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第2話

飯塚さんの潜伏先を想定しようにも、何も思いつかなかった。


過去の行動記録から予測するなんてことは、とっくに本部のAIがやっているだろう。


それでも見つけられないとなると、もう手の打ちようがない。


いそいそと出かける母も見送って、ようやく家の中は静かになった。


食洗機のスタートボタンを押して二階に上がると、パソコン前で寝転がる。


昨夜、夜通し竹内と話し合い、出てきた答えはなにもない。


確かに人間の声であるのに、無機質に読み上げられた声明文がまだ耳に残る。


どうしてこんな反乱を起こそうとしたのか。


あの人の孤独と悲しみは、どこにあったのだろう。


4畳半PCルームのかび臭さまで、そのまま俺に染みこんでくるようだ。


いつの間にかうとうととして、ふと階下から聞こえる声に目を覚ました。


母の声と共に、聞き慣れない男女の声が聞こえる。


気がつけば時計は15時を回っていた。


来客があると言っていたのは、このことか。


上半身を起こして、凝り固まった体をほぐす。


ふいに窓の外に、黒い影が横切った。


その影はひさしの上にぴょんととまって、跳びはねる。


「……R38?」


俺は慎重にガラス窓を開けた。


背中に小さなボックスを背負った、一羽のカラスがとまっている。


俺に個体の区別はつかない。


もしこれが本当にR38なら……。


「おいで」


そう言いながらも、慎重にマウスを操作した。


R38はいづみに訓練された特別なカラスだ。


人語を解し、翻訳機を通して意志疎通出来る。


その研究を行っていたいづみは、飯塚さんと姿を消した。


間違いなく行動を共にしている。


R38への行動指示は、いづみだけの特権事項ではない。


俺にだってやろうと思えば、黒い羽根はなくてもあのボックスを介して出来る仕組みだ。

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