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第2話

あの隊長が、これに気づかなかったのか? 


きっとそんなはずはない。


わざと見逃したか、問題ないと判断したのかもしれない。


それとも、データだけとって放置された?


7×15㎝程度の装置をセットする。


レーザー照射により、層になった傷の解析を始めた。


俺はPCの前に座って、その結果を待つ。


竹内はいつものように、何かのセッティングに夢中になっている。


イヤホンから音声が聞こえてきた。


「……だけど、それじゃあ……ガガッ……ギ、ギー……」


どうしても雑音が入る。


キュルキュルというノイズの排除レベルを上げても、かなり聞き取りにくい。


俺と竹内のくだらない雑談も残されている。


「えぇー! どうして? なんだよぉ……それ……」


「バカか。重人、おま……カツ丼の……」


サンプリングとして記憶されている、いづみと飯塚さんの音声だけに絞って、抽出させる。


「だからそ……れは……アールグレイよりもアッサムの方が……」


「かつてのミルスターとDSCSが……商用衛星の80%の……、NICTの地上低軌道間で衛星間通信量40Gbps級の……」


不意に、鮮明な音声が入ってきた。


「……俺は、今進めている改修作業には反対なんだ」


「でもそれは仕事なんでしょ? 命令と同じよ」


「もちろんそうだ。俺が選ばれたことは名誉だと思ってるし、信頼の証でもある」


「じゃあいいじゃない」


「隊長とも話した。だけど隊長は……」


耳を切り裂くようなノイズに、思わずヘッドホンを投げ出す。


胸の鼓動が早い。


呼吸が乱れる。


俺はもう一度、それを装着した。


「……もし、これを聞いているとしたら……、お願い、私には……」


いづみの声だ。


それは、いづみが俺たちに残したメッセージだった。


「あの人を助けて。隊長、竹内くん、磯部くんも、お願い。私たちはこれから久谷支部のサーバ-を沈める。軍事衛星を機能停止に追い込み、国営放送をジャックする。水道局のシステムを掌握する。電力もよ。最終目標は天命の破壊。そのウイルスデータは残せたら残す。探して。それからあの人は……」


「出来たぞ、重人。こっち来い」


竹内に呼ばれて、俺は立ち上がる。


「隊長から送られてきた、特別装備だ」


それは天命からも独立したシステムだった。


天命が機能停止に追い込まれ、特殊状況下におかれた場合にのみ起動する。


「飯塚さんの最終目的はこれだ。派手に登場させて、部隊ごと解散に追い込む」


「俺たちの存在を、公にするつもりか」


「改修メンテナンスのプログラムを組んだのは飯塚さんだ。操作方法がどれだけ変更されているか、想像すら出来ない」


「こんな話、誰が信じるかよ」


「だけど現実だ」


竹内は、じっと俺を見つめた。


「俺たちはこれを、公にするわけにはいかないんだ」


『○月○日14時、東京都庁から巨大ロボットを出現させる』


 IF03からの最終予告が、ネットに公開された。


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