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第4話

「いらっしゃいませ」


俺の知らない誰かの顔を模したアンドロイドが働いている。


いづみの置き土産のそれは、無人の店内でもプログラムされた作業を淡々とこなしていた。


コンビニ業務用の補助システムは残してくれてあるということか。


レジ裏のバックヤードから地下の基地へ下りる。


竹内は背を向けたまま、じっとキーボードに指を踊らせていた。


「無防備に入ってくんなよ」


「コンビニとその周辺に客がいないことは、監視カメラで把握している」


「飯塚さんのことはどうすんだよ」


俺は竹内の横に腰を下ろした。


「どうせ何をしたって本部には筒抜けなんだ。問題ない」


舌打ちが聞こえる。


このタイミングで淹れたてのコーヒーが自走式台車ロボで運ばれてくるってことは、お前だって俺が来ることを知っていたくせに。


「天命のシステムは?」


「堂々とは使えねーよ」


「じゃあどうやって」


「支部は閉鎖されても、隊員資格が停止されているわけじゃない。お前と同じやり方だよ」


熱すぎるコーヒーに、舌はやけどしそうだ。


「隊長の様子はどうだ」


「お前ホント、そんな態度だといつか殺されるぞ」


隊長は飯塚さんを追っている。


どれだけ俺たちがあがいたところで、隊長にはかなわない。


「なぁ、飯塚さんを直接追うより、飯塚さんを追いかけている隊長を追う方が、確実なんじゃないのか」


振り返った竹内の眉根は、思いっきり寄っている。


「そうすれば、ほぼ同じタイミングであの人を見つけられるし……、逆手にとられて、失敗することもない」


さっきの飯塚さんの接触には、きっと何かの仕掛けがあるんだ。


そんなことにぼんやりと俺は、ようやく気づいた気がする。


バカなことをした。


竹内は俺から視線を戻すと、コーヒーをすすった。


「あの通信な、つながった瞬間、隊長ブチ切れてたぞ。お前から行っただろ」


隊長の位置情報は、隊長自身がそのアクセスを拒否しない限りいつでも確認できた。


街の大通りを北西の方角に向かっている。


移動速度42.8km/h。車かバイクか。

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