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第4話

「俺たちじゃ役に立たないって?」


「さぁな。……俺にだって分かんねぇよ」


飯塚さんの暴走に気づかなかった。


ずっと一緒にいたのに、全くそんな素振りすら感じなかった。


いつもにこやかに穏やかな微笑みをたたえていたあの人は、今はもういない。


竹内の横顔も暗く沈んでいる。


俺たちは、#本当に__・__#知らされていなかったんだ。


隊長はそんな俺たちに、「帰れ」という。


バス停へ向かう俺たちの足取りは重くて、何の言葉も交わせなかった。


朝の空はどこまでも高くて、始まったばかりの一日を手放しで祝福している。


途中の自販機で、新商品のチョコラテを見かけた。


一度自販機を軽く蹴る。


その音の違いで、本物の自販機かどうかを見分けられるようになっていた。


二つ買ったその片方を、竹内に差し出す。


「嫌味か。コレ、前に俺が勝手に飲んだって、お前が怒ったやつだろ」


「一緒に飲みたかったんだよ」


天命の混乱は続いている。


次々と侵入と攻撃を繰り返すハッカー集団。


警察や消防、自衛隊管理システムや官庁へのハッキングと乗っ取り。


天気予報や時刻表を書き換えるいたずら。


それら全てを未然に防ぎ、また修復し元に戻す。


いつもの業務が3割増しで、CPUに余裕はあっても、メモリは80%にまで達していた。


これは天命の能力として、危機的な状況だ。


「いいよなぁ、空って。いっつも青くって……」


そんなどうでもいいことをつぶやいて、竹内に声をかけようとして、やめた。


端末の画面から一切目を離すことなく進むこの横顔に、何を言っても無意味なような気がする。


青と白だけの世界に、シミのような黒い点が舞っている。


俺たちを見下ろしてでもいるのだろうか。


そのシミは旋回しながら徐々に降下し、やがて一羽のカラスとなった。


緊張が走る。


竹内も気づいている。


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