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第16章 第1話

散々話合いをするも結局結論はでず、明け方を十分に過ぎてからようやく帰宅した。


とっくに俺への関心を失った父は仕事に出かけ、都庁勤めのよく出来た姉は、ピシッと決めたスーツに身を包んでいる。


「重人はまた昼夜逆転生活してんの? コンビニのバイトはいつまで続ける気なのよ」


ヘアスプレーの匂いがプンプンする。


ガーガーうるさいドライヤー越しに文句を言われても、無視してていいのは助かる。


「朝ご飯、食べる?」


遠慮がちな母の声に、俺はなんとなくちゃぶ台の前に座った。


「ふん。お金かけて大学院まで行っても、ニートしてりゃあ意味ないわよね!」


行ってきますという捨て台詞を残して、姉は出て行った。


成績優秀でスポーツ万能、姉と同様に自慢の息子だったはずの俺は、この家ではもはや腫れ物でしかない。


「午後からちょっとお客さんが来るから、あんたは二階にいなさいね」


そう言って母も座った。


朝のワイドショーは、平和な世界の象徴のようで、都庁改修工事にまつわる裏金と献金問題について語っている。


「母さんはこれからパートに行くから、食べ終わったら食洗機に入れておいてね」


姉の初任給で買った食洗機のスタートボタンを押すこと。


それだけがこの家で俺に与えられた、唯一の仕事だった。


家族みんなで食事をというのは、俺を二階から下ろすための母の言い訳でしかない。


いつも皆が食べ終わった後に飯を食い、その後始末をしている。


本当の職業は、家族にすら秘密にされていた。


仕方無いとは思うけど、さみしくはないかと聞かれれば、少しさみしい。


卵焼きにわかめと豆腐の味噌汁という、我が家の朝の定番を流し込んだ。

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