表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/117

第2話

「あ、バイトの面接かな? こちらへどうぞ」


レジ台の向こうから声をかけてきたのは、あの時のトレンチコートのおっさんだった。


ヨレヨレの薄汚いスーツから、爽やかな制服に変わったせいだけじゃない。


全くの別人のように感じる。


あの時の人物と、いま俺の目の前にいるこの人物とが、とても同じ人間だとは思えない。


だけどこれは、現実だ。


「こちらへどうぞ」


促されるままに、俺はコンビニのバックヤードへと侵入した。


白で統一された狭い通路に、本部との連絡をとるためのパソコンが置かれている。


画面では、商品の注文、発送状況などが写し出されていた。


「こっちだ」


壁に設置されたエアコンのコントロールボードを開く。


『冷房』『暖房』温度調節の『△』『▽』やらなにやらが並んだボタンを、彼は軽快に連打した。


目の前のただ白かっただけの壁が、すうっと音もなく床に吸い込まれる。


「ようこそ、サイバー攻撃特別捜査対応専門機動部隊、久谷支部へ。磯部重人くん、君は今日からナンバー08だ。我々の一番新しい仲間として認められた」


壁の向こうには、地下へと続く階段が収納されていた。


その細いらせん階段を下りると、上のコンビニとは桁違いの空間が広がっている。


壁一面に設置されたディスプレイには、街中の至る所に設置された久谷支部管轄の監視カメラ映像が流れている。


大通りはもちろんのこと、住宅街から公共施設、水道局や公園、学校にいたるまで、余すことなく全てを撮影していた。


「貴様か。俺のセキュリティ突破最短記録を脅かそうとしていたのは」


竹内秀樹、28歳、ナンバー05。


俺と年齢だけは同じらしい。


黒縁のめがねに長く伸びた前髪が目元まで覆い尽くそうとしている。


ほっそりとした体つきだが、太い骨格に無駄のない筋肉がしっかりと備え付けられていた。


きゃしゃなように見えて優れた体幹の持ち主だということは、見る人がみれば分かるだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ