貴方はヤンキーの溜まり場でも強姦にあっている人がいない時にあの路地裏を通って死なないというイレギュラーが発生した」

「えっ?でも、俺死にましたよ」

「そう、貴方は死んだ・・・いや、私が死なせたの・・・『貴方が生きてる運命があってはいけないから』って、私が貴方と逢わなければ幸せな運命だったのに・・・」

「確かに、俺が事故に遭った原因って、あなたから貰ったガードだったから、だけどそれは女神の仕事なんでしょう?それに、俺が死んだところで誰も悲しまないから」

「・・・誰も悲しまない?何を根拠に言えるんですか?」

「いやだって、母親はもう居ないし、父親に関しては生きてか死んでるかもわからないし、兄弟はいないし・・・あ、でも、昔ながらのゲーム友達くらいかだと思います」

「・・・本当にその人だけだと思ってる?」

「?はい、思ってます」

「・・・はぁ、鈍感さんですね。ねぇ、鈍感さん。まだ生きてる人は故人に対して何かしら供養してくれますよね」

「しますね。現に俺もしましたし。あと、鈍感いうな」

「じゃあ、鈍感さん、これに心当たりはありますか?」

女神様が取り出したのは、先輩と俺が前に話したネックレスだった。

「へぇー、俺以外にもそのネックレスを供物として使う人いるんだ」

「・・・貴方は、本当に気づかないんですか?鈍感さん」

「何がです?だから、鈍感いうなって」

「これは、紛れもなく死んだ貴方の供物として『先輩』がわざわざ作ったやつですよ。・・・話がそれましたね。こちら側の都合で生きれるのに死んでしまった貴方に特別なご案内です」

「俺が鈍感?そんなわけ・・・」

「・・・聞いてますかー?鈍感さ〜ん、これから貴方には未練を残されてもやなので、技術が発展せずに魔力行使に発展してしまった世界に行って第二の人生を歩んでもらいます。特に、何かの使命はなくその世界で自由に生きてもらいます」

「魔力行使が発展した世界?それってつまり・・・」

「そうです。貴方の好きなゲームみたいな世界です。魔王を倒すとか世界を平和にするとかそんな重っ苦しー使命などはなく自由に生きて貰います。というか、これから行く世界は魔王とか悪魔、魔族その他諸々の種族がみな共存してる世界です。まぁ、戦争とか人種差別はありますけどね」

「自由に生きれる世界?」

「そうです。仕事するのもよし、冒険者になるのもよし、機械文明の立役者になるのもよし、貴方の好きなように生活してください。これなら、私のご奉仕より嬉しいでしょう?」

「はい!もちろん」

「それでは、私が路地裏で渡したカードを出してください。貴方の好きな容姿と一つだけスキルを授けます」

「あれってそういうやつだったんだ。だけど、未だに自分の好みって分からないからいきなりそんなこと言われてもなー」

「今まで成長した中で自分がいいなと思う姿にもなれるし、自分の作ったゲームのキャラクターにもなれるプリセットもありますよ」

「そんなこと言われても覚えてないよ・・・プレビューとかは?」

「有りません。貴方の記憶にある姿だけになります。だって、そもそもこれは自分の好きな容姿になれるものですから自分の記憶に忠実なんですよ」

「・・・要するにキャラを一から作ること前提なんですね。うーん・・・少なからず嫌だと思う姿は思いつかないし、ランダムでいいです」

「本当にランダムでいいんですね。普通は一から作るのに・・・」

「それで問題ありません。入るたびにステージが変わるゲームを攻略するのが俺と友人の楽しみですからね」

「分かりました。あっちの世界に行ってからのお楽しみということですね。次はお好きなスキルをどうぞ」

「それならもちろん、ヒールマスタリーです」

「・・・貴方って結構、図々しいよね。まぁ、あれもスキルだし問題ないけど・・・ただ、人前ではむやみに使わないことをおすすめしますよ。はい、これで向こうの世界で行使できるようになりました」

「えっ?通るのそれ?言ってみるもんですね。ありがとうございます」

「これで、向こうの世界にいつでも転生可能ですよ。今すぐ、転生しますか?それとも。もっと私と話したいですか?」

「うーん、女神様とのお話も捨てがたい・・・けど、向こうの世界が気になりすぎる」

「冗談で言ったつもりが悩まれるとなんか申し訳ないけど、そろそろ時間ですよ」

「冗談だったの?」

「もちろん。あっ、ちなみに一文なし状態だと可哀想なので、目が覚めた場所の少し離れたところに本とか色々ある空き家があるのでそこが貴方の所謂実家にあたるので好きなように過ごして下さい」

「それは、ありがたい。それでは女神様、色々お世話になりました。さようなら」

「はい、さようなら。最後に転生祝いと言うか貴方が持つべきものですが。これには、私の加護を付けたのである程度なら貴方を護ってくれると思います」

転生する直前に渡されたのは先輩が供養してくれたと言うネックレスだった。

『I LIKED YOU(私は貴方が好きでした)』と書いてあった。

「さようなら・・・鈍感さん、今度はしっかり相手の気持ちに気付けるといいね」

目も眩むような真っ白な空間に包まれてあまりの眩しさに目を閉じてしまった。


再度目を開けると俺は大草原中にある石碑のようなものに腰掛けていた。

「・・・先輩は俺のこと好きだったんだ・・・俺も好きだったのかな?」

ネックレスを見ながら思いふけていた。

(というか何か目線低くないか?さっき、ふと出た声は高い声になってたし、ネックレスに反射する俺の顔はジト目のロリななって・・・)

「うわぁーーー!!!何だこれ確かにランダムって言ったけどよりにもよってこの姿かよ!」

俺は、可愛いジト目ロリになって転生をしてしまった。

どうもセユです。ちょっと寄り道中。

最近、異世界転生+俺つよ系が好きでそう言うのしか思いつきません。

というわけで、書いてみました。

今回の話は、異世界ものだけど、異世界の話は全然ないという。

所謂、エピソード0みたいな感じです。

相変わらず不定期ですが、並行して書いていこうと思います。

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