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第2話

俺の本能は殺気立つ。


竹内もだ。


彼は端末をポケットに差し込むと、黒縁眼鏡型高性能センサーのブリッジを持ち上げる。


それは例外なくいつだって、戦闘開始の合図だった。


ペットショップの自動ドアが開く。


出てきたのはいづみだった。


手に箒を持っている。


彼女は静かに辺りを警戒していた。


俺たちはカーブミラーの死角に入っている。


手にしている竹箒。


一見そう見えるものは、操作スティックに間違いない。


高感度温度センサーを備え広範囲を瞬時に探知し、対象を発見すれば振動でそれを伝える。


彼女は店の前を掃除するフリをしながら、ここにある全ての機能を操作していた。


「……来たのね」


頭上カーブミラーの首が動く。


瞬時に飛び退いたその位置を、レーザー光線は貫いた。


彼女は竹箒をくるりと一回転させると、それをさっと大きく横に振る。


消火栓からの水が、間欠泉のように噴き出した。


「くそっ」


体が濡れるのはマズい。


箒の柄から何かが飛び出し、すかさず頭上の電線を切った。


切れた線の先は、蛇のように鎌首をもたげる。


それは竹箒の動きと連動していた。


「それ以上、近づかないで」


「話をしに来たんだ。飯塚さんはどこだ」


彼女の視線は、ゆっくりと静かに落ちてゆく。


元々表情の変化に乏しく、感情の読み取りにくい人だとは思っていたけど、それは更に強化されているような気がする。


「ちょうどよかったわね。直接話せば?」


カーブミラーの鏡面が切り替わった。


「どうした、いづみ!」


その丸い画像の中に、飯塚さんはいた。


「あなたを迎えに来たそうよ」


ミラーの首が動く。


飯塚さんはチッと舌をならした。

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