第一話 スライムとの出会い
今回から小説を書き始めましたー、『風哩』と言います
どうか温かい目でこの小説を見ていってください!
俺は殺されかけている。こんな大勢の人がいる広場の中心で。それを心配そうに、怖がりながらこちらを見つめている。
「おい!!絶対にお前だろうが!!!おい!!おい!!俺の、俺の『子供』!!俺の『子供』を殺したのは!!!お前だろ!!!」
怒りの感情が爆発している男。何を言っても無理だ。
「何も知らない!!知らないって!!」
男は俺の首を絞めた。俺は中学生であまり力がない、反抗できない。
「しんどいだろ!?これが俺の子供が味わった苦痛!!!痛み!!!それを今から理解しろ!!おら!!」
「殺してない!!俺は全くの無関係だ!!」
「嘘つけ!!うる覚えだが、お前の姿だったんだよ!!」
「違う!!俺じゃない!!」
俺が必死に訴えている間も周囲は「警察呼ぶ?」や「助けないと」と声が飛び交うが誰も行動しない。誰も行動しない中、黒いスーツを着た男のサラリーマンがこちらに向かってきて、間に割り込んだ。
「その手を放せ!その子は関係ない!」
「部外者が……お前には……何も理解できない、分かんねえんだよ!!引っ込んでろ!!こいつに苦痛を!!俺の子供と一緒の痛みを与えるだけなんだよ!!!」
男はサラリーマンを蹴り飛ばした。サラリーマンはすぐ受け身を取り、警察に連絡を入れる。
「ちっ、そろそろお時間か」
そう言って男はポケットの中から包丁を取り出す。
「おい!!やめてくれよ!!何するんだよ!!!」
「あ?何するか分かんねえのか?中学生だから分かんねえか!?俺の子供と同じ痛みを味わえ!!」
その瞬間、鈍い音がした。不快な音。胸元を見ると包丁が刺さっている。この男に刺されたのだ。
「何も……俺は何にもしてない……!」
意識がもうろうするなか必死に抵抗をする。
「抵抗しても無駄なんだよ!!もう遅い!!」
さっきの抵抗でもう力がない。もう出せない。体の内側が熱い、熱い。もう俺には何もできない、何も。
―――俺……もう終わりなのか?
中学校生活、まだあった。学園生活、青春を楽しみたかった。高校にも行きたかった。それなのにこれだ。もう無理だ。
―――手遅れ……か―――
視界が黒くなっていく。ほんの僅か聞こえてくる警察官の声、パトカーや救急車のサイレン。周囲の人のざわめきも聞こえてくる。助けももう遅い。
「もっと生きたかった……生きたかった!!!」
誰にも聞こえない声で叫びながら意識は消えて行った。目からは1筋の涙を流しながら。
ぺちゃ、ぺちゃっと、柔らかい何かが顔に当たっている。死んでいるはずなのに。手足の感覚がある、
「あ……しゃべれる」
俺は静かに目を開ける。するとその目の前には―――
「ス、スライム!?」
現実ではありえない存在、モンスターがいた。
―――ここは―――
俺の視界に広がった景色、それは海だった。
「………?……う、海!?」
驚きのあまり立ち上がって海をじっと見つめた。太陽の光が反射して海の色がきれいに見える。まあ、それにしても―――
「殴りすぎだよ、お前!」
足元をずっとぺちゃぺちゃと殴り続けるスライム。殴ってこないように両手で抱き上げる。
「それにしても、海って久しぶりに見たな……」
包丁で刺されたりする前、5歳まで両親に嫌われずっと行きたいところも行かせてくれなかった。初めて見た時もほんの数分。直接目で見るのは本当に久しぶりだ。
「こんなに綺麗だったんだな……」
そう感動していると、まだ俺をひたすらに殴り続けているスライムがいた。
「……かわいいな、お前」
小さい赤ちゃんを見ている感じですごくかわいく思い、少しだけなでてあげた。
「そうえばここはどこなんだろう。そこらへん、探索してみるか」
スライムを抱えたまま、俺は近くを探索した。スライムも急に殴らなくなり静かに一緒に探索した。
「まずここには原木……砂浜……漂流物……森……待てよ?ここは……」
「そう、ここは島」
見知らぬ声が聞こえる。周りを見渡すが人の姿はまったくいない。少し恐怖を覚えながら周りを何回も見渡す。しかし何回も聞こえてくる声。
「ここだよ、ここ」
もしや、と思い抱えているスライムを見る。
「……お前?」
俺は半信半疑でスライムに問いかけた。
「そうそう、君が持ってるスライムだよ」
ちょっと待て……スライム、ゲームではよく見るモンスターだけどさすがに―――
「スライムってしゃべるっけ?」
今、目の前で起きている状況に戸惑いつつ問いかける。すると当たり前のように。
「しゃべらないよ?」
じゃあこの目の前で起きていることはどういうことなのか。自分がスライムでしゃべってるのに、自分しゃべらないよなんて矛盾している。
「まあ、自分は他より『レベル』が違うからしゃべれるってこと!」
スライムはかなり自慢げに言ってくる。少し腹が立ち、1回殴ってみようかなと思ったときスライムは話し始めた。
「それじゃあ本題に戻るけど―――」
ああ、すごいしゃべる。こいつスライムなのか疑わしいな。殴るんじゃなくて、両手離して落とそうかな。本気でやってやろうと思ったとき。
「なんでここにいるの?」
そう問いかけてきた。
「そう言われても、いつの間にかというか、なんというか……」
どう返答すればいいか悩んでいると、少し声のトーンを低くして真剣に言った。
「ここには、絶対に入って来れないはずだよ」
「ど、どういうこと?」
俺は首を傾げる。スライムは、いやだって、と言いながら。
「この島には『結界』が張ってあるから入れない、そもそも結界でこの島の姿が見えないから冒険だと言って入ってくる人はいない」
重要そうな場面だが、少し心を躍らすような単語があった。
「『結界』って、ま、まさか……魔法?」
「そうだけど……」
スライムはこれも当たり前かのように即答。魔法、なんていい単語なんだろうか。俺が夢にでも見ていた魔法。現実であれば中二病だと言われる類のもの。それがある、感動以外ない。
「な、なに感動してるの?」
「い、いや、何でもない」
恥ずかしさのあまり普通に返事をする。何事もなかったかのように。すると、スライムは俺が抱えていた両手から降り、背後にあった森の中へ向く。
「あ、そうそう、君の名前はなんでいうの?」
そうスライムが告げる
「俺は、川内 風哩だよ」
俺はそう言ったがスライムは
「ふーん」
と興味なさそうに言った
「まあ、事情は後で聞くから、とりあえずついてきて」
そう言ってスライムは森の中に入っていく。
「ちょ、待って!」
俺はそのスライムを後から追うように森の中へ入って行った。
第一作目どうでしたか?
今のうちにブックマークやら評価☆5を押しておきましょう!!!!!
そしたら、来年いいことあるよ!!!
(ゆり)