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第2話

「体力が落ちてるな」


「最近走り込まされてないから」


用意しておいたビラを握りしめる。


ピンクの毛むくじゃらの手の中で、それはぐしゃりと音を立てた。


夜の繁華街は人であふれていた。


東京の街は着ぐるみ人形の徘徊を許している。


監視カメラの目も、着ぐるみの中の人物までは特定出来ない。


俺たちが選んだゲーセンは、R38の立ち寄った漫画喫茶の目の前だった。


ここでビラ配りのフリをしながら、一つしかない正面出入り口を見張る。


交代しながら数時間を費やしたが、なんの収穫も得られなかった。


俺たちは着ぐるみのまま路上に座り込む。


「夜でもあっちーな、やっぱ」


「竹内、脱ぐなよ」


「分かってるよ」


俺はピンクウサギの毛むくじゃらの足で、路上に捨てられたたばこの吸い殻を踏みつけた。


「あーぁ。どうせならもっと楽な仕事がよかったよなぁ~」


竹内がつぶやく。


「楽とは?」


「外に出なくてもいい内容」


「それ、いっつも言ってるよな」


汚いリスのくせに、俺を見て笑う。


なんとなくつられて、俺も笑った。


そういう俺も、薄汚いピンクのウサギだ。


飯塚さんは出てこない。


本当にここにいるのかどうかも分からない。


俺たちはかわいらしいウサギとリスで、誰にも見向きもされていない。


夜なのに明るい街で、忙しく座っている。


「ここで何をしている」


そんな永遠にも思えた時間は、一瞬にして過ぎ去った。


現れた隊長は人気有名ゲームキャラに扮している。


怒りに満ちあふれていた。

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